Levittownから西に道一本のところにあるEast Meadow地区の視察です。
Stew Leonard’s
Stew Leonard’sは、小売業の本質の表紙写真にも使った素晴らしく楽しい演出のあるワンウェイコントロール型スーパーマーケットです。
ルール1: The customer is always right! (お客様はいつも正しい)、2: If the customer is ever wrong, reread Rule 1.”(もしお客様が間違っている(と感じる)ことがあるなら、ルール1を読み返せ)を徹底した素晴らしい店で、GoogleMap評価がどの店舗も4.5以上という評判の良い店です。
スチューは牧場主で創業者の名前が店名で、ミルクの配送から始めたスーパーなので牛乳および関連商品に力が入っています。
スーパーマーケットのテーマパークと呼ばれる徹底した好感度サービスで支持を得ています。平均3,000坪と食品スーパーマーケットとしては大型の店舗です。7店舗しかないが、年商4億8千万$(145円換算で696億円)と1店舗当たりがトップクラスの年100億円売る人気店です。
店内光景はYouTubeにアップしました。楽しい店づくりの一端が伝われば幸いです。言葉よりも伝わるのは間違いないので、ここではコメントを省きます。
スチューはアメリカ東部にしか店舗がないので、6年ぶりの訪店でした。
まさか店頭ボードや店内サイネージで、自社アプリの訴求をするようになるとは思いませんでした。Trader Joe`sのようにアナログオンリーを続けていると思ったので意外でした。
The customer is always right! (お客様はいつも正しい)に従った結果なのでしょう。小売業は変化対応業です。そして、変化するのはお客様なのですから。
LiDLへの移動中にStew Leonard’sのバックヤード側を目にしました。
ここで目にしたものは2つあります。
一つは圧縮機で圧砕された段ボール。廃棄物を含めた物流効率を上げるために有効と考えられる機械ですが、日本で導入している企業は少ないのではないでしょうか?
もう一つは倉庫に挿さるコンテナです。なぜ挿したままトラックが帰っていくかというと、このコンテナをそのまま倉庫代わりに使用するわけです。数日〜1週間後次のコンテナが届くまで差しっぱなしでいくことによって、倉庫整理の手間が激減します。荷物の積み下ろし頻度を最小化する合理的な工夫です。
物流改革に本気で取り組むならば、日本にも応用できる手法と考えられます。サイズ感は別として。日本の流通関係者はスチューを視察すると「今までの延長線上で良いものを揃えれば良い」と自己肯定モードにはいりがちですが、それは観察力・分析力の不足によるものです。
LiDL
創業1930年。ドイツ本社のハードディスカウンターです。
2017年アメリカ進出。2022年3月にALDIのRoman Heini取締役が米LIDL会長就任しています。
PB商品が9割にも及び、高品質低価格コンパクトな店舗で無駄を無くす経営方針です。
平均620坪だが、近年は430坪とコンパクトな店を数出しています。視察した店舗も400坪強の規模でした。レーザー距離計も持参していましたが、ツアー解説の仕事で来ましたので、さすがに測定・計算する時間がありませんでした。
アメリカは170店舗(グローバル10,500店舗)ですが、近年NY近辺に積極出店しています。
LiDLは頻繁に比較対象になるALDIと非常に似た品揃え・プライシング・店舗オペレーションの店舗です。商品は自社規格の段ボールで納入されて、片面をカットして陳列されています。
さらに従業員・来店客の誰でもが分かるように色分けされています。これにより補充ミスが少なくなるし、見た目も統一されるわけです。
PB比率が高いので他社との比較がしにくいのですが、牛乳・卵といった基本商品の価格はWalmartよりも明確に安いです。ただし、オペレーション・ストアコンディションを考えると後で見たALDIの方が明確に優れていました。個人的にはLiDLよりもALDIが優れていると感じました。
こういった店舗でもプラントベースのベジタブル麺などが大量に陳列されていたことからも、数年前とは生活者ニーズの明確な変化が見てとれます。
なお、LiDLは基本的に食料品店ですが、アウトレット仕入れができた雑貨品などでのラインロビングも行っています。
RITE AID
かつてアメリカのドラッグストア3強であったRITE AIDは経営状態の悪化でWalgreenへの売却を行いましたが、アメリカの独占禁止法に引っかかり一部店舗の譲渡に留まり、多くの店舗はRITE AIDとして経営を維持しています。
もはや、あえて視察するほどのチェーンではないのですが、スチューとLiDLの間にあったので、店内を一回りしました。
店舗そのものは3年前までと変化の少ないものでしたが、スマホアプリ啓蒙とBOPISに注力していたことが印象的でした。