高輪ゲートウェイTouch to goの進化ポイント
大きさと品揃えの変化
2018年の赤羽駅ホーム実験店舗は、店舗面積約21平方メートル、 販売商品は 飲料、ベーカリー、菓子類など約140種類の紀ノ国屋商品でした。
高輪ゲートウェイ駅の常設店舗は、店舗面積約60平方メートル、販売商品は赤羽同様に紀ノ国屋商品は中心で、弁当などが多くなり、アルコール飲料や高輪ゲートウェイ専売品も導入されたことで、約600種類となっています。また、ゲートの外にセルフサービスのコーヒーマシーンなどもあります。
面積が3倍、品揃えが4倍になっただけではなく、仕組みもだいぶ変化していましたので、気づいたことを記載します。
Touch to goの仕組みは進化している
入り方の変更と酒の取り扱い
赤羽では、入口でSuicaをタッチすると入店可能になる仕組みでした。高輪ゲートウェイでは、ゲートの前に立つと人を認識してからゲートが開きます。この時、Suicaは必要ありません。
これは新駅ということもあり、Suicaのない人はほぼいないということが一つ、もう一つは完全無人にする気がないということだと考えます。
高輪ゲートウェイでは、アルコール飲料を販売しています。アルコールの販売時の年齢確認が必要になることもあり、この店では無人にすることが前提になっていないのだと考えます。
人がいれば、Suicaにチャージがなかったときなどの対応も十分可能になるということでしょう。
同時入店可能人数
赤羽は当初3名までということでしたが、途中から2名までとなりました。後述のセッションでお伺いした話から推測すると、AmazonGoと違い、客が商品を手にとってSuica支払い端末の前に行くまでにAIが演算を終えなければいけないという設計上、演算処理が間に合わなかったためだと考えられます。
これが高輪ゲートウェイでは大幅に増加して7名までということになりました。演算処理高速化だけではなく、モニタリングする装置側でもデータ量を減らす工夫をしていると考えられます。
棚裏カメラがなくなった。
赤羽店では、AmazonGo1号店のように、棚裏カメラがついていました。これにより、天井のカメラ(ToF+RGB)の補助と冷ケースでの重量センサー代替えをしていたのです。
AmazonGoが2号店以降、棚裏カメラがなくなったように、Touch to goも棚裏カメラはなくなりました。これがデータ量を抑えて同時入店客数を増やすことに大きく繋がったものと考えます。
冷ケースも含めた重量センサー増加
前の項目と連動しますが、冷ケースも含めたほとんどの棚に重量センサーが入っていました。これも棚裏カメラ廃止や天井からの画像データ削減につなげる目的でしょう。
OMO(Online Merges with Offline)時代はリアルな場での顧客行動をIoTで取得して、AI解析した情報を活用する時代ですが、必要最低限なデータに絞ることでスピードとコスト最適化をするノウハウが重要な時代でもあります。
天井カメラの機器変更
変更理由はわかりませんが、機種が変わっていました。カメラ台数は約半分に減っています。
総評:「無人コンビニ」を捨てたからこその進化
高輪ゲートウェイ店については、AmazonGo以上に虹橋空港などで展開しているLePickが仕組みとしては近いものと考えます。
そして「無人コンビニ」へのこだわりをやめたことでのサービスの自由度が増しています。
アルコール等のニーズ対応もそうですが、安心して使いやすいサービスへの進化を感じました。
初回は3品購入しました。店内滞在を10分と一般客3人分くらいかけて、いろんな商品を触ったためか、3品とも決済時にカウントされていませんでした。
なお、カウントされていないときは、赤羽では候補商品からタブレットで選ぶ設計でしたが、今回はバーコードスキャナーでセルフスキャンする形態になっていました。
この精度が続くのであれば、バーコードスキャナーがよりスキャンしやすい場所に変更されるかもしれません。
その後、3回買い物をしてみました。
2回目は4品中1品カウントもれがありました。
3,4回目は間違いなくカウントされていました。常に精度をあげるためのアップデートが行われていることが伺えます。
また、アルコールを購入すると、確認中という表示が出てしばらく待たされます。2回購入してみましたが、対応スピードが大きく違ったので、店舗の裏?で人が確認している様子が伺えます。
3/23 無人コンビニ開店当初の様子
