「食品表示法」とは
食品表示法(Food Labeling Act)は、2015年に施行された法律で、それまでJAS法・食品衛生法・健康増進法の3法に分かれていた食品表示のルールを一本化したものです。食品の名称、原材料名、アレルゲン、栄養成分表示、原産地、消費期限・賞味期限などの表示基準を定めています。
小売業の現場では、仕入れた商品のラベル確認はもちろん、店内で加工・製造する総菜やベーカリー商品、インストア加工の生鮮食品にも食品表示法の基準が適用されます。表示の不備は行政処分や自主回収につながるため、正確な表示管理は食品を扱うすべての小売業にとって必須の業務です。
「食品表示法」の重要性
1. 消費者の安全と信頼の基盤
食品表示法は、消費者が安全に食品を選択するための情報提供を義務づけています。特にアレルゲン表示は、食物アレルギーを持つ消費者の生命に関わる重要事項です。特定原材料7品目(えび、かに、小麦、そば、卵、乳、落花生)とそれに準ずる21品目の表示管理は、一切のミスが許されません。
2. 業態別の表示管理の課題
スーパーマーケット(SM)は、インストア加工品(惣菜、精肉の味付け商品、カット野菜など)の表示管理が最も大きな課題です。日々多品種の商品を製造するため、原材料や配合比率の変更に迅速に対応する仕組みが求められます。
ドラッグストア(DgS)では、食品の取扱比率が増加する中で、PB食品の表示管理体制の構築が急務です。また、健康食品や機能性表示食品の表示ルールは通常の食品より複雑で、薬機法との境界にも注意が必要です。
コンビニエンスストア(CVS)は、弁当・おにぎり・サンドイッチなどのデイリー商品の表示を専用工場段階で管理します。本部が一括管理する体制が整っている反面、原材料の変更が頻繁に発生するため、情報更新の迅速性が重要です。
3. 原料原産地表示の義務化
2022年4月から、すべての加工食品に原料原産地表示が義務化されました。原材料の重量割合が最も高い原材料について、原産地を表示する必要があります。調達先の変更時にラベルの更新が必要となるため、サプライチェーン全体での情報管理が求められます。
「食品表示法」とIT活用
ラベル管理・自動印字システム
食品表示の自動印字システムにより、レシピデータベースと連動したラベルの自動生成が可能です。原材料の配合比率に基づくアレルゲン情報の自動反映や、栄養成分計算の自動化により、表示ミスのリスクを大幅に低減します。
原材料トレーサビリティ
原材料の調達から加工・販売までの履歴を追跡するトレーサビリティシステムにより、産地偽装の防止と迅速な原因特定が可能になります。食品ロスの削減にも、消費期限・賞味期限のデータ管理が寄与します。
マスタデータの一元管理
商品マスタに原材料情報、アレルゲン情報、栄養成分情報を統合管理し、ラベル印字・ECサイト表示・チラシ掲載をすべて同一データソースから出力する仕組みが理想です。情報の不整合を防ぎ、変更時の更新漏れを防止します。
AIによるラベルチェック
印字済みラベルをカメラで撮影し、AIの画像認識・文字認識で表示内容の正誤を自動判定するシステムも実用化されています。出荷前の最終チェックとして、人的な見落としを補完します。
まとめ
食品表示法は食品を扱うすべての小売業に関わる法律であり、正確な表示管理は消費者の安全と企業の信頼を守る基盤です。ラベル自動生成システム、トレーサビリティ、商品マスタの一元管理、AIによるラベルチェックなど、IT活用により表示管理の精度と効率を高めることができます。まずは自社の表示管理フローを点検し、ミスが発生しやすい工程のデジタル化を検討してみてください。
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