【過去記事】セルフメディケーションと医療用医薬品

医薬品区分

【2016年12月14日】の過去記事です。

セルフメディケーションと医療用医薬品について、薬剤師として長年グレーゾーンと感じていたことに関して気になるニュースを目にしました。

マイナビニュース:処方せんがなくても病院の薬が買える「薬局」が東京都・池袋にオープン

『同薬局は、薬を自身で選び、治療する「セルフメディケーション」をサポートする薬局。体調が悪いとき、通常は病院を受診して処方せんをもらい、薬局で薬を買うというのが一般的な流れだが、同薬局では、医療用医薬品を処方せんなしで購入できる。経験豊富な薬剤師や看護師がカウンセリングしながら、約7,000種類の医療用医薬品を販売する。処方せん医薬品(販売するのに処方せんが必須の薬)は販売していないとのこと。』

この手の薬局は知っている限り新潟と北海道に一軒ずつあり、どちらも存続されているようなので、継続できる収益はあげられているようです。

都内繁華街に進出ということで話題になったわけです。

その他医療用医薬品(後で解説します)も、原則としては処方せんなしでの販売は出来ないのですが、一般用医薬品では対応できない等やむを得ない場合に必要最小限の販売個数に限定し、記録を作成するといった事項を遵守すれば、処方せんなしでも薬局での対面販売は行うことができます。

「一般用医薬品では対応できない等やむを得ない場合に、処方せん医薬品以外の医療用医薬品を、必要最小限の販売個数に限定して販売する」というかなり限られた状況に限定した薬局が成り立つのか?薬剤師であるとともに一人の元経営者(今はサラリーマンです)として興味を引きます。

『細かいことが気になるのが私の悪い癖…』というわけで、

1)行ってきました。

2)説明を受けてみました。

3)買ってみました。

内装も、接遇もなかなか良い感じ、薬剤師さんの知識も一定以上あると感じまして好感がもてました。

 

さて、本題に入ります。

一般の方は医療用医薬品の中に、要処方せん医薬品とそうでないものがある認識もないと思います。処方せん医薬品を処方せんなしに譲受したらアウトですが、薬局医薬品という言葉ができたあともこのグレーゾーンが残ったままなんですよね。

医薬品の分類と販売(授受)方法は図を書くとこんな感じです。

医薬品分類と販売(授受)方法

医薬品分類と販売(授受)方法

今回話題になっているのは黄色の部分。

通常は医師の診断にもとづいて処方せんが発行されて、薬局で受け取る医薬品の中には、処方せんなしには授受できない医薬品 と その他があります。

 

医療用医薬品に関する厚生労働省からの通達 はわかりにくいので要点を簡略化して、かつ補足とチェックポイントを追記して以下記載します。引用を多く含みますが、とにかくわかりにくかったので編集もかなり入れてますので、上記リンク引用ということで。。。

薬局医薬品のうち、処方箋医薬品以外の医療用医薬品についても、処方箋医薬品と同様に、医療用医薬品として医師、薬剤師等によって使用されることを目的として供給される。

このため、処方箋医薬品以外の医療用医薬品についても、効能・効果、用法・用量、使用上の注意等が医師、薬剤師などの専門家が判断・理解できる記載となっているなど医療において用いられることを前提としており、大規模災害時や助産師・救急救命士の臨時応急処置等の場合を除いては薬局においては、処方箋に基づく薬剤の交付が原則である。

なお、一般用医薬品の販売による対応を考慮したにもかかわらず、やむを得ず販売を行わざるを得ない場合

つまり、まずは A)症状に応じた一般用医薬品の販売を行うのが原則 です。

などにおいては、必要な受診勧奨を行った上で、以下の留意事項を遵守するほか、販売された処方箋医薬品以外の医療用医薬品と医療機関において処方された薬剤等との相互作用・重複投薬を防止するため、

B)患者の薬歴管理を実施する

よう努めなければならない。

 

留意事項

1.販売数量の限定

医療用医薬品を処方箋の交付を受けている者以外の者に販売する場合には、当該医療用医薬品を使用しようとする者の他の薬局開設者からの当該医療用医薬品の購入状況を確認した上で、販売を行わざるを得ない

C)必要最小限の数量に限って販売しなければならない。

2.

D)販売記録の作成

薬局医薬品を販売した場合は、品名、数量、販売の日時等を書面に記載し、2年間保存しなければならない。

また、購入した者の連絡先を書面に記載し、これを保存するよう努めなければならない。

3.

