広報(部門)とマーケティング(部門)との違い

人前でお話をさせていただくときは、小売業におけるマーケティング、ICT活用が多いです。
マーケティングという言葉を単に宣伝・広告・販促のことと勘違い(手段の一つではあるが)されている方は多いです。同様に、企業における広報の役割を理解している方がそれほど多くはないので記載します。

企業広報の目的

企業広報を行う目的は、企業の社会的評価を向上させることで、企業価値の向上と収益基盤の強化を図ることです。企業ブランド価値の向上により、ステークホルダーの意識変容を期待して活動するわけです。

ここでいうステークホルダーは投資家だけでなく、顧客、取引先も含めた企業・市民、社員という社会全体を指します。

ステークホルダーに期待する効果

図にすると、上のようになります。
社外は、投資家・取引先・顧客というステークホルダー以外に、非顧客の生活者がいます。この非顧客の生活者が世の中には一番多いということを認識することが第一歩です。
非顧客と取引先に対して、社会的責任を果たしていくことで、信頼感向上が狙えます。

顧客に対して、来店時の満足、非来店時の信頼を得ることで、長期に渡って顧客でいただくことができます。

投資家に対して、収益期待の持てる取り組みや業績を説明することで、投資意欲を高めていただき出資をしてもらうことができます。

忘れられがちなことが社内広報です。社員がブランド価値を感じることで、愛着と誇りを持てれば、日々の仕事のやる気も出ますし、他社に転職しようという気もなくなるわけです。離職率の高い会社は給与制度が原因ではなく、自社との距離感を感じるということが多いのではないでしょうか。

広報と同時に、社長をはじめとした経営幹部の日頃の言動がいかに大事かということでもあります。
きれいな言葉を話すというだけでは逆効果で、言動一致がポイントです。
私のように、様々な会社と一定の距離感で接触していると、特にトップの言動と社員の働きぶりが連動していることを実感します。

さて、図を見ていると、マーケティング部門の持つ役割と重複する部分が多いことに気づきます。企業のコミュニケ―ション活動における広報部門とマーケティング部門の役割分担についても図にしてみます。

コミュニケーション活動と機能

一般的な役割分担だとこういうところでしょう。一言でいえば、顧客とのコミュニケーションはマーケティング部門、投資家をはじめとした社会とのコミュニケーションは広報部門ということになります。当然、この二部署が連動した動きができるかどうかが、双方の成果に影響します。

したがって、マーケティング部門の主要KGIは顧客に支持された結果としての売上、広報部門の主要KGIは投資家に支持された結果としての株価ということになります。株式非公開企業の場合は、活動の結果を知るために、認知度、NPSなどのリサーチを定期的に行う必要があります。

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