リテールメディア(Retail Media)|小売DX用語

「リテールメディア」とは

リテールメディア(Retail Media)とは、小売企業が保有する顧客接点――店舗、ECサイト、アプリ、デジタルサイネージなど――を広告メディアとして活用し、メーカーや広告主に販売する仕組みです。

従来、小売業の収益は「商品の仕入れと販売の差額(粗利)」が中心でした。リテールメディアは、小売業者が持つ購買データと顧客接点を活かして「広告収入」という新たな収益源を生み出します。米国ではアマゾンやウォルマートが先行し、日本でもマツキヨココカラ&カンパニーをはじめとする大手小売企業が本格参入を進めています。

「リテールメディア」の重要性

リテールメディアが注目を集める理由を、米国と日本の事例から整理します。

米国市場:ECプラットフォームの圧倒的シェアが原動力

米国リテールメディア市場の約75%をアマゾンが占めています。アマゾンが成功した最大の理由は、ECプラットフォームとして圧倒的なシェアを築いたことです。消費者がアマゾンで商品を「検索」する行為そのものが購買意欲の表れであり、その検索結果に連動した広告は高いコンバージョン率を実現します。メーカーにとっては、新規顧客を獲得するために広告を出稿せざるを得ない構造ができあがっています。

ウォルマート:EC×アプリで店頭体験を収益化

ウォルマートは米国EC市場で第2位のシェアを持ちます。注目すべきは、単なるEC広告にとどまらず、アプリを活用して店頭での買い物体験を向上させた点です。店舗内での商品検索、買い物リスト、デジタルクーポンといった機能を通じて顧客のアプリ利用を日常化させ、そのアプリ経由のリテールメディア収入を成功させています。オンラインとオフラインをアプリで橋渡しした好例です。

日本市場:ID-POSデータと売り場連動

日本では米国ほどECの寡占が進んでいないため、リテールメディアの成功パターンは異なります。小売業者はID-POS(顧客識別型販売時点情報管理)のファーストパーティデータ(自社で収集した顧客データ)を強みとして活用する方向に進んでいます。Cookie規制が強化される中、実購買データに基づくターゲティングの価値はますます高まっています。

「リテールメディア」でマネタイズを成功させる条件

サイネージ広告で強制的に視認させても、顧客の興味を引けなければ売上にはつながりません。リテールメディアでマネタイズを実現するには、次の2つの方向性があります。

方向性1:オンラインでの検索連動を高める

アマゾンやウォルマートの成功が示すように、ECプラットフォームで圧倒的なシェアを持つことで、検索連動型広告の価値が飛躍的に高まります。消費者が商品を探す「場」としてのポジションを確立できれば、メーカーからの広告出稿が自然に集まる構造を作れます。

方向性2:売り場と連動して「三方よし」を実現する

実店舗中心の小売企業にとって、より現実的なのがこの方向性です。マツキヨココカラ&カンパニーの取り組みが好例です。同社は売り場と連動したリテールメディアを展開し、メーカーにとっても価値のある購買リフト検証(広告施策による売上増加の測定)を可能にしました。広告主であるメーカー、小売企業、そして顧客の三者にとってメリットがある「三方よし」の仕組みを実現しています。

つまり、リテールメディアを単なる「広告枠の販売」で終わらせず、メーカーに検証データという価値を返すことが、持続的なマネタイズの鍵です。

「リテールメディア」とIT活用

リテールメディアの運用には、複数のIT技術が連携して機能します。

データ基盤の整備

不可欠なのが、ID-POSデータの蓄積と分析基盤です。顧客の購買履歴、来店頻度、カテゴリ別の嗜好といったデータを統合し、広告配信のターゲティングに活用します。CDP(カスタマーデータプラットフォーム)を導入して、EC・アプリ・店舗の行動データを一元管理する企業も増えています。

広告配信チャネルの構築

配信先は多岐にわたります。ECサイト上のスポンサード商品枠、店頭のデジタルサイネージ、アプリのプッシュ通知、さらにはSNS広告との連携も含まれます。オムニチャネル戦略と連動させることで、オンラインとオフラインの両方で一貫した広告体験を提供できます。

効果測定と検証データの提供

リテールメディアの強みは、広告の効果を実際の購買データで測定できる点です。「広告を見た顧客のうち、何%が実際に商品を購入したか」を直接把握できます。このデータをメーカーにリッチなレポートとして返すことが、継続的な広告出稿を引き出す重要なポイントです。

まとめ

リテールメディアでマネタイズを成功させるポイントは、オンラインでの検索連動を高めるか、売り場と連動して小売・メーカー・顧客の「三方よし」を実現するか、この2つの方向性に集約されます。日本の小売企業にとっては、ID-POSデータを活かした売り場連動型のアプローチが特に有望です。まずは自社の購買データを整備し、メーカーに価値ある検証を提供できる仕組みづくりから始めてみてください。


関連用語:

参考記事

https://markezine.jp/article/detail/50129

https://www.itmedia.co.jp/business/articles/2311/01/news045.html

https://www.itmedia.co.jp/business/articles/2311/13/news011.html

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