山手線・京浜東北線の新駅ということで話題の高輪ゲートウェイ駅。
実際に開業して2~3日すると鉄オタ以外の温度が下がり、正常化するのですが、今回は駅コンビニが無人コンビニということで話題が続いています。
新型コロナウィルス絡みで「密閉・密集・密接」と言われながらかなりの行列ができて、数十分待ちという話です。私も2日目に見に行こうと思っていましたが、行った方の声を聞いて少し先にしようかと。。。
ちなみにこのケース密集以外当たらないので、(現時点で認識されている)リスクとしてはそれほど大きいものではありません。
Touch to go 赤羽駅を含めた無人店舗セッション資料
2018年にこのTouch to goの仕組みを踏まえてJR東日本の佐野氏と小売業向けカンファレンスのリテールアジェンダで無人店舗についてディスカッションしました。2018年リテールアジェンダで私が作った資料を公開します。私の話した部分と公知情報だけのスライドですが、気になる方はどうぞ。
セッション概要
郡司自己紹介
JR東日本スタートアッププログラム
無人コンビニも、この取組の一環という話。大宮駅のテスト→赤羽駅ホーム実証店舗→高輪ゲートウェイ駅という流れですね。今回の前にAIベンチャーのサインポストと合弁会社を作っての事業ということになります。
駅の滞在時間◯◯分というボトルネックをいかに活用するか
このセッションの主題の一つがこのスライドです。
制約が時間ということが明確ななかでの駅ビジネス。このために事前ネット予約(弁当)などは、目覚ましい成果を挙げていて、駅ホームの自動販売機をスイカ対応しただけで顧客の困りごと
・電車が来るのに小銭が…
・焦ってたら自販機の下に小銭が転がる(まさにマーフィーの法則)…
が解消して、売上げアップという話が非常に面白かったです。
日本と海外のレジ無人化現状
まぁこのあたりはこのサイトでも再三書いているので、今回は触れません。BINGOBOXは見事になくなりましたね。
どのポイントを省力化するか
このあたりは先日のヤプリさんウェビナーでも話したので、こちらの動画をご覧ください。
Touch to go概要
今後どうする?とAmazonGoとの比較
Amazon本拠地SeattleにあるAmazonGo1号店に行ってきました。(現地時間2018年5月15日-18日) クラスメソッド社 横田社長のご尽力のおかげで、Amazon BooksやAmazon experience […]
ここの「今後」がまさに高輪ゲートウェイの店舗に繋がっているわけです。
JR東日本が無人コンビニを展開する目的
これを見てのとおりです。
JRならでは…というのは、顧客のモーメントが特殊で、そこに小売ビジネスのボトルネックがあるということになります。
ボトルネックの解消(有効活用)は全体最適に繋がり、目覚ましい成果がでるんですよね。
逆に言うと、高輪ゲートウェイの店舗で展開されている仕組みを街中のコンビニで行っても成果としては小さいものになり、投資回収は厳しくなるわけです。
自分達の事業は自分達の頭で考え抜くのが肝要ですね。
ウェビナー出演きっかけ 新型コロナウィルスの影響で、各種イベントが中止・延期になっています。私も講演のいくつかが中止・延期となりました。 その流れで、3月3日(火)〜3月6日(金)に幕張メッセで開催予定だった展示会のリテールテック[…]
リテールアジェンダとはリテールアジェンダとは、国内外のリテールのマーケターとメーカーのマーケター、そしてパートナーをつなぎ、一気通貫のマーケティングを実現するためのカンファレンスです。各業界著名有識者によるカンファレンスとスピーカ[…]
DXとはDXとは、デジタルトランスフォーメーション( Digital Transformation )を略した用語です。一言で説明するならば「データとデジタル技術を活用して、製品・サービス・ビジネスモデルだけでなく、企業の仕組みや[…]
昭和女子大学でレジレススマートストア実験店舗を出すなど、ダイエーでデジタルシフトを推進している吉岡氏との対談記事アップされました。前編 前編は2018年一般公開されたAmazonGoに共に行った時の話と、スマートストアに[…]
モノタロウ MonotaROの実店舗 株式会社MonotaRO(モノタロウ)は、兵庫県尼崎市に本社を置く、事業者向け工業用間接資材の通信販売会社であり、1,800万点を超える豊富な商品をウェブサイトやカタログを通じて販売する企業で[…]