薬剤師(Pharmacist)|小売DX用語

「薬剤師」とは

薬剤師とは、6年制の薬学課程を修了し、国家試験に合格した医薬品の専門家です。医師の処方箋に基づく調剤(薬の調合・確認・交付)を独占業務として行えるほか、すべての医薬品を販売できます。

登録販売者との違いを明確にしておきます。 登録販売者は、一般用医薬品(OTC医薬品)のうち第2類・第3類のみを販売できる資格です。一方、薬剤師は要指導医薬品や第1類医薬品を含む全医薬品の販売に加え、処方箋に基づく調剤が認められています。つまり、調剤業務と高リスク医薬品の販売は薬剤師にしかできません。

厚生労働省の統計によると、2024年時点で届出薬剤師数は約33万人です。このうち薬局(調剤薬局・ドラッグストア併設薬局を含む)に従事する薬剤師が約19万人と最も多く、全体の約58%を占めます。

「薬剤師」の重要性

小売業、とくに医薬品を扱う業態にとって、薬剤師の確保と活用は経営上の重要課題です。

薬剤師の在籍が売上構成を左右します。 ドラッグストア(DgS)では、調剤併設率が年々上昇しています。日本チェーンドラッグストア協会の調査によると、主要チェーンの調剤併設率は2024年度に約45%に達しました。調剤売上は粗利率が約35%と食品(約20%)より高く、来店頻度の向上にも寄与します。薬剤師がいなければ、この高収益部門を運営できません。

業態によって薬剤師の位置づけは異なります。 スーパーマーケット(SM)では、インストア薬局を設けて処方箋対応する動きが一部で見られます。コンビニエンスストア(CVS)では、一般用医薬品の販売を登録販売者が担い、薬剤師の常駐は限定的です。DgSでは調剤と健康相談の両方を担う中核人材として、薬剤師の役割がもっとも大きくなっています。

対物業務から対人業務へのシフトが進んでいます。 2019年の薬機法改正により、薬剤師には「服薬後のフォローアップ」が義務化されました。薬を渡して終わりではなく、服用後の体調変化を確認し、必要に応じて医師に情報提供する役割が求められています。この変化は、薬剤師の仕事を「モノの管理」から「ヒトへのケア」へ転換させるものです。

「薬剤師」とIT活用

薬剤師業務のDXは、対人業務への時間創出を目的に急速に進んでいます。

電子処方箋が調剤の流れを変えます。 2023年1月に運用が始まった電子処方箋は、処方情報をオンラインでやり取りする仕組みです。紙の処方箋を患者が薬局に持参する必要がなくなり、事前に調剤準備ができるため待ち時間が短縮されます。2025年度末までに概ねすべての医療機関・薬局への導入が目標とされています。薬剤師は、浮いた時間を服薬指導やフォローアップに充てられるようになります。

調剤の自動化が進んでいます。 調剤ロボット(ピッキングマシン)や全自動分包機の導入により、薬の取り揃えや一包化の作業が機械に置き換わりつつあります。大手DgSチェーンでは、調剤ロボット導入店舗で薬剤師1人あたりの処方箋応需枚数が約1.3倍に向上した事例があります。省人化によって、薬剤師は本来注力すべき患者対応に時間を割けるようになります。

AIによる業務支援が広がっています。 処方監査(薬の飲み合わせや量の妥当性を確認する作業)を支援するAIシステムが実用化されています。薬歴(患者ごとの服薬記録)の作成を生成AIで効率化するサービスも登場しました。これらは薬剤師の判断を代替するものではなく、確認作業の精度とスピードを高める補助ツールです。

オンライン服薬指導も定着しつつあります。 コロナ禍を機に規制が緩和され、薬剤師がビデオ通話で服薬指導を行い、薬を配送するサービスが広がりました。DgSチェーンの中には、アプリとCRMを連携させて、患者ごとの服薬スケジュール管理や自動リマインドを実現する企業も出ています。ID-POSデータと処方データを掛け合わせ、ヘルスケア商品の提案につなげる取り組みも始まっています。

まとめ

薬剤師は、小売業のなかでも医薬品販売・調剤という高度な専門領域を担う不可欠な存在です。電子処方箋や調剤ロボット、AI監査システムなどのIT活用により、対物業務の効率化が進み、薬剤師本来の強みである「対人業務」に集中できる環境が整いつつあります。DgSを中心に、薬剤師の専門性とデジタルツールを組み合わせた新しい顧客体験の構築が、今後の競争力を左右するでしょう。


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