リーダーとボスの違いを図にすると、以下のようになります。
リーダーとボスの違い
Goalにたどり着くために必要なのは、ボスではなくリーダーです。
なぜならば、自分の目でGoalに一歩ずつ進むために、軌道修正が的確であることが必要だからです。自分の目でGoalに向かって歩くことで、方向のズレに早期に気づけます。
また、リーダーの発言だけでなく行動が見えることも利点です。部下もGoalを共有できるので目線が社内でなく、Goalに向かうということで、組織全体がGoalに向かうことができます。
肝心なのは、全員にGoalが具体的に見えているかどうかです。
リーダーシップに必要とされる能力
リーダーとリーダーシップはイコールではありません。
リーダーは組織の役割としての機能であり、リーダーシップは組織におけるポジションに関係ありません。
リーダーシップは、「チームをけん引していく能力を発揮すること」です。
企業におけるリーダーは、チームの方向性を決め、その方向に向かってけん引し、結果を出すことが求められます。リーダーシップのないリーダーは機能しません。また、組織のリーダーでなくても、リーダーシップが必要な場面は多数あります。
組織におけるチームには、出身や年齢、学歴、生活環境の異なるメンバーが集まっています。
多種多様な人をけん引していくリーダーシップにはどのような能力が必要でしょうか?
チームをまとめるには、他のメンバーとのコミュニケーションを大切にしてチームをまとめ、信頼を得る必要がありますよね。
また、共通のビジョンを掲げ目標を達成させるためにメンバーをけん引し、メンバーが能力を発揮しやすいように行動できる行動力、メンバーの誰かが病欠しても業務を代わりに処理できる業務遂行能力、メンバーが業務の処理方法で困っている時に的確に指示できる判断力が必要になります。
リーダーは、目標を達成する途中でトラブルが生じた時にどうすべきか決断する決断力、任務を最後までやり遂げる強い信念を持っていることが大切です。
マネージャーとリーダーの違い
先程の図に追記して、マネージャーの役割を表しました。
マネージャーはヒト・モノ・カネの資産やリスクを管理して、経営目的を維持、発展させる仕事です。
マネージャーとマネジメントの関係は、リーダーとリーダーシップの関係に似ています。
マネジメントとは
マネジメントとは本来、経営手法の1つで資源や資産、リスクを管理することで経営目的を維持し、発展させることです。
多くの企業で馴染みのあるマネジメントは、人的マネジメントであり、マネージャーと呼ばれる役職が行う仕事のことです。
企業におけるマネジメントの役割を列挙していきます。
まず、ビジョンを設定して、目的を果たすためのゴールを設定します。大ゴールに関しては、企業のトップマネジメントの権限と責任です。部署のマネージャーは企業トップとコミュニケーションを取りながら、これを設定していきます。
日本の肩書でいうと、本部長・執行役員級や事業会社社長の仕事です。
次に、ビジョンを達成するために必要な予算や何をどう進めれば業務を遂行できるのかを分析し、分析に基づき組み立てた業務工程をさらに細かく作業にまで落とし込み、どのような連携をとって業務を遂行するか組織構造にまとめます。
組織構造にまとめた作業を行う人選を適材適所で配置してチームを組み、メンバーのパフォーマンスを最大限に活かすために、個々に目標を持たせてモチベーションを管理します。
肩書でいうと、部長やプロジェクトリーダーの仕事です。
また、業務のスケジューリングやゴール(納期)に行きつくまでの工程表を作成しますが、途中で変更になることがあります。その時には早い意思決定と柔軟性を発揮して、再度作業や役割を振り直してゴールに間に合うように調整します。
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リスクマネジメントもマネジメントの重要な役割です。
組織構成やチームメンバー、業務の納期、起こりうる事象などあらゆる角度からリスク要因として考えられることを洗い出し、リスクの大小を把握したうえで、大きなリスクを回避するにはどのような対策を取るか検討をして、必要な対策を施します。
組織が機能するためには評価が必要です。メンバーの評価だけでなく、業務遂行の過程についても評価をしてPDCAサイクルを回して改善していきます。 メンバーの評価を行い、結果をフィードバックして業務レベルの向上を図ります。
なお、組織・チームの責任をとるのもマネージャーの仕事です。
ビジョンの作成から業務が期日までに終わるようにマネジメントをしているため、任された組織・チームの成果について全責任を取らなければなりません。
成果は財務的な数字だけでなく、業務の進捗状況であったりメンバーのパフォーマンスやプロセスの是非も含まれます。
以上から、マネジメントを行うには分析能力、組織構成や業務工程を作成する業務把握能力、業務が変更になっても調整できる柔軟性とリスクへの敏感性、経営層とメンバーの間を調整する能力、決断力、行動力、コミュニケーションスキルが必要です。
ドラッカーのマネジメント
さて、マネジメントといえば、偉人ドラッカーです。私が「マネジメント」について名言と思ったものをいくつか引用します。
マネジメントとは、人にかかわるものである。
「マネジメント」 P.F.ドラッカー
その機能は人が共同して成果をあげることを可能とし、強みを発揮させ、弱みを無意味なものにすることである。
マネジメントのほとんどがあらゆる資源のうち、人が最も活用されず能力も開発されていないことを知っている。
だが、現実には、人のマネジメントに関するアプローチのほとんどが、人を資源としてではなく、問題、雑事、費用として扱っている。
マネージャーの役割は、部分の和よりも大きな全体、すなわち投入した資源の総和よりも大きなものを生み出す生産体を創造することである。
オーケストラの指揮者のように、リーダーの行動、ビジョン、指導力を通じて各メンバーを統合し、創造的なものとして活かすことである。
人のマネジメントとは、人の強みを発揮させることである。人は弱い。悲しいほどに弱い。
「創造する経営者」 P.F.ドラッカー
問題を起こす。人とは費用であり、脅威である。
しかし人はこれらのことゆえに雇われるのではない。人が雇われるのは、強みのゆえであり能力のゆえである。
組織の目的は人の強みを生産に結びつけ、人の弱みを中和することにある。
リーダーシップとマネジメントの違いと共通スキル
リーダーシップは、チームを目標に向かって進めることを指し、マネジメントは企業内の資源を管理する事といえます。
リーダーシップとマネジメントは異なるものではありますが、必要とされる能力には共通する点もあります。
リーダーシップとマネジメントには共通して以下の要素が必要です。
・ビジョンを実現するまでやり遂げる意志の強さ
・決断力
・行動力
・コミュニケーションスキル
・業務処理スキル
・メンバーの育成能力
企業組織において、一定以上の役職になるためには、リーダーシップとマネジメントはどちらも不可欠です。タイヤの両輪ともいえるでしょう。
もし、どちらかに得意・不得意があるのであれば、自覚して挑戦すると同時に、カバーできる補佐役を用意するのも一つの手段です。
今回、頭の中だけで書いたのですが、リーダーとマネージャーの違いは大前研一さんの「プロフェッショナルリーダーシップ」30Pにも書かれています。
・マネジャーは管理し、リーダーは変革する
・マネジャーは現状を受け入れ、リーダーは現状に挑戦する
・マネジャーは管理して人を動かそうとするが、リーダーは心に働きかけて人を動かす
・マネジャーはものごとを正しく処理し、リーダーは正しいことをする
・マネジャーは複雑さに対処し、リーダーは方向を示す
プロフェッショナル リーダーシップ―結果を出す意志とスキル BBT大学シリーズ
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なお、リーダーとしての精神論はたくさんの書籍が出ていますが、元スターバックスジャパン社長の岩田氏の本がオススメです。
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