視察した店舗の概要
ジャカルタ南部SCBDの高級モール、ASHTA District 8のグランドフロア18番区画にあるLUMINEを視察した。間口の広いフロントに「LUMINE」のロゴが灯り、入口左にはガラスブロックの構造体、右側にもLUMINEロゴを配したサインが配置される。店内中央にシューズのテーブル展示、奥にアパレル、左奥にジュエリー(cajsa AT LUMINE)の構成で、「SHOE CHARM CORNER」など小売側のキュレーション提案を前面に出した造作である。
企業概要と業態の位置づけ
LUMINEを運営するのは株式会社ルミネ。本社は東京都新宿区、東日本旅客鉄道株式会社(JR東日本)の100%子会社で、2025年2月にジェイアール東日本商業開発とともに完全子会社化された経緯を持つ。
国内では駅併設のファッションビル「LUMINE」を新宿、池袋、有楽町、北千住、横浜、大宮など13拠点で展開している。
海外は2017年のシンガポール出店を1号店とし、2018年12月にジャカルタのプラザインドネシアで2号店を出した。2024年8月にはシンガポールに旗艦店を開業、ASHTA District 8では2022年12月のポップアップを経て、2024年7月24〜27日にグランドオープンイベントを実施している。LUMINE JAKARTAの現地運営パートナーや出資比率の公開情報は限定的で、本記事では特定できなかった。
店舗立地と周辺地域の特徴
ASHTA District 8は南ジャカルタSenayan地区、SCBDの中核複合開発District 8の一画にある高級モールである。住所はJl. Senopati No.83、運営はAgung Sedayu Group傘下のPT. Mandiri Andal Sejahtera – ASRI。
Pacific Place、Senayan City、Plaza Senayanなど富裕層向けモールと近接し、在留外国人と現地アッパー層が日常的に利用する商圏である。
業態内での特徴
LUMINEは日本国内ではJR駅併設の若年層ファッションビルとして知られるが、ジャカルタの業態は「Re: Edit」テーマのもと、日本ブランドとインドネシアブランドを混在させたセレクトショップ/キュレーションストアとして再設計されている。
ポップアップ時には計48ブランドが編集対象となり、中川政七商店、UN3D.、PHLANNELなどライフスタイル系・コンテンポラリーアパレルが核となった。施設運営型から店舗運営型への業態転換が起きている点が特筆される。
小売DX・店舗運営上の示唆
JR東日本グループの海外進出は、鉄道資産を持たない異国市場で、自社のキュレーション能力と日本ブランド集積を商品として売る形である。デベロッパー型の施設賃貸モデルから、自らショップを運営するモデルへの業態変換が要点となる。
日本ブランドの海外単独進出はコストとリスクが高いが、LUMINEが複数ブランドを束ねて出店する形は、出店リスクの集約とブランドプロモーションの一体提供という新しい型を作っている。
郡司の一言コメント
鉄道事業者系列のファッションビル運営者が、駅資産のない海外市場で「キュレーション」を商品化する動きは興味深い。日本ブランドを束ねて海外に持ち込む座組みは、単独進出のリスクとコストを下げる小売側のプラットフォーム機能として参考になる。
店舗は20坪弱に感じた。小規模で固定費が低いため、日本国内ブランドの市場テストという意味で面白い存在である。