フランスの薬局・ドラッグストアランキング|2025年・主要7ネットワークと業態構造

フランスの薬局・ドラッグストアランキング|2025年・主要7ネットワークと業態構造

目次

この記事の要点|フランスの「ドラッグストア」は薬局協同組合とパラファーマシーの二層構造

フランスの薬局・ドラッグストア市場は、日本のドラッグストア(医薬品+H&B+食品+日用品の総合業態)と大きく異なる独自構造を持ちます。

LSA(フランス小売業誌)の2024年ランキングに掲載された主要薬局ネットワーク7社は次の通りです。

Aprium、Elsie Santé、Giphar、Laf santé(Pharmacie Lafayette)、Leadersanté、Pharmabest、Totum

業界全体としては、Observatoire LPCの2025年データで約98の薬局ネットワーク(groupements)が記録されており、その中から主要プレイヤーを整理すると次のようになります。

主要薬局協同組合(Groupements de Pharmaciens)

Giphar — フランス最大の薬局協同組合、約1,250加盟店
Pharmacie Lafayette(Laf santé/Hygie31傘下) — 320店、2025年末1,800店目標(市場の10%狙い)
Pharmabest — 133店、平均店舗面積700㎡のプレミアム大型薬局
Welcoop — 3,800薬剤師オーナーが100%所有する協同組合、Pharmagest(薬局向けIT)を擁する

パラファーマシー専門店(Parapharmacie)

Leclerc Parapharmacie、Auchan Parapharmacie、Carrefour Parapharmacieなどスーパー併設型が主流

化粧品・プレステージビューティ専門店

Sephora、Marionnaud、Nocibé — プレステージビューティ売上の25-30%を占有

順位の根拠は業態別の規模・ポジショニングで、フランスでは薬局チェーン化が法規制で制限されているため、店舗数だけで単純比較できない構造です。

フランスの「ドラッグストア」は薬剤師個人所有規制下の三層構造

フランスの薬局・ドラッグストア市場は、次の三層構造で理解する必要があります。

薬局(Pharmacie):処方薬・OTC・パラファーマシー商品を扱う。薬剤師個人所有が原則。約22,000店規模の独立薬局網

パラファーマシー(Parapharmacie):処方薬を扱わない、OTC(一部)・化粧品・サプリ・H&B商品。スーパー併設型と独立型がある

化粧品・プレステージビューティ専門店:Sephora、Marionnaud、Nocibé。薬局・パラファーマシーとは別業態

フランスでは公衆衛生法典(Code de la santé publique L.5125-17)により、法人による薬局所有は認められず、薬剤師個人または薬剤師が支配する法人に限定されます。このため、Boots UKやShoppers Drug Martのような全国チェーン薬局は存在せず、代わりに薬局協同組合(groupements de pharmaciens)が独立薬局を緩やかにネットワーク化する形が主流です。

ただし2025年時点で約7薬局に1薬局が主要7ネットワークのいずれかに加盟しており、所有規制下でも実質的な統合化・チェーン化が加速しています。

日本人読者が「フランス ドラッグストア」で検索した場合、薬局(Pharmacie)を想起することが多いですが、フランスの薬局はあくまで医薬品中心で、日本のドラッグストアのような食品・日用品の総合業態ではありません。本記事では薬局協同組合とパラファーマシーの二層構造を整理して解説します。

フランス薬局・ドラッグストア 主要プレイヤー一覧(2024-2025年)

区分 プレイヤー 規模 業態特徴
薬局協同組合 Giphar 約1,250加盟店、2022年売上23億ユーロ フランス最大の薬局協同組合
薬局協同組合 Pharmacie Lafayette(Laf santé/Hygie31) 320店、2025年末1,800店目標 大型ディスカウント薬局、急成長
薬局協同組合 Pharmabest 133店、平均700㎡ プレミアム大型薬局
薬局協同組合 Welcoop 3,800薬剤師オーナー所有 協同組合+IT、Pharmagest擁する
薬局協同組合(その他) Aprium、Elsie Santé、Leadersanté、Totum、Pharmavie、Giropharm、Plus Pharmacie、Wellpharma等 各数十〜数千店 LSA 2024ランキング掲載含む中規模ネットワーク
流通・IT Pharmagest(Welcoop傘下) 仏薬局の過半が利用 薬局向けPOS、薬歴管理、調剤支援
パラファーマシー スーパー併設(Leclerc、Auchan、Carrefour等) 大規模 OTC・化粧品・H&B、医療接点なし
プレステージビューティ専門店 Sephora、Marionnaud、Nocibé 数百店規模 プレステージビューティ売上の25-30%

