バターとマーガリン、健康への影響は今どうなっている?

「マーガリンは体に悪い」「バターの方が自然だから健康的」といった話を耳にしたことはないでしょうか?
しかし、アメリカ等における部分水素添加油脂の規制と製造技術の進歩により、マーガリンとバターの健康影響に関する評価は大きく変わりつつあります。

バターは牛乳、マーガリンは植物性油脂が主原料

バターは生乳(搾乳したままの牛の乳)や牛乳(加熱殺菌した生乳)から作られる純粋な乳製品です。製造過程では乳脂肪分を分離し、これを撹拌・凝集させることでバターの形状に仕上げます。
一方、マーガリンは大豆油、なたね油、コーン油、パーム油などの植物油脂と動物性油脂を主原料とする加工食品です。これらの食用油脂に水分や乳化剤、場合によっては着色料、香料、ビタミン類などを加えて混合乳化し、冷却固化させて製造されます。マーガリンの特徴は原料の組み合わせを変えることで、固さや風味の異なる多様な製品を作り出せる点にあります。

トランス脂肪酸を巡る誤解と現実

かつてマーガリンは、製造過程での部分水素添加油脂の使用によって多量のトランス脂肪酸を含み、心疾患リスクの上昇など健康への悪影響が指摘されていました。このイメージが「マーガリンは危険」という認識を広めた主な原因です。
しかし、これは過去の話です。現在の状況は大きく変わっています。

2018年以降、米国では部分水素添加油脂の食品利用が原則禁止され、日本でもメーカーの自主的な改良が進み、現在流通しているマーガリンのトランス脂肪酸含有量は著しく低減しています。かつての10分の1以下まで減少した製品が多く登場しています。

興味深いことに、現代のマーガリン(10g当たり約0.1g)は、バター(10g当たり約0.2g)よりもトランス脂肪酸が少ないという調査結果もあります。

誤解していませんか? マーガリンのトランス脂肪酸

健康リスクからの比較

トランス脂肪酸

現代のマーガリン製品では含有量が非常に低くなっており、WHO推奨値(総摂取エネルギーの1%未満)を大きく下回っています。日本人の平均摂取量は総エネルギー摂取量の0.3~0.6%程度で、すでに安全な範囲内です。

飽和脂肪酸

バターに多く含まれる飽和脂肪酸は、LDLコレステロール(悪玉)を増やし、心疾患リスクを高めることが知られています。マーガリン(特にタブやチューブ入りの柔らかいタイプ)は飽和脂肪酸含有量が少なく、バターよりも心血管疾患リスクが低いと考えられています。

製品選びのポイント

より健康的な選択をするならば、次の点に注目しましょう。

マーガリン選びのポイントは、まず「部分水素添加油脂不使用」の表示があるものや「トランス脂肪酸低減」などの表示があるものがお勧めです。

まとめ

現在のマーガリンは、かつての「危険な食品」というイメージから大きく改善されており、バターと比較した場合、健康リスクはむしろ低いと考えられます。特に心血管疾患リスクを重視する場合、バターよりも現代のマーガリン(特に柔らかいタイプ)が推奨される傾向にあります。
ただし、栄養バランスの取れた食生活全体が最も重要であり、どちらかに偏った食べ方をするのではなく、多様な食品から必要な栄養素を摂取することを心がけましょう。

※個人の健康状態や特定の疾患がある場合は、医師や栄養士に相談することをお勧めします。

お読みいただき、ありがとうございました。
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