サイクル循環型経済(Circular Economy)|小売DX用語

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「サイクル循環型経済」とは

サイクル循環型経済(Circular Economy、サーキュラーエコノミー)とは、「作って・使って・捨てる」という従来の一方向型(リニアエコノミー)に対し、資源の投入と廃棄を最小化し、製品や素材を可能な限り長く循環させる経済モデルです。リサイクルだけでなく、修理(リペア)、再利用(リユース)、再製造(リマニュファクチャリング)、シェアリングなど、廃棄を前提としない仕組み全体を指します。

小売業は消費者に最も近い流通段階であり、容器包装、食品ロス、売れ残り商品の廃棄など、資源の「出口」に位置しています。そのため、サイクル循環型経済への転換において小売業が果たす役割は非常に大きいといえます。

SDGs(持続可能な開発目標)の目標12「つくる責任 つかう責任」や、EU(欧州連合)のサーキュラーエコノミー行動計画など、国際的な政策の後押しもあり、小売業界における取り組みが加速しています。

「サイクル循環型経済」の重要性

サイクル循環型経済が小売業で重要な理由は3つあります。

第一に、食品ロスの削減です。日本の食品ロスは年間約472万トン(2022年度推計)で、そのうち小売業からの発生は約47万トンです。食品ロス削減推進法の施行や消費者意識の変化により、小売業には具体的な削減成果が求められています。スーパーマーケット(SM)では、賞味期限が近い商品の値引き販売(てまえどり)やフードバンクへの寄付が広がっています。

第二に、容器包装の削減とリサイクルです。プラスチック資源循環促進法(2022年施行)により、レジ袋に続いてスプーンやフォークなどの使い捨てプラスチックの削減が求められています。ドラッグストア(DgS)やSMでは、洗剤やシャンプーの量り売り、詰め替え専用ボトルの販売といった取り組みが始まっています。

第三に、消費者の価値観の変化です。サステナビリティ(持続可能性)への関心が高まり、環境に配慮した商品やサービスを選ぶ消費者が増えています。コンビニエンスストア(CVS)では、植物由来素材のカトラリーへの切り替えや、消費期限が近い商品へのポイント付与(エシカル消費への誘導)が進んでいます。

「サイクル循環型経済」とIT活用

DXは、サイクル循環型経済の実践を効率的かつ計測可能なものにしています。

AI需要予測による食品ロス削減が最も直接的な効果を生んでいます。天候・曜日・地域イベントなどの変動要因を加味した発注量の最適化により、廃棄を大幅に削減できます。SMでの導入事例では、惣菜部門の廃棄率を30%以上削減した実績があります。

ダイナミックプライシング(動的価格設定)との連携も進んでいます。消費期限が近づいた商品の価格を電子棚札で自動的に引き下げ、廃棄前に販売を促進します。値引きのタイミングと幅をAIが最適化することで、粗利益の毀損を最小限に抑えながら廃棄を減らせます。

トレーサビリティ(追跡可能性)のデジタル化も重要です。商品の原材料調達から製造、流通、販売、廃棄・リサイクルまでの流れをデータで記録し、資源循環の状況を可視化します。ブロックチェーン技術を用いたサプライチェーンのトレーサビリティは、環境配慮を訴求する根拠としても活用できます。

フードシェアリングアプリとの連携も広がっています。賞味期限が近い商品をアプリ上で割引販売し、廃棄を防ぐ仕組みです。店舗のPOSデータと連動させることで、出品対象の商品を自動的に選定し、運用の手間を抑えられます。

まとめ

サイクル循環型経済は、環境規制の強化と消費者意識の変化を背景に、小売業にとって避けて通れないテーマです。食品ロス削減、容器包装の見直し、リユース・リサイクルの促進は、コスト削減と企業価値向上を同時に実現できる取り組みでもあります。まずはAI需要予測による発注精度の向上や、消費期限間近商品のダイナミックプライシングなど、DXを活用した食品ロス削減から着手してみてはいかがでしょうか。


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