E)調剤室での保管・分割

医療用医薬品については、薬局においては、原則として、医師等の処方箋に基づく調剤に用いられるものであり、通常、処方箋に基づく調剤に用いられるものとして、調剤室又は備蓄倉庫において保管しなければならない。また、薬剤師自らにより、調剤室において必要最小限の数量を分割した上で、販売しなければならない。

4.その他

(1)広告の禁止

患者のみの判断に基づく選択がないよう、処方箋医薬品以外の医療用医薬品を含めた全ての

F)医療用医薬品について、一般人を対象とする広告は行ってはならない。

(2)

G)服薬指導の実施

処方箋医薬品以外の医療用医薬品についても、消費者が与えられた情報に基づき最終的にその使用を判断する一般用医薬品とは異なり、処方箋医薬品

と同様に医療において用いられることを前提としたものであるので、販売に当たっては、これを十分に考慮した服薬指導を行わなければならない。

(3)

H)添付文書の添付等

分割販売に当たることから、販売に当たっては、外箱の写しなど規定する事項*を記載した文書及び添付文書又はその写しの添付を行うなどしなければならない。

*規定する事項=(直接の容器等の記載事項)第五十条  医薬品は、その直接の容器又は直接の被包に、次に掲げる事項が記載されていなければならない。ただし、厚生労働省令で別段の定めをしたときは、この限りでない。  一  製造販売業者の氏名又は名称及び住所 二  名称(日本薬局方に収められている医薬品にあつては日本薬局方において定められた名称、その他の医薬品で一般的名称があるものにあつてはその一般的名称) 三  製造番号又は製造記号 四  重量、容量又は個数等の内容量 五  日本薬局方に収められている医薬品にあつては、「日本薬局方」の文字及び日本薬局方において直接の容器又は直接の被包に記載するように定められた事項 六  要指導医薬品にあつては、厚生労働省令で定める事項 七  一般用医薬品にあつては、第三十六条の七第一項に規定する区分ごとに、厚生労働省令で定める事項 八  第四十一条第三項の規定によりその基準が定められた体外診断用医薬品にあつては、その基準において直接の容器又は直接の被包に記載するように定められた事項 九  第四十二条第一項の規定によりその基準が定められた医薬品にあつては、貯法、有効期間その他その基準において直接の容器又は直接の被包に記載するように定められた事項 十  日本薬局方に収められていない医薬品にあつては、その有効成分の名称(一般的名称があるものにあつては、その一般的名称)及びその分量(有効成分が不明のものにあつては、その本質及び製造方法の要旨) 十一  習慣性があるものとして厚生労働大臣の指定する医薬品にあつては、「注意―習慣性あり」の文字 十二  前条第一項の規定により厚生労働大臣の指定する医薬品にあつては、「注意―医師等の処方箋により使用すること」の文字 十三  厚生労働大臣が指定する医薬品にあつては、「注意―人体に使用しないこと」の文字 十四  厚生労働大臣の指定する医薬品にあつては、その使用の期限 十五  前各号に掲げるもののほか、厚生労働省令で定める事項

原文読み解くのは大変です(*_*;

さて、この「薬局」さんがどうだったかをコメントします。

A)症状に応じた一般用医薬品の販売を行うのが原則

→痰が絡むので病院でもらうムコダインがほしいと言ったところ、ムコダインはないがジェネリックはある。どうしてもムコダインということであれば取り寄せできますとのことでした。また、そもそも市販薬は置いていませんでした。調剤室にあるのかもしれませんが。

× 一般用医薬品で痰に効く薬は存在します。

例えば、ストナ去たんカプセル

http://search.sato-seiyaku.co.jp/pub/search/dispproduct.php?productid=775

B)患者の薬歴管理を実施する

不明 調剤(保険)薬局と同じフォーマットの初回インタビューは受けました。その後管理がされているかは不明です。

C)必要最小限の数量に限って販売しなければならない

 1シート、外用剤なら1パッケージを基本としての販売でした。ただし、コデイン配合剤に10錠と100錠の2パターンのプライシングがされていたので、たくさん欲しい人が来た時どうなるかは1回行っただけではわかりませんでした。

D)販売記録の作成

不明 連絡先は初回インタビューのシートに記載してますので、作成は可能ですが作成されているかは1顧客にはわかりません。

とはいえ、接遇等しっかりされてましたので、作成されていると思います。

E)調剤室での保管・分割

 これは明確です。

ただし、当日は薬剤師の方1名でしたが、最初の記事で薬剤師だけでなく看護師さんも相談に乗られると書いてありました。

看護師さんには調剤室でこの作業をすることはできません。

F)医療用医薬品について、一般人を対象とする広告は行ってはならない。

 Facebookで北海道の同様の薬局に行った薬剤師の書き込みをみたところ、北海道ではHPに薬品名と価格を記載することも広告行為とみなされて禁止されているそうです。このあたりは行政担当者により判断が分かれます。東京都がどうかは存じませんので、△。こういうことがグレーゾーンを生みやすい部分でもあると思います。