参考:フランス全体の薬局+パラファーマシー数は約22,000店規模。2025年時点で約7薬局に1薬局が主要7ネットワークのいずれかに加盟しています。

フランス薬局・ドラッグストア市場概況

市場規模

フランスの小売薬局市場は2024年でUSD 32.15 billion規模、2030年にUSD 45.32 billionまで成長すると予測されています(CAGR 5.85%)。[1]
フランス薬局市場(医薬品+H&B+関連サービス全体)は2024年でUSD 41.1 billion、2030年にUSD 64.5 billion到達と見込まれます。

パラファーマシー市場(化粧品・H&B・サプリ等の医薬品外)は2025年で約70億ユーロ規模で、販路別シェアは次の通りです。[2]

薬局(Pharmacie):69%
パラファーマシー専門店:19%
その他(大手スーパー併設shop-in-shop等):12%

プレステージビューティ市場ではSephora、Marionnaud、Nocibéが25-30%のシェアを占めます。

薬剤師個人所有規制

フランスでは公衆衛生法典(Code de la santé publique L.5125-17)により、薬局所有は薬剤師個人または薬剤師が支配する法人に限定されます。
法人による薬局所有・全国チェーン化は認められず、1薬剤師が所有できる薬局数も制限されています。

この規制により、Boots UKやShoppers Drug Martのような全国チェーン薬局は存在せず、独立薬局約22,000店と薬局協同組合ネットワークが市場の中心です。

薬局協同組合(groupements de pharmaciens)の急成長

2025年時点で約7薬局に1薬局が主要7ネットワーク(Aprium、Elsie Santé、Giphar、Laf santé、Leadersanté、Pharmabest、Totum)のいずれかに加盟しています。[3]
Pharmacie Lafayette親会社のHygie31グループは2025年末までに1,800店(市場の10%)を目指すと公表しており、所有規制下でも実質的なチェーン化が急速に進行しています。

薬局協同組合の役割

フランスの薬局協同組合は、独立薬局がメンバーとして参加する共同体組織で、次の機能を担います。

共同購買による仕入れ価格引下げ
共通ブランディングと店舗デザイン
PB(プライベートブランド)の開発・供給
ITシステム、薬局運営支援
スタッフ研修、薬剤師教育
マーケティング・販促支援
垂直統合型ロジスティクス(一部)

Gipharは1968年創設のフランス最大の協同組合で、自社で医薬品卸機能を保有し、24時間以内配送体制を整備しています。

2024-2025年の業界トピック:薬剤師業務の大幅拡張

フランス薬局業界の2024-2025年の最大トピックは、薬剤師業務拡張(nouvelles missions)です。[4][5]

抗生物質処方権付与(2024年6月から)

2024年6月以降、薬剤師は迅速診断テスト(TROD)を実施した上で、連鎖球菌咽頭炎、急性単純性膀胱炎などに対して抗生物質を処方・調剤できるようになりました。
フランス全国の薬局で1日2,200回超のTRODが実施されています。

ワクチン接種範囲拡大

11歳以上のフランス予防接種カレンダーに含まれる全種類のワクチン(生ワクチンを除く)を薬剤師が処方・接種できるようになりました。
2023-2024年シーズンには、薬剤師がインフルエンザワクチン投与の59%を担当し、フランス最大のワクチン接種者となりました。

薬学的相談の拡大(2025年)

2025年から、オピオイド系鎮痛薬服用者、妊婦、糖尿病患者などを対象とした15-30分の薬学的相談(entretiens pharmaceutiques)が拡大されました。
多剤併用評価(高齢者の安全性確認)、結腸直腸がんスクリーニングキット配布も薬局の役割に加わっています。

これらの業務拡張により、フランスの薬局は「処方薬を渡す場所」から「軽医療・予防医療の入口」への転換が大きく進んでいます。英国NHS Pharmacy First、カナダ州別薬剤師スコープと並ぶ世界的潮流の中で、フランスは特に薬剤師処方権・ワクチン接種で先行しています。

薬局協同組合 第1位:Groupe Giphar

Gipharは1968年創設のフランス最大の薬局協同組合で、全国約1,250加盟店を持ちます。[3:1]

