DIKWピラミッドはデータ活用で肝腎なことを知る役に立つ

ファクトベース

「ファクトベースで考えろ!」
 良く聞く言葉ですよね。

 客観的事実を起点にしろということですが、ここでいう事実だけあっても実際には駄目で、事実を元に考えろという意味ですね。

 客観的事実といえば、そう「データ」です。数値化可能なデータの多くは、測定された数値が正確性の確認をされてデータとなります。

 ということで前回に続き、データと情報、そしてその先の話をします。

前回:データと情報の違いを理解するには

データと情報データとは 何かを文字や符号、数値、画像などのまとまりとして表現したもの。情報とは 人間にとって意味のあるものや、データを人間が解釈した結果のことを情報と呼ぶ。※単にデータといった場合、[…]

データと情報

DIKWモデルとは

 データを活用しようという時に良く言われるのがDIKWモデル、そしてDIKWピラミッドです。

 DIKWピラミッドはアメリカ出身のシステムサイエンティストの Russell Ackoffが提唱したものです。

 DIKWモデル(wikipediaでは「DIKW pyramid」として分類)は、情報工学の分野において情報を解釈するためのフレームワークであり、それぞれData、Information、Knowledge、Wisdomの頭文字を取ったものとして定義されています。

Data(データ)

 それ自体では意味を持たない数字、記号などのシンボル
 生データ、ローデータなど体系化されていないものです。

Information(情報)

 データを何らかの基準で整理(カテゴライズ)して意味づけしたものであり、4W(Who、What、Where、When)の答えとなり得るもの。情報が必要とするデータはシグナルであるし、必要のないデータはノイズである。
 データ分析、データ解析の一次目的はデータ(Data)を情報(Information)に加工することにあります。これによりデータから明らかに分かることが見えてきます。

Knowledge(知識)

 情報をまとめて体系化、構造化したものであり、Howの答えとなり得るもの。情報を元に規則性、傾向、知見を導き出したものです。

Wisdom(知恵)

 知識を正しく認識して判断し、価値観やモラルに昇華させたものであり、Whyの答えとなり得るもの。知識が存在しなければ判断する力を持てないので、知識の上位段階にあります。

DIKWピラミッドとは

 DIKWモデルを階層構造で作図したものです。以下は私がDIKWピラミッドに加筆して作図したものです。

DIKWピラミッド

 図を見れば簡単にわかりますよね。単に階層というだけでなく、順序や知恵に高める困難さも表現した優れたモデルだと思います。

 「情報」を求めるのは、それを利用して、示唆を得たり判断したりするためです。そのためにはどんなに正確でも「データ」のままでは役に立ちません。データを情報にする話は前回書きました

情報から知識を蓄えて使う

 「情報」が比較されたり組み合わさり考察することで,「情報」が「知識」となります。知識となることで示唆を得ることが可能になります。

 「彼は知識があるよね」ということありますよね。

 「情報」を上手く整理して、または自分の経験した「情報」を「知識」として蓄えて、必要な時に引き出して使いこなす。これだけで一目置かれるわけです。

 もちろん、スマホでいつでも・どこでも簡単に情報にアクセスできるこの時代。情報を知識として蓄えていなくても、自分で整理してまとめる能力さえあれば、すぐに知識として使えます。

 ここまでなら頭の回転の速い人であればできる話です。ところが肝腎(肝心)なのはこの先です。

 ちなみに「肝腎」と書いたり「肝心」と書いたりしますが、薬剤師の端くれとしては、肝臓と並べるなら腎臓がふさわしく思えます。薬の体内での動きを薬物動態というのですが、そこでは1.吸収>2.分布>3.代謝>4.排泄の順番で動いていきます。ここで3.代謝の主役は肝臓であり、4.排泄の主役は腎臓なのです。

 調べてみると元々「肝腎」であったものが例によって敗戦後の当用漢字表に「腎」の字がなかったため「心」をあてて、常用漢字表の改訂で「腎」が追加された後は定着した「肝心」と本来の「肝腎」のどちらも使われているようです。面倒なので、ここではファクトかどうかまで調べません。

さて本筋に戻ります。

知識を知恵に変える

 「知識」から「知恵」を創造するところに本当の意義があります。「知恵を出せ」「知恵を絞れ」とかいわれますよね。ピラミッドの頂点であり、ここができるかどうかが肝です。

 単に頭の回転の速い人が得意な能力とは違った能力が必要となります。

 ビジネスの世界には、知識だけ持っているが、そこから知恵を創造できない人がいます。こういった人はニッチな知識であれば、ご意見番として重宝することはありますが、そこまでです。

 肝腎なのは知識を使って創造する。つまり「知恵」を絞って考える力をもっていることです。

知恵を出す方法

 そうはいっても「なかなか知恵が出ない」という嘆き。よくわかります。

 例えば、スポーツを初めてやるときに、そのスポーツの本を読みますよね。弓道(私は学生時代弓道部でした)なら弓道の本、ゴルフならゴルフの本を読むでしょう。ビジネスならビジネス本です。

 さて、弓道の本を読んで知識を蓄えても、的(まと)には一向に当たりません。ゴルフのスコアも本を読むだけでは上がらないでしょう。

 上手くなるには、どうすれば良いでしょう。

 そう、練習すれば良いですよね。週末のゴルフ練習場の混雑ぶりはスゴイです。

質問

 誰もが、スポーツでは知識を成果に繋げるために練習します。

 では思考において、知識を知恵という成果に繋げるためには何が必要でしょうか?
 

回答

 そう、思考の練習が必要ですよね。

 「ゴルフならゴルフ練習場で練習するけど、思考はどうしたら練習して鍛えることができるのか」ですって?

 あなたが仕事をしているときに問題は一つもありませんか?

 ありますよね。
 ありすぎて大変!という方がほとんどのはずです。

 それって練習の場ですよね。

 トレーニングする機会に恵まれているという言い方もできます。

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 スポーツで成果を出すと自分やチームが嬉しいですね。

 仕事で問題を解決して成果を出すということは自分はもちろん、その仕事に関わる他の人も嬉しくなりませんか?

 そう考えると、仕事の問題というのも悪くないものですよ。

 ファクトは変わらないので、ものごとの捉え方とトレーニングが「肝腎」だと思います。

AIでのビッグデータ活用

 さて、もはやバズワード化したAIについて少しだけ。

 「AIでデータ活用せよ!」がトップの指示の会社も多いかと思います。

 AIと言っても、マシーンラーニングとディープラーニングの段階がありまして、DIKWの図で言うと

DIKW AI

となります。
 ビッグデータ時代には、必要な情報に合わせて大量のデータからシグナルを取得する作業が欠かせません。ここはAIが人よりも得意な領域です。

 AI時代は、人の活躍する領域がより高度な場に集中していく時代ということだと私は考えます。

 知恵を鍛えましょう!

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