モデレーターとスピーカーの違い聴講者による難易度の違い

 ダイヤモンド・リテイルメディア様のDX2020というセミナーで「店頭顧客行動が見えることで起こる店舗と顧客体験の進化」というタイトルで喋ってきたときの概要が公開されました。

内容と聴講者層が一致する安定感

 参加者配布PDFで62枚、投影で90枚用意したスライド全部話して時間(45分)ピッタリでした。
 今回は、頭の中で整理も終わって身についている内容を伝えることに特化したことが一つあります。もう一つは聴講者層がある程度わかっていたので、ホーム感があったんです。
 私のような活動をしていると、アウェイな場に放り出されることがそこそこあるのですが、今回はダイヤモンド・ドラッグストア連載もしているダイヤモンド・リテイルメディア様の主催セミナーなので、小売・メーカーが主の参加者でそれをサポートするベンダーという参加者層でした。ホームならホームのやり方があります。
 FMCG業態理解が最低限あるという前提で話せたので、背景や用語の説明をあまりしなくても良いという状況でした。正直楽です。FMCG業態を理解していない聴講者はリテラシーにばらつきがあるので、細かく説明すると「わかってる参加者」にとって密度の低い内容になりますし、わかってるテイで話すと「小売わかってない勢」がついてこれなくなります。

 以前、EC(ネット通販)メディアのカンファレンスに超大手FMCG企業幹部でもあった著名プロフェッショナルCMOと2人で中国OMOをテーマにクローズ講演をやったときはそれが顕著で、フーマーのOMOの全体構成・物流・調達について2人で盛り上がってしまい聴衆(とモデレーター)を置いてけぼりにしてしまったのは苦い記憶です。

モデレータ【 moderator 】: モデレータとは、司会、議長、仲裁者、仲介者、調停者、調整者などの意味を持つ英単語。討論会や座談会などで、開幕やまとめの辞、話題の提示や遷移、参加者への質問、発言者の指名などを行う進行役のことをモデレータという。

IT用語辞典 http://e-words.jp/w/%E3%83%A2%E3%83%87%E3%83%AC%E3%83%BC%E3%82%BF.html

モデレーターの負担と辛さ

 実はこういう状況は講演モデレーターにとって、ものすごく酷な時間です。

 私は所属企業がなく、社名を出すだけで講演の集客ができる存在ではありません。個人としても(知らない方への)集客力はまだまだなので、パネルディスカッションの場ではモデレーターを担当することが多いです。
 モデレーターでお呼び頂ける機会が多いのは、それなりに全体構成を把握し、不測の事態をコントロールする能力があるからだと思っています。
 しかしながら、聴講者とスピーカーの乖離が激しくなった場合の調整は極めて難しいと言わざるを得ません。水と油をいかに中和するかという役割になるのです。そして、元々多弁な方々のスピーカーは暴走を続けます。
 私がモデレーターの場合、そこまでの状況になったときは、スピーカーの発言を統制し、セッションテーマについて完全にモデレーターリードで進めます。その中でスピーカーのプロフェッショナル領域だけ話しをふり、話が長くなりそうなら途中でバッサバサと切る手法です。
 あとでスピーカーの皆さんに不満を漏らされますが、イベントの主役は聴講者なので、納得してもらうしかありません。

 ここで難しいのは主催者がモデレーターのケースです。
 カンファレンスにもよりますが、登壇者の給与を考えると多いとは言えない(時には無償の)謝礼で多忙ななかお願いして登壇してもらっている立場なので、スピーカーの発言を切ることはかなり難しいです。
 そして、そもそもその分野の実務者ではないので、全てのスピーカーが話す内容を掌握してセッションコントロールする難易度は計り知れません。
 えぇ、モデレーターって大変なんですよ。
 リテールアジェンダ2019で3セッション無償(参加費免除)モデレーターやりましたが、事前と最中にかなり消耗したのはいうまでもありません。

モデレーターはプライスレスな機会

 しかし、得難い貴重な機会でした。
 その道のプロフェッショナル達にセッション中はもちろん事前に聴きたいことを聴けますし、オフレコ話も聴けます。うまく終わったあとには交流が深まり、時には仕事としてWin-Winになることもあります。
 まさにプライスレスです。

note(ノート)

12/3~4に #リテールアジェンダ というイベントがありました。 #RA19 私はCouncilメンバーということも…

「店頭顧客行動が見えることで起こる店舗と顧客体験の進化」講演概要

 ご興味ある方は、リンク先をどうぞ。

https://diamond-rm.net/technology/52210/

 売場や顧客をトラッキングすることで、定性調査では見えなかった顧客の真の姿を知ることができる。たとえば、定性では計画購買だと答えた顧客が、実際は売場で競合商品と迷った上で購買しているといった、本人も気づいていない本当の姿を洗い出すこともできるのだ。
 ただし、データはファクトでしかない。それを情報に進化させるところまではAIにもできるが、知識や知恵に飛躍させるのはビジネスを理解した人間でなければならない。デジタル時代の小売業に求められるのは、知恵を生み出す力なのではないだろうか。

というあたりのデータ<情報<知識<知恵とAIの話はぜひこちらをご覧ください。

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DX2020講演概要OGP
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