業績推移

2021年売上:約21億ユーロ
2022年売上:約23億ユーロ(+8.9%)

加盟薬局1店当たり平均売上は約180万ユーロで、業界最大規模のネットワークを形成しています。
収益性は2022年で粗利率約32%、フランス独立薬局の標準的水準を維持しています。

業態:独立薬局の協同組合

Gipharは「地域独立薬局の連合体」として機能します。
共同購買、独自プラットフォーム、独自物流網(フランス各地の物流センター、2022年に第4物流拠点開設)を備え、垂直統合型のオペレーション支援を提供しています。

加盟薬局は独立性を保ちつつ、Giphar共通ブランディング、PB、IT、研修を活用できます。
日本のVC(ボランタリーチェーン)に近いモデルですが、フランス薬局規制の枠内で機能する独自の協同組合形態です。

DX

Giphar公式アプリ、オンライン予約、処方箋管理、ロイヤリティプログラム、Giphar共通ブランドのデジタル販促を展開しています。

薬局協同組合 第2位:Pharmacie Lafayette(Laf santé/Hygie31傘下)

Pharmacie Lafayette(運営:Laf santé、親会社:Hygie31グループ)は、大型ディスカウント薬局として急成長している協同組合です。[3:2]
現在320店を運営し、Hygie31グループは2025年末までに約1,800店(市場の10%)を目指すと公表しています。

業態:大型ディスカウント薬局

Pharmacie Lafayetteは、フランス薬局の中で特に大型店フォーマット(300-500㎡)を採用し、パラファーマシー(化粧品・サプリ・ベビー用品)を大規模に陳列します。
ジェネリック医薬品・OTC・ダーモコスメ・サプリで明確な価格訴求を行い、ディスカウント薬局のリーダーポジションを確立しています。

DX

Pharmacie Lafayetteアプリ、EC、店頭受取、ロイヤリティ、SNS連動販促を展開しています。
ECサイト「pharmacielafayette.com」では全国配送に対応し、薬局のオンライン購買体験を大きく改善しています。

成長戦略

Hygie31の1,800店目標は、フランス薬局市場の構造変化を象徴する数字です。所有規制下でも、協同組合方式で全国網10%のシェア確保を目指す野心的な戦略で、英国Boots(約2,000店)に近い規模感を狙っています。

薬局協同組合 第3位:Pharmabest

Pharmabestは、プレミアム大型薬局を中心とする協同組合で、133店規模です。[3:3]

業態:プレミアム大型薬局

Pharmabestは、薬局1店あたりの平均店舗面積700㎡で業界トップクラスの大型店フォーマットを採用しています。
高級ダーモコスメ・サプリ・専門機器の充実、プレミアムなブランド体験を提供します。

Avène、La Roche-Posay、Bioderma、Eucerin、Caudalíeなどのフレンチダーモコスメの旗艦店としての性格が強く、観光客向け売場も充実しています。

DX

Pharmabestアプリ、オンライン薬剤師相談、プレミアム会員プログラムを展開しています。

薬局協同組合 第4位:Welcoop(薬剤師所有協同組合)

Welcoopは、3,800薬剤師オーナーが100%所有する協同組合です。[3:4]
他の協同組合(Giphar、Pharmabest等)と異なり、Welcoop自体が薬剤師による所有・運営構造を持ちます。

Pharmagest(薬局DXインフラ)

Welcoopグループ傘下のPharmagestは、フランス薬局市場のDXを支える中核プレイヤーです。

事業構成

薬局向けIT(POS、薬歴管理、調剤支援):フランス薬局の過半が利用
医薬品卸機能
EC・オンライン薬局プラットフォーム
医薬品流通の最適化
ロイヤリティプログラム
新調剤報酬・薬剤師業務拡張への対応支援

Pharmagestは、2024年薬剤師抗生物質処方権、ワクチン接種拡大、薬学的相談などの新規業務に対応する薬局管理ソフトを提供しており、フランス薬局のDXインフラとして機能しています。

その他の薬局協同組合(LSAランキング2024掲載)

フランスには上記4グループ以外にも、多数の薬局協同組合が存在します。LSA(フランス小売業誌)の2024年ランキングに含まれる主要ネットワークは次の通りです。

Aprium、Elsie Santé、Leadersanté、Totum

加えて、Pharmavie、Giropharm、Plus Pharmacie、Wellpharma、Forum Santé、Réseau Univers Pharmacieなど、Observatoire LPCの2025年データで約98ネットワークが記録されています。

