インシデント対策として業務省略に着目する重要性:調剤薬局事例

薬局業務の話ですが、ほかの事にも共通だと思います。

監査漏れによるインシデントが発生

 年末年始の医療機関休日の影響もあり、薬局では薬剤師・事務全員が朝から忙しく働いている状況。
 その中で監査もれがあり、インシデントが起きた。

この状況を分析してみます。

1枚につき処方箋受付から監査までを4分で行えるメンバー構成とシステムで処方箋10枚が受け付け待ちになっているとします。
(実際は処方の軽重がありますがモデルを単純化します)

すると10枚目の患者様の待ち時間は40分ということになります。

状況を受け入れて待ち時間が40分で問題ないと思えれば急ぎません。

しかしながら、普段から20分以上は待たせないという方針の薬局は焦ります。平均4分の業務を2分に短縮しようと急ぎます。待合室の患者様から見て「忙しそう」という動きになります。

通常4分かかる作業を2分で行うということは、言い換えると何らかの行程を省略しているとも言えます。
省略の内容は人によりますが、いつもしている一文字監査を端折ったり、自己再監査を省略したり、配合変化や相互作用チェックといった思考の省略もありえます。

「忙しそう」を「4分の業務を2分に省略していた」とするとあるべき姿と悪い状態を明文化できます。

注意を払うべき点として、常日頃から日常業務に疑問や不満を持っている人が事例分析の場を利用して自分の考えをアピールしてしまうことがあります。それはわがままなわけではなく改善意欲の現れといえるので、頭から否定すべきではありませんが、ロジカルシンキングに支障を来すことがあります。

例えば、「人が足らない」と常に思いながら業務をしている人は「人数が足らないから今回の事故が起きた。だから解決には人数を増やすことが必要だ。」と最終結論が出るように分析を進めていきます。

また、「ダブルチェックをしておけば防げた」と思いついた人が「ダブルチェックをしていなかったので・・・」とマニュアルにないあるべき姿でギャップを発生させてしまっているのに、グループで時間をかけた解決策がダブルチェックを導入するという分析前の思いつきに戻っていることがあります。

しかし、意外と本人や周りの人、上司でさえこのループに気づいていません。

冷静さを取り戻す方法

英語風に I think …「私は思う…」と頭に浮かべてみましょう。すると「分析に熱くなって自己主張を入れすぎたかな?」と気づくことができます。

日頃から、省略して良い業務、してはいけない業務を明文化して、ベストパフォーマンスで1枚何分でできるかを追求し、そのパフォーマンスが発揮できるように頑張ることが重要と考えられます。

焦りから、省略してはいけない業務を省略することが最も最悪の結果になる可能性が高いというふうに考えるわけです。

お読みいただき、ありがとうございました。
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