「コネクテッドストア」とは
コネクテッドストア(Connected Store)とは、店舗内のPOSレジ、冷蔵・冷凍ケース、照明、空調、カメラ、電子棚札、デジタルサイネージなどの設備をIoT(モノのインターネット)でネットワーク接続し、データを一元的に収集・管理・活用する店舗のことです。
スマートストア(Smart Store)とも呼ばれますが、コネクテッドストアは「接続性」に重点を置いた表現です。店舗の設備やシステムが個別に動いている状態から、すべてが連携して情報をやり取りする状態への転換を意味します。オムニチャネルの文脈では、オンラインとオフラインの接続も含むより広い概念として使われます。
「コネクテッドストア」の重要性
店舗運営データのリアルタイム把握
従来、店舗の各設備は独立して稼働しており、冷蔵ケースの温度異常に気づくのが遅れたり、照明の故障対応が後手に回ったりする課題がありました。コネクテッドストアでは、すべての設備の稼働状態をリアルタイムで本部が監視できます。スーパーマーケット(SM)では冷蔵・冷凍ケースの温度管理が食品安全に直結するため、IoTによる常時モニタリングの価値は大きいです。
エネルギーコストの最適化
小売店舗の電力コストに占める空調・照明・冷蔵設備の割合は約70%とされます。コネクテッドストアでは、来店客数や外気温に応じて空調や照明を自動制御し、エネルギー消費を最適化します。ドラッグストア(DgS)やコンビニエンスストア(CVS)のように多店舗展開する業態では、全店一括での省エネ管理が大きなコスト削減につながります。
顧客行動データの取得
店内カメラやセンサーで来店客の動線(歩く経路)、滞在時間、立ち寄りコーナーなどを計測できます。これらのデータを棚割りや売場レイアウトの改善に活かすことで、購買率や客単価の向上が期待できます。
「コネクテッドストア」とIT活用
IoTプラットフォームとクラウド管理
複数のセンサーやデバイスから送られるデータを集約するIoTプラットフォームが基盤になります。Microsoft Azure IoTやAWS IoTなどのクラウドサービスを活用し、数百〜数千店舗のデータを一元管理します。店舗ごとにサーバーを置く必要がなく、本部からリモートで全店の状態を把握・制御できます。
電子棚札とダイナミックプライシング
電子棚札(ESL)は、商品価格をデジタル表示で管理するデバイスです。本部から一括で価格変更を配信でき、紙の値札の張り替え作業を削減します。時間帯や在庫量に応じた価格変更(ダイナミックプライシング)を実現する基盤にもなります。SMでは閉店前の生鮮値引きを電子棚札で効率化する取り組みが始まっています。
AI映像解析による店舗改善
店内カメラの映像をAIで解析し、来店客数のカウント、混雑状況の把握、レジ待ち人数の検知を自動化します。混雑時にはレジの増員を促すアラートを出す仕組みや、エンドキャップ(棚端)の注目度を数値化して販促効果を測定する活用法があります。
設備保全の予知保守
冷蔵ケースやエスカレーターなどの設備にセンサーを取り付け、振動や温度の変化から故障の予兆を検知します。壊れてから修理する「事後保全」ではなく、壊れる前に対処する「予知保全」により、営業中の設備停止リスクを低減します。
まとめ
コネクテッドストアは、店舗の「見えなかったデータ」を可視化し、運営を最適化するDXの実践形です。導入の第一歩は、冷蔵設備や電力使用量など効果の見えやすい設備のIoT化から始めることです。店舗の設備がつながることで、エネルギーコスト削減、食品安全、顧客体験の向上を同時に進められます。
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