各協同組合は地域別、業態別(大型店、プレミアム、ディスカウント等)に特色があり、独立薬局が複数の協同組合に重複加盟するケースもあります。

パラファーマシー(Parapharmacie)市場

フランスでは薬局以外で医薬品関連商品を販売する業態として「パラファーマシー」があります。

定義と業態

パラファーマシーは、処方薬を扱わない店舗で、OTC(一部)、化粧品、ダーモコスメ、サプリ、ベビー用品、医療消耗品を販売します。
薬剤師の常駐は店舗により異なり、薬局より緩やかな運営が認められます。

主要業態

スーパー併設:Leclerc Parapharmacie、Auchan Parapharmacie、Carrefour Parapharmacie。フランス大手スーパーの一部としてパラ売場を運営
独立型パラファーマシー:地域チェーン・独立店
EC型:1001Pharmacies、Pharma GDD、Doctipharma等のオンラインパラファーマシー

パラファーマシー市場の販路シェア(2025年、市場規模約70億ユーロ)

薬局:69%
パラファーマシー専門店:19%
その他(スーパー併設shop-in-shop等):12%

パラファーマシーは薬局の補完市場として機能し、特に化粧品・ダーモコスメで薬局と競合関係にあります。

プレステージビューティ市場:Sephora、Marionnaud、Nocibé

フランスのプレステージビューティ市場では、Sephora、Marionnaud、Nocibéの3社が主要プレイヤーで、合計で売上の25-30%を占めます。[2:1]

これらは薬局・パラファーマシーとは別業態で、高級香水・プレステージ化粧品・メイクアップを中心に扱います。
ECでは、Amazonが購買意図クリックシェア15.7%で首位、Nocibéが9.5%で2位です。

ただし2024年から2025年初頭にかけて、フランスのプレステージビューティ市場は鈍化局面に入っており、2025年Q1は前年同期比-2%(前年同期は+8%成長)となっています。

フランス薬局・ドラッグストアDX動向

1. 薬剤師業務拡張への対応

2024年6月の抗生物質処方権、ワクチン接種拡大、2025年の薬学的相談拡大に対応するため、各薬局協同組合は薬剤師研修、TROD実施インフラ、予約システム、薬学的相談記録のDX投資を進めています。
Pharmagest、Doctolib、各社アプリが新規業務のオペレーション基盤を提供しています。

2. オンライン薬局

Doctipharma、1001Pharmacies、Pharma GDDなどがオンライン薬局市場で成長しています。
薬剤師個人所有規制の枠内で運用するため、登録薬局との連携モデルが主流です。

3. ダーモコスメの強さ

フランスはダーモコスメ(薬局専売の皮膚科学化粧品)市場の発祥地・最大市場で、La Roche-Posay、Avène、Bioderma、Eucerin、Caudalíeなどが薬局売上の重要カテゴリーです。
日本市場への輸出も活発で、Pharmacie LafayetteやPharmabestのオンライン薬局は日本人観光客にも認知されています。

4. 協同組合の急成長

Hygie31の1,800店目標、Pharmabestの大型店戦略、Welcoopの3,800薬剤師ネットワークなど、所有規制下でも協同組合方式で実質的なチェーン化が進行しています。
Federfarmaのチェーン薬局シェア21%(イタリア)に対し、フランスは7薬局に1薬局がネットワーク加盟で、欧州主要市場での協同組合モデルの先行例となっています。

5. 新調剤報酬制度への対応

フランスでも処方箋応需手数料と医薬品サービス手数料の組み合わせで、薬局収益を安定化させる動きが進んでいます。
ジェネリック普及による処方薬粗利圧迫を、サービス報酬と薬剤師業務拡張で補完する構造です。

日本企業への示唆

業態構造の理解

フランスは薬剤師個人所有規制が極めて強く、Boots UK・Shoppers Drug Martのような全国チェーン薬局は存在しません。
日本企業が参入する場合、協同組合ネットワーク(Giphar、Pharmacie Lafayette、Pharmabest、Welcoop)への商品供給、または独立パラファーマシー・スーパー併設パラへの卸が現実的です。

ダーモコスメ販路の最重要市場

フランスは世界最大級のダーモコスメ市場で、薬局チャネルが中心です。
日本のスキンケア・ダーモコスメブランドのフランス展開では、薬局協同組合・薬局PB供給・パラファーマシー卸が重要な接点になります。

