「越境EC」とは
「越境EC」とは、自国以外の海外消費者に向けて商品やサービスを販売するオンライン取引（電子商取引）のことです。
例えば日本の小売企業が、自社のECサイトを通じてアジアや欧米の顧客に直接商品を販売したり、逆に海外ブランドが日本の消費者向けにネット販売を行うケースが該当します。国境を越えたeコマースであることから「越境EC（Cross Border EC）」と呼ばれ、言語・通貨・物流など国ごとの違いに対応した販売活動が求められます。
「越境EC」の重要性
少子高齢化が進む国内市場だけでなく、海外市場への販路拡大を図る上で越境ECは重要な戦略です。オンラインで世界中の顧客にリーチできるため、小売企業にとっては潜在顧客数が飛躍的に増加します。
実店舗展開が難しい国でもECなら比較的低コストで出店可能なため、新興国を含めた売上チャネル多角化につながります。また訪日外国人（インバウンド）需要を一過性で終わらせず、帰国後も自社ECで継続購買してもらう仕組みとしても有効です。
海外展開することで自社商品のブランド認知をグローバルに高める効果も期待できます。
「越境EC」とIT活用
越境ECを成功させるには、各国向けに最適化したITプラットフォームの活用が欠かせません。
まず、多言語・多通貨対応のECサイト構築が基本です。商品情報の自動翻訳機能や、現地通貨建てで価格表示・決済できるカートシステムを導入することで、海外顧客が利用しやすい環境を整えます。
加えて、世界各地への配送をスムーズに行うために、国際物流に対応した在庫管理システムや配送追跡システムを連携させます。
例えば、注文が入ると倉庫管理システム（WMS）から発送指示が自動連携され、配送状況も顧客がオンラインで確認できるようにします。さらに、各国のマーケットプレイス（AmazonやAlibabaなど）と自社在庫を連動させるOMS（受注管理システム）を導入すれば、複数チャネルの在庫・受注を一元管理できます。
越境EC専用の決済サービスや、不正取引検知システムなどセキュリティ面のIT活用も重要です。これらデジタル基盤を整えることで、言語や距離の壁を越えてシームレスに海外販売を展開できます。
まとめ
越境ECは、自社の商品を世界に届ける小売DX戦略の一つです。ITを駆使して現地ニーズに合わせたオンライン店舗を構築し、グローバルな顧客基盤を獲得することで、新たな収益源を創出できます。
ただし各国の商習慣や規制への対応も必要なため、システム面・業務面の両準備が重要です。越境ECを通じて国内外の垣根なくビジネスを展開することが、これからの小売業の成長につながるでしょう。
