welqなど薬機法無視のフェイクSEO記事に関しての一薬剤師としての見解

2016年11月26日に書いたブログです。この件に関しては所属するココカラファインで立てた戦略および一薬剤師として非常に感じるものがありましたので、熱くなってます。

DeNAがやってるウェルク(Welq)っていうのが企業としてやってはいけない一線を完全に越えてる件(第1回) | More Access! More Fun!

この件に国家資格者の一人としての個人的見解を

薬剤師法第一条で薬剤師の任務が定められています。

「薬剤師は、調剤、医薬品の供給その他薬事衛生をつかさどることによつて、公衆衛生の向上及び増進に寄与し、もつて国民の健康な生活を確保するものとする。」

公衆衛生というのは「組織された地域社会の努力を通して、疫病を予防し、生命を延長し、身体的、精神的機能の増進をはかる科学であり技術」です。

任務の

【目的】は国民の健康な生活を確保することです。

【手段】として薬事衛生を司る、すなわち薬品や食品などを国民が安心して使えるように、薬学の専門家の立場から管理や環境整備といった活動をするということになります。

昨日、DeNA社から医師・薬剤師が監修に当たるという発表(このリリース自体誰が責任者として対応しているのか不明です。普通こういうリリースは社長名や広報部長名が記載されているのに、誰も責任を取ろうという意識がないのでしょうか)がされました。

「公開されている記事について、専門家による監修を実施します。監修の結果、問題があると判断した場合は記事の削除等の措置を行います。」

これは公開される前に監修を行わないと駄目だと考えます。SEOを効かせた記事を多くの一般の方が目にして中には信じて間違ったことをしてしまう人も出てきますので。

また、健康、薬に関する書き込みはこういったサイトだけでなく、ヤフー知恵袋やOKWAVEのようなFAQサイトでも行われています。一般の方の書き込みに一般の方がリアルな知合いの代わりに答えるWEB井戸端会議のような場であるわけです。回答には的確な場合もありますし、そうでない場合も多々あります。

弊社ではOKWAVEに専門家薬剤師としての回答を行っています。回答をする目的は商品を売るためではなく、文頭で書いた薬剤師の任務を果たす活動の一環と考えています。

OKWAVE 専門家薬剤師ココカラファイン

一例として、店頭ではなかなか相談しにくいデリケートゾーンのかゆみに関する質問がありました。それに対しての回答。

デリケートゾーンのかゆみについて – 婦人科・女性の病気| 【OKWAVE】(専門家のQ&A)

一般の方の回答には、「市販薬のチューブ入りの「フェミニーナ軟膏」をお試しください。一発で収まります。収まらない時、病院へ。」であったり「処方された薬は、フェミニーナ軟膏と同様のクリームタイプのかゆみ止めで、これを塗ってもかゆみが続くようであれば、飲み薬である抗生物質を処方すると言われました。」とご自身の受診した時の経験を書かれているかたがいます。

おそらく後者の方はカンジダではないという診断結果を前提としての処置がなされたのだと思います。しかし、この質問者の方はまだ受診していない状態です、つまりカンジダを含めた検査をしていないので回答者の方とは状況が違います。また、耳鼻科で抗生物質を飲んでいるという情報から真菌であるカンジダが繁殖しやすい状況にあると推測できます。

以上の情報を元にリンクの書き込みをした結果、質問者の方は受診をすると回答をしてくれました。

この回答は薬局店頭で行う接客に加えて、各種法律を考慮したガイドラインを作成し、ガイドラインとのボーダーライン上であれば薬剤師の資格を持った弁護士先生に個別の相談を受けた上で回答をしています。

回答の内容により要する時間も異なるのですが、平均30分近い時間がかかっています。これを専門知識もガイドラインもないフリーライターに記載させて、有資格者がチェックだけするとしたら出戻りだらけでどうにもならないことは容易に想像できます。

地味な活動ですが、「国民の健康な生活を確保」出来るように正しい情報を広めていきたいと考えます。

※各種法律:医薬品、医療機器等の品質、 有効性及び安全性の確保等に関する法律(通称 薬機法。1年前に薬事法に医療機器も法律の範囲内に組み込まれて名称が変わっています)、医師法、景表法等。

__________追記__________

その後、OKWAVEの活動が評価されてOKWAVE AWARDを受賞することができました。しかも史上初のW受賞(専門家と企業)でした。この時は本当に嬉しかったです。

日本最大級の Q&A サイト「OKWAVE」の優良回答者を表彰する「OKWAVE AWARD2017」でココカラファインが専門家部門と企業部門をダブル受賞!

お読みいただき、ありがとうございました。
記事をお読みいただいた方に最適化された広告です。

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