薬剤師業務拡張は世界共通

2024年6月のフランス薬剤師抗生物質処方権、ワクチン投与59%は、世界で最も先行する事例の1つです。
日本でも薬剤師の業務範囲拡大、リフィル制度、軽症疾患対応の議論が続いており、フランス事例が参考になります。

薬局協同組合モデルの参考価値

Hygie31の1,800店目標、Welcoopの3,800薬剤師所有モデルは、所有規制が強い市場での規模化モデルとして参考になります。
日本の地域薬局・中小薬局のVC、共同購買、PB戦略の設計に応用可能です。

ECとオンライン薬局の規制範囲

フランスのオンライン薬局は薬剤師個人所有規制の枠内で運用されます。
日本のオンライン服薬指導、調剤EC、リフィル制度設計でも、規制と業界構造を踏まえた設計が必要です。

よくある質問

Q1. フランス最大の薬局チェーンはどこですか?

フランスは薬剤師個人所有規制により全国チェーン薬局が存在せず、薬局協同組合のGipharが約1,250加盟店で最大ネットワークです。Pharmacie Lafayette(Hygie31傘下、320店、2025年末1,800店目標)、Pharmabest(133店)、Welcoop(3,800薬剤師オーナー所有)が主要協同組合です。

Q2. なぜフランスには大手ドラッグストアチェーンがないのですか?

フランスでは公衆衛生法典により、薬局所有が薬剤師個人または薬剤師支配法人に限定されます。法人による全国チェーン薬局は認められないため、独立薬局約22,000店と薬局協同組合ネットワークが市場の中心です。

Q3. パラファーマシー(Parapharmacie)とは何ですか?

処方薬を扱わない薬局類似業態で、OTC(一部)、化粧品、ダーモコスメ、サプリ、ベビー用品を販売します。Leclerc・Auchan・Carrefour等のスーパー併設型、独立型、EC型(1001Pharmacies、Pharma GDD、Doctipharma等)があり、薬局の補完市場として機能します。2025年のパラファーマシー市場規模は約70億ユーロです。

Q4. フランスの薬局市場規模は?

フランス小売薬局市場は2024年でUSD 32.15 billion規模、2030年にUSD 45.32 billion到達予測です(CAGR 5.85%)。フランス薬局市場全体(医薬品+H&B+関連サービス)は2024年でUSD 41.1 billion、2030年にUSD 64.5 billion到達と見込まれます。

Q5. 2024年フランス薬剤師の抗生物質処方権とは?

2024年6月から、薬剤師は迅速診断テスト(TROD)を実施した上で、連鎖球菌咽頭炎・急性単純性膀胱炎などに対して抗生物質を処方・調剤できるようになりました。フランス全国の薬局で1日2,200回超のTRODが実施されています。

Q6. フランス薬剤師のワクチン接種は?

11歳以上の予防接種カレンダーに含まれる全種類のワクチン(生ワクチン除く)を薬剤師が処方・接種できます。2023-2024年シーズンにはインフルエンザワクチン投与の59%を薬剤師が担当し、フランス最大のワクチン接種者となりました。

Q7. フランスのダーモコスメ市場は重要ですか?

非常に重要です。La Roche-Posay、Avène、Bioderma、Eucerin、Caudalíeなどのフレンチダーモコスメは薬局チャネルが中心で、フランスは世界最大級のダーモコスメ市場です。日本企業の薬用化粧品展開でも重要な参考市場です。

Q8. フランスに進出している日本のドラッグストアは?

公開情報ベースでは、日本の大手ドラッグストアによる直接店舗展開は確認できません。日本の化粧品・サプリ・ベビー用品は薬局協同組合、パラファーマシー、Sephora等の棚を通じて流通する形が現実的です。

Q9. Hygie31の1,800店目標とは?

