「ドラッグストア」とは
ドラッグストア(DgS)とは、医薬品(OTC医薬品・調剤薬(医療用医薬品))を核として、化粧品、日用品、健康食品などを幅広く取り扱う小売業態です。英語では「Drug Store」と表記します。日本チェーンドラッグストア協会(JACDS)の定義では、セルフサービスを基本とし、医薬品と化粧品を中心に、ヘルス&ビューティケア(健康と美容に関する商品群)をワンストップで提供する店舗とされています。
(保険)調剤薬局との違いを明確にしておきます。調剤薬局は医師の処方箋に基づく調剤業務を主とする施設です。一方、ドラッグストアは処方箋なしで購入できるOTC医薬品(市販薬)の販売を軸に、日用品や食品まで扱う総合的な小売業態です。近年は調剤併設型のドラッグストアが増加しており、両者の境界はあいまいになりつつあります。
スーパーマーケット(SM)やコンビニエンスストア(CVS)との比較では、DgSは医薬品・化粧品の専門性に強みがあります。薬剤師や登録販売者による相談対応ができる点は、他業態にはない価値です。
「ドラッグストア」の重要性
ドラッグストアは、日本の小売業界で最も成長している業態のひとつです。
市場規模は拡大を続けています。 JACDSによると、ドラッグストアの市場規模は2024年度に約9兆円を超えました。店舗数は全国で約2万3,000店に達し、コンビニエンスストアの約5万6,000店に次ぐ規模です。高齢化社会の進展とセルフメディケーション(自分自身で健康管理を行うこと)の浸透が成長を支えています。
食品強化型DgSの台頭が業態の境界を変えています。 コスモス薬品やGenky DrugStoresに代表される食品強化型DgSは、生鮮食品を含む食品の売上構成比が50%を超える店舗もあります。低価格のEDLP(毎日低価格)戦略で集客し、利益率の高い医薬品・化粧品で収益を確保するビジネスモデルです。この動きはSMの顧客を奪う形で進行しており、業態のボーダレス化を加速させています。
インバウンド需要も重要な成長要因です。 マツモトキヨシやサンドラッグなどの都市型DgSでは、訪日外国人向けの化粧品・医薬品販売が大きな売上を占めています。キャッシュレス決済への対応や多言語サービスの整備が、インバウンド対応の鍵となっています。
「ドラッグストア」とIT活用
ドラッグストアにおけるDXは、調剤業務の効率化と顧客体験の向上を軸に進んでいます。
電子処方箋の普及が調剤DXの起点となっています。 2023年に開始された電子処方箋は、処方箋の紙のやり取りを不要にし、患者の待ち時間を短縮します。調剤併設型DgSでは、来店前にスマートフォンで処方箋を送信し、店頭で薬を受け取る仕組みが広がっています。
POSデータとID-POSの活用が進んでいます。 ポイントカードやアプリ会員の購買データを分析することで、顧客一人ひとりの購買パターンを把握できます。たとえば、花粉症シーズンに抗アレルギー薬を購入した顧客に対して、翌年の時期前にクーポンを配信するといったCRM施策が可能です。需要予測にもデータを活用し、季節商品の欠品や過剰在庫を防いでいます。
リテールメディアとしての可能性も注目されています。 DgSが保有する購買データは、メーカーにとって貴重なマーケティング情報です。アプリ等での広告配信を通じて、新たな収益源を確立する動きが始まっています。AIを活用したパーソナライズ販促との組み合わせも期待されています。
まとめ
ドラッグストアは、医薬品の専門性を核としながら、食品や日用品まで取り扱う日本独自の進化を遂げた小売業態です。食品強化による業態ボーダレス化とDXの推進が、今後の成長を左右します。電子処方箋やID-POS活用による顧客体験の向上は、他業態との差別化に直結します。ヘルスケアとデジタルの融合が進むこの業態の動向に、ぜひ注目してください。
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