新型コロナウイルスからの出口戦略は死亡リスクと経済リスクの両輪で

新型コロナウイルスの最もやっかいな点は無症状感染が多いこと

 当初から感染してもインフルエンザやSARSと比べて、軽症・無症状が多いと言われていた新型コロナウイルス感染症(COVID-19)ですが、90%後半が無症状という武漢・San Franciscoに続いてNEW YORKでも大規模調査が行われました。
 東京大学の五十嵐准教授の解析したnote(4/28  NY抗体検査、7,500人拡大の結果)が参考になります。論文のように他者のチェックが入った状態ではありませんので、参考値として。

note(ノート)

4日前の記事で3,000例の暫定結果を紹介したニューヨークの抗体検査。7,500名までの解析結果が発表され…

 食料品店での買い物客および従業員からランダムに選んだ7,500人の抗体検査の結果ですので、基本的に無症状で普通に生活している人の何%が感染している人の割合ともいえます。
 全体の陽性割合は14.8%、ニューヨーク市のみの陽性割合は24.7%ということです。
 ニューヨーク市では無症状者の約4人に1人が陽性というわけです。
 かかってない人の方が多いですが、大規模調査前に思っていたよりも多いですよね。
 人種別で見ると、アジアが14.6%、アフリカが16.9%、ラテン/ヒスパニックが32.0%、白人が8.9%、混血/その他が22.2%ということで、たしかによく言われるようにアジア系がかかりにくいかもしれませんが、白人はそれ以上にかかりにくいということになります。
 死者の人種内訳があると、BCGが‥HLAが…という研究が進むのかもしれませんが、ここではデータがないのでスルーします。
 ちなみにNY在住の私の友人(日本人)は陰性でした。

ニューヨーク州での感染者致死率も1%未満である

 感染致死率が世界の中でも高いと言われるニューヨーク州の人口1940万人に陽性率14.8%を当てはめると約287万人が感染していることになります。うちニューヨーク市は840万人に陽性率24.7%を当てはめると約207万人です。
 陽性者が想定よりも多いということは、致死率は下がります

 4/28時点のニューヨーク州の死者数は17,638名、うちニューヨーク市は12,067名ですので、ニューヨーク州の推定致死率(死者数/推定感染者数)は約0.61%であり、うちニューヨーク市の推定致死率(死者数/推定感染者数)は約0.58%です。

https://www.ny.us.emb-japan.go.jp/files/100049912.pdf

 ニューヨークでの感染率の高さの一端はPCR検査を無料にしたことで、検査希望者がクラスター感染を起こしたのかもしれません。
 いずれにせよ致死率は世間で言われているよりも低いようです。

新型コロナウイルスの感染死亡リスクは国の差が大きい

 国ごとの施策是非に注目が集まっていますが、データから明確なものがあります。
 感染者数は、検査数の多寡はもちろん、国で検査方法が異なる以上検査精度も異なりますので、国別の比較はナンセンスだと考えます。
 よく言われる「PCR検査をとにかく増やせ!保険(税金)でやれ!」というのもナンセンスだと思います。
 前述のような統計情報をとるために大規模調査を行う目的であれば良いのですが、「気になる人が検査で安心感を得る」という目的でするには精度の問題がありますので、やみくもにするのはいかがなものかと思います。

 さて、マスコミは死者・感染者数の絶対数ばかり出します。「今日〇〇◯人増えました!」で視聴を増やすわけです。それを浴びせられているうちに麻痺しがちですが、ファクトを見たいと思い、国別の死者数(5/5時点)データを国連の2019年人口統計で割って100万人あたりの死者数を出してみました。

日本の死者が少ないのは公衆衛生だけではない可能性がある

 日本は手洗い・マスクなど公衆衛生がしっかりしているから他国よりも感染が少ないという論評を見かけます。私もそう思います。アメリカでも中国でも手洗いする人は少ないですし、アメリカはファストフードを手づかみだし、アメリカでマスクなどしていようものなら重病人と思われます。中国は主要都市ですらトイレがアレです。

公衆衛生は組織された地域社会の努力を通して、疫病を予防し、生命を延長し、身体的、精神的機能の増進をはかる科学であり技術

 新型コロナウイルスが話題の中心になって、どれだけ経ったでしょうか。感染症予防というのは公衆衛生の話でもあります。公衆衛生は「組織された地域社会の努力を通して、疫病を予防し、生命を延長し、身体的、精神的機能の増進をはかる科[…]

 公衆衛生は感染率には大きく寄与すると思います。感染者の絶対数が少なければ、死者も減るわけですので、日本の死者が欧米よりも少ない一因だと考えています。
 ところが、グラフにしてみると明確なのですが、アジアと欧米の人口百万人あたりの死者数が違い過ぎるのです。

国別100万人あたり死者数

 BCGではないか、HLA(ヒト白血球抗原)のタイプではないかという仮説を専門家の方が研究しているところですので、いずれ因果関係も明確になると思われますが、少なくとも、アジアと欧米におけるCOVID-19による死亡リスクの大きさは違いそうです。

経済リスクは待ったなしの状況

 5/4緊急事態宣言が延長されました。
 ほとんどの宿泊業と飲食店は前年比という言葉を使うのも悲惨な状況です。
 経産省の事務局基礎資料によると、3月の売上が3割以上減少(前年比70%未満)した企業が、宿泊業で84%、飲食店で68%です。

経産省の事務局基礎資料より売上が減少した企業の割合
https://www.meti.go.jp/shingikai/sankoshin/seicho_senryaku/pdf/003_03_00.pdf

 百貨店各社の4月速報値も悲惨です。三越伊勢丹ホールディングスは前年比17.8%、JFR(大丸松坂屋)は20.9%、高島屋は25.2%と前年の1/5の売上です。

 当然、資金は回らなくなり倒産が激増します。
 リストラするまでもなく失業者が激増するわけです。
 「在宅ワークで新たなチャンス」というのは一部の限られた業種・職種だけの話です。エッセンシャルワーカーが食べていけなくなると国の財政は維持できなくなります。

 今後の失業率増加と
 自殺者増加による中長期労働人口減少に
よる国の歳入減少は国民全員に負担がくる緊急事態です。

出口戦略を構築し、行動する時期

 前半で触れた国別の死者数(人口百万人あたり)と日経新聞に載っていた1~3月の国別減益率(ただし世界8,000社超の数値)を並べると下のようになります。
 本当に幸いにして、日本は感染症による被害が少ない状況です。
 しかしながら、3月の時点ですら、世界でも有数の経済危機を迎えています。
 1日でも早い出口戦略と行動が必要だと思います。

新型コロナウイルスの死亡リスクと経済リスク
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開店前行列客のドラッグストアの現状

 なお、上の図は、Kaizen Platformの須藤憲司CEOがツイートしていたウェビナーのグラフ(左上)がまさに見たいと思っていたものであり、かつ、グラフの青(死者数)が国別の人口で数値調整されていないものだったので、人口を勘案したものが自分でみたいから作表したものです。
 私のグラフも欧州が10カ国の積算値ですが、日経に載っていた減益率の中身(対象企業と国)が不明確なので、参考値として計算しました。比較は中国・アメリカとだけでも十分です。

お読みいただき、ありがとうございました。
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