「店頭の顧客行動データが見えることで、進化する顧客体験」一般社団法人 ブランド戦略研究所フォーラム

一般社団法人 ブランド戦略研究所様フォーラム登壇

 一般社団法人 ブランド戦略研究所 様のフォーラムにて「店頭の顧客行動データが見えることで、進化する顧客体験」と題して講演を行い、関西大学商学部教授でもあられる 陶山計介理事長 コーディネートで、 産業能率大学 教授 小々馬 敦氏 、 電通アイソバー株式会社 取締役 田中 信哉氏 と顧客体験(CX)の構築とマーケティング・流通、ブランド戦略についてパネルディスカッションを行いました。

 非常にアカデミックな場であり、多くの学びをいただきました。以前、 日本ダイレクトマーケティング学会 様で講演させていただいたご縁から繋がった貴重な機会でした。

https://www.brand-si.com/theme335.html

開催レポート

マーケティングと知財を基軸とするブランド戦略経営,ブランド戦略経営に貢献するシンクタンク、一般社団法人「ブランド戦略経営…

 関西大学商学部教授でもあられる陶山理事長による顧客視点に立って製品・サービスを提供することが重要視される中で、一気通貫した「顧客体験価値」を提供していくことの重要性のアカデミックな視点での解説から始まり、
 産業能率大学経営学部 小々馬教授によるSociety5.0(超スマート社会)、SDGs(持続可能な開発目標)、CX時代のパーパス・ブランディングを考慮した経営へのパラダイムシフトの話、
 電通アイソバー田中取締役によるコミュニケーションの領域とコマースの領域が極めて近くなった今日、企業やブランドは、それらの全体像をどう捉え、何に配慮して取り組めばいいのか。デジタルによって議論が複雑化する中にあっても、状況をシンプルに捉え、生活者との向き合い方について、電通グループの豊富な事例を用いての解説
 と聴講するだけでも非常に貴重な機会でした。

講演内容

「店頭の顧客行動データが見えることで、進化する顧客体験」
 店舗のICT活用研究所 代表 郡司 昇

 「店頭の顧客行動データが見えることで、進化する顧客体験」をテーマに、小売とマーケティング、そして現在進行形の新しい小売店頭の顧客行動分析をいかにBtoCに活かすかという問題意識の下に、CRM、位置情報、画像AI解析などの小売業活用、EC・オムニチャネル改善などを取り上げながら、究極の顧客体験に進化する可能性のあるAmazon Goや今話題の中国ニューリテール盒馬鮮生(フーマー)について顧客体験して分析した結果を話しました。

 ドラッグストアを定性調査、定量調査して、仮説・検証して出てきたものの一つが、「友達以上、医者未満」というユニバーサルニーズでした。ヘルスケア市場のセグメンテーションから顧客ニーズを分析しますが、残念ながら、そのニーズに応えた形では、ドラッグストアは差別化されていません。

 小売(リテール)とは、商品(物)と生活者(人)を繋ぐ「場」のこと。さらにニューリテールとは、データで「場」の力を高めることです。ニューリテールの実現には、データをどう活用するのかという知恵と、データをどう取得するのかというフェーズが必要です。商品と小売は、Co-creation(共創)で、小売と生活者はCommunity、Communicationで繋がり、結果として、快適さや便利さを得ているのです。

 オムニチャネル時代の到来により、店頭ではなく、生活で映える商品デザイン・パッケージが登場し、宅配を考慮した包装単位が意識されるようになりました。

 ここでアメリカのホームセンター「Home depot」の成功事例を紹介します。Home depotでは、計画購買の利便性を高めることで、非計画購買に繋げ、既存店前年比毎年平均6%と成長を続けています。投資を新店ではなく、既存店価値を高めるデジタル化にあてています。オンライン注文は、4〜5割が店舗受取(Buy Online Pick Up in Store)で、そのうち20%は店頭でついで買いしています(→現物を見て決める+衝動買い)。

 いかに非計画購買を増やすかが大きな課題となりますが、顧客行動解析サービス「go insight」を利用すると、棚前の顧客行動を把握することができ、棚割り、販促物の効果など、様々な要素を検証することができます。go insightはリアル店舗の天井カメラ画像からショッパーの属性・滞在・棚前行動をデータ化し、データを分析することにより新たなインサイトを得て効果的なアクションに繋げることができます。

 顧客購買行動の把握事例としてAmazon Goがあげられますが、Amazon Goを無人店舗、無人レジというワードでクローズアップするのではなく、レジ(で並ぶ、不要な接客を受ける)のない顧客体験の実店舗展開という文脈で捉えた方がいいと思います。Amazonのビジネスは、顧客の購買体験を助けることが中核です。

 日本でも、イズミ、イトーヨーカドー、トライアル(九州のディスカウントストア)等で、タブレットカートを導入し、衝動購買を促す取組が行われています。

 b8taというショールーム型店舗は、商品を売ることが目的ではありません。収集した顧客行動データをメーカーに売るという店舗も存在します。

 中国の盒馬鮮生(フーマー)では、新鮮な食材との出会いと、ロボットレストランではユニークな体験ができると話題になっていますが、本質は食の信頼を獲得することにあります。

 ユーザー同士のコミュニケーションを生むような施策、便利で、快適な顧客体験の提供が、非計画購買を促進していくと分析しています。

お読みいただき、ありがとうございました。
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