G)服薬指導の実施

 普通の薬局と同様です。

H)添付文書の添付等

× 説明書必要ですか?ということで、くすりのしおり(薬局の薬品情報提供書に近いもの)をもらいました。

しかし、薬機法50条で規定されている情報はありません。特に使用期限の記載がどこにもない状態で薬を受け取ることになります。最近の薬はPTPシートにGS1コードが入っていますので、ご自宅にGS1コードの読める端末のある方は問題ないですけどね………………………………………………………………………………

…………………………………………………………………………………

……………………………………………って、いないですよね。。。

 

■まとめ

この薬局さんが普通の保険薬局だとしたら、患者さんの支持が得られる良い薬局の部類だと感じました。

適法という点で見ると、上述のAとHに明確に問題があります。逆にいうとここを改善すればグレーではない存在ということになります。

ただし、Hに関しては、医療関係者向けの情報と一般の患者さん向けの情報は同じでは「セルフメディケーション」できないというのが私個人の見解です。

これは大問題で、医療用医薬品はOTCと異なりセルフ(自己責任)で使用するための生活者向け添付文書にもOTCのような生活者向けのパッケージにもなっていません。医療従事者用の添付文書で一般の方が誤用・誤認識するリスクも高いです。

医療用医薬品は、医師、薬剤師などの専門家による医療において用いられることが前提となっており、添付文書も専門家向けに書かれています。

医療用医薬品としてパッケージングも含めた作られた医薬品をセルフメディケーション目的で提供するのではなく、そういったものは薬価収載品から外して、一般用医薬品とするべきではないかと一薬剤師として考えます。

薬剤師以外の方に質問です。OTCと医療用医薬品のどちらの添付文書だと

セルフメディケーション

できそうだと思いますか?

◇OTCケナログの添付文書

効能・効果
口内炎、舌炎

・こんな症状に
口内炎:口の中の粘膜が赤くはれ、熱いもの、すっぱいものを口に入れると痛みます。
舌炎:舌が炎症をおこしてしみます。
………

働き:患部の炎症を鎮め、口内炎・舌炎を改善します。
………

 

◇医療用ケナログの添付文書

効能又は効果
慢性剥離性歯肉炎,びらん又は潰瘍を伴う難治性口内炎及び舌炎
………

薬効薬理

1. トリアムシノロンアセトニドの作用
トリアムシノロンアセトニドは,糖質代謝作用,抗炎症,抗アレルギー作用が強く,しかも鉱質代謝作用が弱いため,ナトリウム,水分の体内貯留に基づく浮腫などが少ないという特長を有する。コルチコイド活性に関する動物実験(ラット)から抗炎症作用,胸腺退縮作用,肝グリコーゲン貯留作用が明らかにされている。また,副腎摘出ラットの延命効果,作用の持続時間,皮膚透過性においても優れている。

2. 基剤の接着性
ゼラチン,プルラン,カルメロースナトリウム,ゲル化炭化水素(ポリエチレン,流動パラフィン)を混合した基剤で,湿潤した粘膜面への接着性を有し,トリアムシノロンアセトニドの作用を発揮させると共に,患部を保護する。(ORABASE)
………

 

■おまけ

収益性について

私が購入したカルボシステイン「テバ」500mgは10錠324円でした。

同剤の薬価は5.6円、仕入れが9掛けとすると5.6*0.9*10*1.08=54.4円

利益は271.6円です。

ここから取り扱い医療用医薬品リスト、くすりのしおり、ビニールパック等から電気水道までの変動費、

家賃や薬剤師、看護師人件費、内外装・什器の減価償却費といった固定費がかかるわけで、

私がいた15分ほどで他に来客はありませんでしたので、単純に人件費もペイしません。

かなり厳しいですね。

取り扱い医療用医薬品リストを眺めていると ◎お勧め品 として8品載っていました。

一例として、クラシエ防風通聖散錠378錠 2,160円

薬価は2.5円、仕入れが9掛けとすると2.5*0.9*378*1.08=918.5円

利益は1241.5円です。 これなら1時間に4ケ売れればペイしそうです。

…が…取り扱い医療用医薬品リストでの説明文が

「市販だとナイシトールの医療版です。1箱2000円と大変お得…」

あれ?

上記しましたが『なお、一般用医薬品の販売による対応を考慮したにもかかわらず、やむを得ず販売を行わざるを得ない場合(つまり、まずは症状に応じた一般用医薬品の販売を行うのが原則です。)などにおいては、必要な受診勧奨を行った上で…』

あれ?

投稿者プロフィール

ngunji
ngunjingunji.com
自部署→自社→業界→社会。全体最適を思考する経営戦略が好きなマーケティングとECの責任者かつ薬剤師。
特技:プロアクティブなマーケティング戦略策定。