Pharmacie Lafayette親会社のHygie31グループは、2025年末までに約1,800店(フランス薬局市場の約10%)に拡大する目標を公表しています。所有規制下でも協同組合方式で実質的なチェーン化を進める野心的な戦略で、英国Boots(約2,000店)に近い規模感を狙っています。

まとめ

フランスの薬局・ドラッグストア市場は、薬剤師個人所有規制下で独立薬局約22,000店と薬局協同組合ネットワークが中心という独自構造を持ちます。日本のドラッグストア(医薬品+H&B+食品+日用品の総合業態)とも、英国Boots・カナダShoppersのような全国チェーン薬局とも異なります。

主要薬局協同組合はGiphar(約1,250加盟店、2022年売上23億ユーロ)、Pharmacie Lafayette(Hygie31傘下、320店、2025年末1,800店目標)、Pharmabest(133店、平均700㎡)、Welcoop(3,800薬剤師オーナー所有)の4グループで、加えてAprium、Elsie Santé、Leadersanté、Totum等が主要ネットワークです。2025年時点で約7薬局に1薬局が主要7ネットワークのいずれかに加盟しており、所有規制下でも実質的なチェーン化が急速に進行しています。

パラファーマシー市場は2025年で約70億ユーロ、販路シェアは薬局69%、パラファーマシー19%、その他12%です。Sephora・Marionnaud・Nocibéはプレステージビューティの25-30%を占めます。

DX動向では、Welcoop/Pharmagestを中核に、各協同組合のアプリ・EC・ロイヤリティが標準装備となっています。2024年6月の薬剤師抗生物質処方権付与、インフルワクチン投与59%担当、2025年の薬学的相談拡大は、英国NHS Pharmacy First、カナダ州別薬剤師スコープと並ぶ世界的潮流の最先端事例です。

日本企業への示唆は、業態構造の理解、ダーモコスメ販路、薬局協同組合モデル、薬剤師業務拡張、オンライン薬局規制の5点です。

出典

参考:Code de la santé publique L.5125-17 薬剤師個人所有規制。
Grand View Research「France Pharmacy Market Size & Outlook, 2024-2030」https://www.grandviewresearch.com/horizon/outlook/pharmacy-market/france
Chameleon Pharma Consulting「Retail Pharmacies in France」https://www.chameleon-pharma.com/frances-dynamic-retail-pharmacy-market-navigating-the-future-of-pharmacies/

関連リンク


  1. ResearchAndMarkets / Credence Research「France Retail Pharmacy Market Size, Share & Forecast to 2030」USD 32.15 billion(2024年)→ USD 45.32 billion(2030年)、CAGR 5.85%。https://www.researchandmarkets.com/report/france-retail-pharmacy-market ↩︎

  2. Mikmak「Parapharmacy Beauty & Health eCommerce Trends in France」パラファーマシー市場規模70億ユーロ、販路シェア(薬局69%・パラ19%・その他12%)、プレステージビューティでSephora/Marionnaud/Nocibéが25-30%。https://www.mikmak.com/blog/parapharmacy-beauty-and-health-ecommerce-unveiling-shopping-trends-in-france ↩︎ ↩︎

  3. Le Moniteur des Pharmacies「Groupements de pharmacies : Lafayette, Pharmabest, Aprium… cap sur la croissance en 2025」Pharmacie Lafayette 320店・Hygie31の1,800店目標、Pharmabest 133店・平均700㎡、Welcoop 3,800薬剤師オーナー。https://www.lemoniteurdespharmacies.fr/business/groupements/groupements-de-pharmacies-lafayette-pharmabest-aprium-cap-sur-la-croissance-en-2025
    Le Quotidien du Pharmacien「Plus d’une pharmacie sur sept affiliée à l’une des sept principales enseignes」LSA 2024ランキング7社(Aprium、Elsie Santé、Giphar、Laf santé、Leadersanté、Pharmabest、Totum)、約7薬局に1薬局がネットワーク加盟。https://www.lequotidiendupharmacien.fr/exercice-pro/plus-dune-pharmacie-sur-sept-affiliee-lune-des-sept-principales-enseignes ↩︎ ↩︎ ↩︎ ↩︎ ↩︎

  4. Pharmagest「Nouvelles missions pour le pharmacien et Convention Nationale Pharmaceutique」薬剤師抗生物質処方権、ワクチン接種、薬学的相談拡大。https://pharmagest.com/nouvelles-missions-pour-le-pharmacien-et-convention-nationale-pharmaceutique-quels-sont-les-changements/ ↩︎

  5. Le Moniteur des Pharmacies「Pharmaciens : 7 nouvelles missions pour 2025 ?」7つの新規業務、TROD後の抗生物質処方、薬剤師がインフル投与の59%担当。https://www.lemoniteurdespharmacies.fr/nouvelles-missions/prevention/7-missions-supplementaires-pour-2025 ↩︎


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