アドテック東京2018 C8 講演概要

4年連続4回目のアドテック東京

アジア最大級のグローバルマーケティングカンファレンスであるアドテック東京に登壇しましたので、そのメモを記します。

セッション中に写真撮影のシャッター音ばかりでは、聴講者がディスカッションに集中できないと考慮してアップしておいた投影資料に1週間後メモを添えました。

登壇するまで

テーマは「リテールとECを再構築せよ」。

広告代理店や大手広告主の有料参加が多いアドテック的にはニッチなテーマですが、リテールの人間としては将来像として非常に重要なテーマなので、このセッションのモデレートをしたいと思ってスピーカー応募しました。

結果として、第一次登壇スピーカー発表で選出されることになりました。

モデレーターが先に決まったセッションで、モデレーターがまずやる仕事は全体構成のアイデア出しと、そのストーリーに合ったスピーカーの運営へのキャスティング提案です。

ここでは聴講した方へのTakeawayがどういうものになるかがイメージ出来ているかが重要です。評論家はもちろん実務家がただ喋る場ではないのです。モデレーターはスピーカーの背景・考え方を踏まえた上で、セッションテーマについて本気の議論を促し、さまざまな聴講者にTakeawayを持ち帰ってもらう役割です。

今回は運営からクリテオの知地さんをスピーカーに入れて、もう2名出来るだけ初登壇の方を入れて欲しいという要請でした。知地さんは前職がTwitter,以前はMicrosoftにいらしてということですし、知地さんの登壇されたアドテック関西を聴講した方の評判が良かったので、Webに絡む話とリアル店舗送客の話が引き出せればと考えました。

個人的にこのテーマで出てもらいたかったのは……

そう、日本で初の完全無人店舗を出したモノタロウの方です。

とはいえ、モノタロウの方とお会いしたことはないので、知りあいのツテをたどって依頼をかけたところ、AIストア担当どころか常務執行役の橋原さんが出てくださるという話になりました。

モノタロウはEC→リアル店舗進出した企業ですので、リアル店舗→EC進出した企業の方にも登壇していただきたいと考えました。こちらはアドテック未登壇企業で、かつ以前他のカンファレンスでパネルディスカッションをしたことがあるオートバックスセブンの方に声をかけてみました。

3月までJSOL執行役員だった則末さんが、支援していたオートバックスで事業者側として腕を奮いたいということでネット事業推進部部長で入社されて、すぐにモールの楽天店舗、Amazon店舗を閉鎖するなどの改革を進めているお話を聞いて、このセッションの方向性が定まりました。

実店舗企業がECに進出することは普通のことになりましたが、実際はマルチチャネル止まりでオムニチャネルに進めていない。進んでも上手くいっていない。という話はたびたび耳にするからです。

上手くいかないのは決して人が悪いのではなく、流れが悪い・仕組みが悪いからです。上手くいかない理由は様々ですし対策もそれぞれあるのですが、その対策を打ち始めたということですので、お悩みの方に多少でも打開策を提示できるといいなと考えたわけです。

というわけでセッションの内容が決まりました。

セッション内容

多くの実店舗企業が本格的にEC事業に取り組むようになって10年が、実店舗とECを融合したオムニチャネルが用語として定着して5年ほどが経ちました。
しかし、いまだにそれらのEC事業の多くは赤字運営と言われています。また、店舗事業とEC事業の関係性が上手くいっていないという話も良く聞きます。
一方、ECの巨人AmazonがAmazonBooksとAmazonGoで実店舗に進出しており、その店舗の裏側にはECで培ったノウハウが豊富に使われています。
このセッションでは①実店舗からEC進出し、オイル交換Web予約などにも取り組むオートバックスセブン ②ECから国内初の完全無人実店舗モノタロウAIストアを出店したMonotaRO ③ECで店舗の接客に近い高精度なレコメンデーションで商品のリマインドと購入意欲の再燃を促し顧客を獲得するCriteoという三者三様なスピーカーを招いて、店舗事業とEC事業の関係性〜今後の実店舗とECを融合させるタッチポイント戦略等について議論します。

Many physical store enterprises come to work on EC in earnest, and it has passed for 10 years. A word as Omni channel is fixed, and 5 years have passed.
But those much of EC is still said to be deficit operation. The fact that relationship of store business and EC business is bad is often also heard.
On the other hand, giant Amazon of EC is going into physical store at AmazonBooks and AmazonGo. The know-how grown by EC is used for the store operation richly.
Relationship of physical store business and EC business will be argued at this session. The touch point strategies which make future’s physical store and EC fused will be argued.
A loudspeaker of three different ways by three different people was invited for it.
①AUTOBACS SEVEN which is the actual store enterprise which went into EC business.
②MonotaRO of the EC enterprise which opened a Japan’s first perfect unattended actual store MONOTAROU AI store.
③Criteo’s service for EC promotes product reminders and relentless purchase motivation with high-precision recommendations close to those of physical stores, and has acquired customers.

この後、橋原さんが関東出張するタイミングでアイスブレイクと打合せをして当日に挑みました。

C-8セッション本番

以下、セッション概要をメモで

セッションテーマの説明

リアル店舗中心の企業がEC進出するのは、普通のこととなりました。

しかしながら、EC部門とリアル店舗部門の関係性が上手くいっていないことも多いと耳にします。

一方、EC中心の成功企業の中には、リアルな顧客接点としての店舗を構える企業が出てきています。

WARBY PARKER,Bonobosなどです。

それらの中で私がECとリアルの融合を強く感じたのが、やはりAmazonでした。

5月に見に行ったAmazon Booksでは、リアルタイムプライシング、会員価格(人によって売価が違う)、ネットレビューの売場表示といったECでは当たり前だが、リアル店舗では考えもしなかった取組が実行されていました。

そして、ECのレコメンドが変化すると本部指示がでて、リアル店舗の「この商品を好きな人はこれも好きかも」売り場も変更されるわけです。

そして、なんと言ってもAmazonGo。体験するとわかりますが、革命的な店です。

こういった店を実現するためには、様々なセンサー、テクノロジーが必要となっており、収集したデータはECと統合してAmazonIDで管理されるわけです。

ID-POSという売れた「結果」しかわからない従来型のリアル店舗とは次元の違う領域に入ってきました。

そんな中でカタログ・EC・アプリを統合してプロ向けに販売してきたモノタロウが日本初の完全無人店舗モノタロウAIストアを出しました。この話は後ほど橋原さんから話していただきたいと考えています。

前置きの最後に、物を売る以外の手法でマネタイズが成立する店舗が出現してきた話をさせていただきます。

スライドはb8ta(ベータ)という店です。ここでは、勢いのあるベンチャー企業が開発したIoT機器が展示され、触ることも出来ますし、タブレットで解説動画などを見ることも出来ます。

ここに展示している企業はこの場で売ろうということではなく、実際に触って体験してもらうことを目的としています。いろんな人々が興味関心をどこに持つか?そもそも入店者の何割が関心を持つのか?関心を持つ顧客層はどういう人なのか?そういったデータをb8taは展示企業に販売するわけです。

もちろんタブレットから詳細情報をメールで受け取ることも出来ますし、ECで買うことも出来ます。在庫があれば、その場で買って帰ることもできます。が、そこで売るのが目的ではないのです。

こういった店が成立するということになると、将来のリアル店舗のあり方が現在の延長線上に必ずしもないということがわかりますね。

以下は有料聴講者の方に配慮して、スライドのみ貼ります。

Criteoへの質問

モノタロウへの質問

オートバックスへの質問

フリーディスカッション

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