「バーコード」とは
バーコードとは、数字や文字の情報を太さの異なる縦線(バー)と空白の組み合わせで表現し、スキャナーで瞬時に読み取れるようにした識別技術の総称です。1952年にアメリカで特許が取得され、1970年代から小売業で本格的に普及しました。
バーコードには大きく2つの種類があります。 1つ目は、縦線の並びで情報を表す1次元バーコード(リニアバーコード)です。小売業でおなじみのJANコードはこの1次元バーコードの一種で、13桁または8桁の数字で商品を識別します。2つ目は、QRコードに代表される2次元コードです。縦横両方向に情報を持つため、1次元バーコードの数十倍から数百倍の情報量を格納できます。
バーコードとJANコードの関係を整理すると、バーコードは「情報をパターン化して機械で読み取る技術全体」を指す広い概念です。JANコードはその中の1つの規格であり、日本の商品識別に使われる標準コードという位置づけになります。
「バーコード」の重要性
バーコードは、小売業の業務効率化と正確性向上を支える基盤技術です。
レジ精算の速度と正確性を飛躍的に高めました。 バーコード導入前の手打ちレジでは、1品あたりの入力に数秒かかり、打ち間違いも発生していました。バーコードスキャンにより、1品あたり約0.5秒で正確に読み取れるようになっています。打ち間違いによる価格誤りは、手入力時の約300分の1に減少したとされています。
在庫管理と発注業務を効率化します。 入荷時にバーコードを読み取ることで、在庫データが即座に更新されます。棚卸し作業の時間も大幅に短縮され、データに基づいた発注判断が可能になります。
業態によって活用するバーコードの種類が異なります。 スーパーマーケット(SM)では、生鮮食品の値引きシールにインストアバーコード(店舗独自のバーコード)を使用します。ドラッグストア(DgS)では、医薬品の使用期限管理にGS1データバー(旧称RSSバーコード)の活用が進んでいます。GS1データバーは、従来のJANコードでは表現できなかったロット番号や有効期限といった付加情報を格納できる新しい規格です。コンビニエンスストア(CVS)では、公共料金の支払いや宅配便の伝票管理にCode128やCode39といった英数字対応のバーコード規格が使われています。
「バーコード」とIT活用
バーコードはPOSシステムと一体となり、小売業のデジタル化を支えています。
POSシステムとの連携がもっとも基本的な活用です。 商品のバーコードをスキャンすると、POSシステム内の商品マスタ(商品名・価格・税率などを登録したデータベース)と照合され、価格が表示されます。このデータは販売実績として蓄積され、売れ筋分析や自動発注の基礎データとなります。セルフレジの普及もバーコードによる簡単な操作があってこそ実現しています。
GS1データバーによるトレーサビリティの強化が注目されています。 2024年以降、医療用医薬品へのGS1データバー表示が義務化されました。DgSでは、OTC医薬品(市販薬)にも同様の動きが広がりつつあります。バーコードに有効期限やロット番号が含まれることで、リコール時の迅速な対応や期限切れ商品の自動検出が可能になります。
2次元コードの活用領域が拡大しています。 QRコードを商品に付与し、スマートフォンで読み取ると産地情報やレシピが表示される仕組みは、SMの青果売場で増えています。また、QRコード決済の普及により、バーコード技術は「商品識別」だけでなく「決済手段」としても小売業に浸透しています。
RFIDとの使い分けも重要なテーマです。 RFID(電波を使って非接触で情報を読み取るタグ技術)は、バーコードと異なり1点ずつスキャンする必要がなく、箱の中の商品をまとめて読み取れます。ただし、1枚あたりのタグコストはバーコード(印刷で約0.5円)に対してRFID(約5〜15円)と10倍以上の差があります。アパレルではRFIDが主流になりつつありますが、食品や日用品などの低単価商品ではバーコードが当面の主役であり続けるでしょう。将来的には、バーコードとRFIDが商品カテゴリーや用途に応じて併用される形が現実的です。
まとめ
バーコードは、小売業のレジ精算・在庫管理・商品追跡を支える基盤技術です。1次元のJANコードだけでなく、GS1データバーや2次元コードへと進化が続いています。RFIDとの併用も視野に入れつつ、まずは自社で扱う商品特性に合ったバーコード活用を見直すことが、DX推進の第一歩となります。身近な技術だからこそ、その可能性を再発見してみてください。
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