薬機法(Pharmaceutical and Medical Device Act)|小売DX用語

「薬機法」とは

薬機法とは、正式名称を「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律」といい、医薬品・医薬部外品・化粧品・医療機器・再生医療等製品の品質と安全性を守るための法律です。英語では「Pharmaceutical and Medical Device Act」と表記されます。

この法律は、2014年に旧「薬事法」から名称変更されました。改正の目的は、医療機器や再生医療製品に関する規制を整備し、時代に合った法体系にすることでした。小売業の現場では、医薬品の販売区分(要指導医薬品、第1類・第2類・第3類医薬品)に応じた陳列ルールや、広告表現の制限など、日常業務に直結する規定が数多く含まれています。

「薬機法」の重要性

薬機法は、医薬品を取り扱う小売業にとって事業の根幹を左右する法律です。

販売区分に応じた陳列・対応ルールが店舗運営を規定します。 要指導医薬品と第1類医薬品の店頭販売は、薬剤師が常駐し、購入者に直接対面で情報提供を行う必要があります。規制緩和の掛け声とともに要件が緩和される傾向にありますが、これは医療用医薬品からのスイッチを阻害する要因ともなりえます。結果として国民医療費の公費負担軽減が進まない一因となるかもしれません。

第2類医薬品は登録販売者でも販売できますが、情報提供の努力義務があります。第3類医薬品は比較的自由に販売可能です。ドラッグストア(DgS)では、これらの区分に沿った棚割り(商品の配置計画)と人員配置が必須です。

業態によって影響の大きさが異なります。 DgSは売上の約20〜40%を医薬品が占めるため、薬機法の影響を最も強く受けます。コンビニエンスストア(CVS)では、登録販売者を配置して第2類・第3類医薬品を扱う店舗が増えています。大手CVSチェーンでは、医薬品取扱店舗数を拡大する動きが続いています。スーパーマーケット(SM)でも、インストアのDgS併設型で医薬品を販売するケースが見られます。

ネット販売にも厳格な規制があります。 2014年の法改正で一般用医薬品のネット販売が解禁されましたが、要指導医薬品は対面販売が原則です。第1類医薬品のネット販売には薬剤師による情報提供が義務づけられており、ECサイトでの販売体制の構築にはコストがかかります。

「薬機法」とIT活用

DXの進展により、薬機法への対応もデジタル化が進んでいます。

広告審査のデジタル化が急務です。 薬機法第66条は誇大広告を禁止しており、違反には課徴金(売上額の4.5%)が科されます。ECサイトやSNSでの商品紹介も広告に該当するため、投稿内容のチェックが必要です。AIを活用した広告文チェックツールを導入し、「治る」「効く」といった禁止表現を自動検出する仕組みが普及し始めています。健康食品D2C企業などでは、これを掻い潜ろうというグレーな事業者も多く、国民の健康確保の点から厳格に取り締まる必要があります。

陳列管理のシステム化が進んでいます。プラノグラムシステムに薬機法の販売区分データを組み込むことで、要指導医薬品や第1類医薬品が顧客の手の届かない場所に配置されているかを自動チェックできます。DgSチェーンでは、店舗レイアウトの設計段階からシステムで法令遵守を確認する運用が広がっています。

オムニチャネル対応では販売資格の管理が鍵です。 店舗とECの在庫を統合する際、医薬品の販売区分ごとにEC販売の可否を自動判定するロジックが必要です。薬剤師のシフト管理システムと連動させ、薬剤師不在の時間帯にはEC上で第1類医薬品の注文を受け付けない制御を行う仕組みも実用化されています。

電子お薬手帳との連携も進んでいます。 処方薬の情報をデジタルで管理する電子お薬手帳は、DgSにおいてOTC医薬品の販売時にも活用が期待されています。本人が許可している場合は購入履歴と照合することで、飲み合わせの問題を事前に検知し、安全性を高められます。

まとめ

薬機法は、医薬品を扱うすべての小売業態にとって守るべき基本ルールです。販売区分に応じた陳列・人員配置、広告表現の適正化、ネット販売の体制整備など、対応すべき範囲は広いです。DXの観点では、広告チェックの自動化や陳列管理のシステム化、オムニチャネルでの販売資格管理がポイントになります。まずは自社の販売チャネルごとに薬機法上のリスクを洗い出し、IT活用で効率的に法令遵守を実現しましょう。


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