新型コロナウィルスに健康食品が効く広告表示が薬機法違反である理由

 新型コロナウイルス騒動に付随して、「健康食品」中心に薬機法こと医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律(旧薬事法)違反をした広告表示をいっそう多く見かけるようになりましたので解説をしておきます。

健康食品とは

 厚生労働省によると「 健康食品と呼ばれるものについては、法律上の定義は無く、広く健康の保持増進に資する食品として販売・利用されるもの全般を指しているものです。 」ということで、「食品」を販売する際に自社で「健康食品」といえば、健康食品ということになります。
 極論すると、「〇〇県の水道水」をパック詰めして「健康食品」と名付けても違法ではありません。

健康食品の区分:トクホ、栄養機能食品、機能性表示食品、その他

  そのうち、国の制度としては、国が定めた安全性や有効性に関する基準等を満たした「保健機能食品制度」があります。 今回は保健機能食品か自称健康食品かに関係なく医薬品以外の全てのものが対象の話です。

※保健機能食品制度は、「おなかの調子を整えます」「脂肪の吸収をおだやかにします」など、特定の保健の目的が期待できる(健康の維持及び増進に役立つ)食品の場合にはその機能について、また、国の定めた栄養成分については、一定の基準を満たす場合にその栄養成分の機能を表示することができる制度です。

なぜ「健康食品は免疫力アップになる」が違法なのか

 いわゆる「健康食品」を含む食品など、医薬品(含医薬部外品、厚生労働大臣の指定する成分を含有する化粧品)以外の物について効能効果を謳えないのは、薬機法68条によるものです。

 ここでは「未承認医薬品の効能・効果に関する広告はしてはいけない」ということが書かれています。

薬機法68条とは

何人も、第十四条第一項又は第二十三条の二第一項に規定する医薬品又は医療機器であつて、まだ第十四条第一項若しくは第十九条の二第一項の規定による承認又は第二十三条の二第一項の規定による認証を受けていないものについて、その名称、製造方法、効能、効果又は性能に関する広告をしてはならない。

 (健康)食品は医薬品じゃないですよね。
 なぜ、「未承認医薬品のの効能・効果に関する広告はしてはいけない」に引っかかるのか?
 わかりにくいですよね。薬機法に限らないですが、法律というものは全体に関しての知識が必要です。プログラミングでコードを一つだけ習得しても何もできないのと同様です。

 さて、薬機法2条1項に「医薬品の定義」があります。

薬機法2条1項とは

第二条 この法律で「医薬品」とは、次に掲げる物をいう。
一 日本薬局方に収められている物
二 人又は動物の疾病の診断、治療又は予防に使用されることが目的とされている物であつて、機械器具、歯科材料、医療用品及び衛生用品(以下「機械器具等」という。)でないもの(医薬部外品を除く。)
三 人又は動物の身体の構造又は機能に影響を及ぼすことが目的とされている物であつて、機械器具等でないもの(医薬部外品及び化粧品を除く。)


健康食品・食品等で効能・効果を宣伝してはいけない理由

 2号「疫病の診断、治療または予防」3号「身体の構造又は機能に影響を及ぼす」ことを効能・効果としていると、これを目的としたものとなって薬機法の上で医薬品としての規制対象となります。
 当然薬機法68条「未承認医薬品のの効能・効果に関する広告はしてはいけない」に該当するわけです。

 このあたりは薬機法第66条および67条も関連しますので、引用しておきます。

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■第六十六条
(誇大広告等)
何人も、医薬品、医薬部外品、化粧品又は医療機器の名称、製造方法、効能、効果又は性能に関して、明示的であると暗示的であるとを問わず、虚偽又は誇大な記事を広告し、記述し、又は流布してはならない。
2 医薬品、医薬部外品、化粧品又は医療機器の効能、効果又は性能について、医師その他の者がこれを保証したものと誤解されるおそれがある記事を広告し、記述し、又は流布することは、前項に該当するものとする。
3 何人も、医薬品、医薬部外品、化粧品又は医療機器に関して堕胎を暗示し、又はわいせつにわたる文書又は図画を用いてはならない。

■第六十七条
(特定疾病用の医薬品の広告の制限)
政令で定めるがんその他の特殊疾病に使用されることが目的とされている医薬品であつて、医師又は歯科医師の指導のもとに使用されるのでなければ危害を生ずるおそれが特に大きいものについては、政令で、医薬品を指定し、その医薬品に関する広告につき、医薬関係者以外の一般人を対象とする広告方法を制限する等、当該医薬品の適正な使用の確保のために必要な措置を定めることができる。
2 厚生労働大臣は、前項に規定する特殊疾病を定める政令について、その制定又は改廃に関する閣議を求めるには、あらかじめ、薬事・食品衛生審議会の意見を聴かなければならない。ただし、薬事・食品衛生審議会が軽微な事項と認めるものについては、この限りでない。

 ところで、薬機法66条から68条の規制は「広告」の制限に関するものですので、広告以外は監視指導対象ではありません。
 薬機法における 医薬品等の広告の該当性については、以下の3要件を満たすものとなっています。

・顧客を誘引する (顧客の購入意欲を昂進させる)意図が明確であること
・特定医薬品等の商品名が明らかにされていること
・一般人が認知できる状態であること

参考:薬事法における医薬品等の広告の該当性について
(平成10年9月29日医薬監第148号都道府県衛生主管部(局)長あて厚生省医 薬安全局監視指導課長通知)
https://www.mhlw.go.jp/bunya/iyakuhin/koukokukisei/dl/index_d.pdf

 違反した場合の措置も薬機法に記載されています。


(中止命令等)
第七十二条の五 厚生労働大臣又は都道府県知事は、第六十八条の規定に違反した者に対して、その行為の中止その他公衆衛生上の危険の発生を防止するに足りる措置を採るべきことを命ずることができる。

2.厚生労働大臣又は都道府県知事は、第六十八条の規定に違反する広告(次条において「承認前の医薬品等に係る違法広告」という。)である特定電気通信(特定電気通信役務提供者の損害賠償責任の制限及び発信者情報の開示に関する法律(平成十三年法律第百三十七号)第二条第一号に規定する特定電気通信をいう。以下同じ。)による情報の送信があるときは、特定電気通信役務提供者(同法第二条第三号に規定する特定電気通信役務提供者をいう。以下同じ。)に対して、当該送信を防止する措置を講ずることを要請することができる。
第八十五条 次の各号のいずれかに該当する者は、二年以下の懲役若しくは二百万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。

 メーカーや小売業としては、200万円以下の罰金よりも世間の評判が地に落ちることのほうが大きな問題かもしれません。
 したがって、薬機法のギリギリを攻めようなどという発想を持たずに適切に法令遵守していただきたいものです。

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