メキシコの薬局・ドラッグストアランキングTOP5|薬局型4社とドラッグストア型Guadalajaraの二業態

https://kyodonewsprwire.jp/release/202604157438
目次

この記事の要点|メキシコは「薬局型」と「ドラッグストア型」の二分構造

メキシコの医薬品小売市場を業態別に整理すると、上位5社は次の二業態に分かれます。

薬局型(Farmacia型) — 医薬品中心、薬剤師、低価格診療所併設、医療接点重視

  1. Farmacias Similares(Dr. Simi) — 9,600超の事業拠点、低価格薬局+低価格診療所
  2. Farmacias del Ahorro — 1,800店超、価格訴求+無料医療相談
  3. Farmacias YZA — 1,500店超、FEMSA Salud系、地域密着
  4. Farmacias Benavides — 1,100店超、WBA/Sycamore系、北部・西部地盤

ドラッグストア型(SuperFarmacia型) — 医薬品+食品+日用品+雑貨の総合業態、24時間営業

  1. Farmacias Guadalajara — 2,800〜3,027店、24時間365日のSuperFarmacia、メキシコ唯一の本格ドラッグストア型

順位は店舗数を主軸にしています。
ただしメキシコ市場の本質は薬局型が中心で、日本のドラッグストアに最も近い「医薬品+食品+日用品の総合業態」を持つのはFarmacias Guadalajaraのみという点が重要です。

メキシコの「ドラッグストア」は基本的に薬局市場です

日本人読者が「メキシコ ドラッグストア」で検索すると、日本のマツモトキヨシ・ウエルシア型の「医薬品+H&B+食品+日用品」業態を想像しがちです。
しかしメキシコ市場の実態は、上位5社のうち4社が「薬局+診療所」モデルの**薬局型(Farmacia型)**であり、医薬品と医療相談を中心に運営されています。

メキシコで日本のドラッグストアに最も近い業態を持つのは、Farmacias Guadalajaraの「SuperFarmacia」モデルです。SuperFarmaciaは薬局、コンビニ、スーパー、ベーカリーを組み合わせ、24時間365日営業する複合業態で、メキシコの大手チェーンの中で唯一「ドラッグストア型」と呼べる構造を持ちます。

本記事では、この業態二分構造を冒頭から明示し、各社を「薬局型」「ドラッグストア型」に分類して解説します。

メキシコ薬局・ドラッグストア TOP5 ランキング一覧表(業態別)

順位 企業名 業態区分 親会社・運営会社 店舗数 年商・売上 業態特徴 DX施策
1 Farmacias Similares(Dr. Simi) 薬局型 Grupo Por Un País Mejor 9,600超(メキシコ+チリ) 非公開 低価格薬局+低価格診療所、ジェネリック特化 アプリ、EC、90分以内配送
2 Farmacias Guadalajara ドラッグストア型 Corporativo Fragua 2,800〜3,027店 1,321億19百万ペソ(約1.23兆円) SuperFarmacia、24時間365日、薬+食品+日用品+ベーカリー EC、Smart & Collect、物流自動化
3 Farmacias del Ahorro 薬局型 非公開企業 1,800店超 615億38百万ペソ(約5,723億円) 価格訴求、無料医療相談 アプリ、EC、Monedero del Ahorro
4 Farmacias YZA 薬局型 FEMSA Salud 1,500店超 非公開 FEMSA系、地域密着、中南米横断 FEMSA Salud基盤
5 Farmacias Benavides 薬局型 WBA系・Sycamore関連 1,100店超 176億46百万ペソ超(約1,641億円超) 北部・西部地盤、慢性疾患支援、相談型 EC、会員プログラム

為替は1メキシコペソ=約9.3円で換算します(2026年6月時点目安)。

業態構成のポイント:5社中4社が薬局型、ドラッグストア型はGuadalajara1社のみ。Guadalajaraは売上規模(約1.23兆円)でも他社を大きく引き離し、メキシコ医薬品小売の最大手企業として独自ポジションを持ちます。

メキシコの薬局・ドラッグストア市場概況

メキシコの医薬品小売市場は、医薬品販売と一次医療アクセスが一体化している点が特徴です。
背景は3つあります。

1つ目は、公的医療へのアクセス格差です。
都市部と地方、所得階層によって、受診までの時間と費用に差があります。
この隙間を薬局型チェーンの併設診療所が埋めています。

2つ目は、ジェネリック医薬品の普及です。
Dr. Simiの「Lo mismo, pero más barato」、すなわち「同じものを、より安く」という訴求は、ジェネリック普及と相性が高いモデルです。

3つ目は、Guadalajaraの「SuperFarmacia」モデルが切り開いたドラッグストア型業態の存在です。
24時間営業、食品、日用品、ベビー用品、ベーカリー、写真サービスを組み合わせ、薬局を「医療接点」から「生活インフラ」へと拡張しました。
ただし、このドラッグストア型業態を持つ大手はGuadalajaraのみで、他4社は薬局型を維持しています。

市場規模では、メキシコの医薬品産業売上は2022年に5,365億30百万ペソでした。
ANTADの推計では、2025〜2030年の薬局・ヘルスケア関連市場は年平均10%超の成長が見込まれています。

規制|COFEPRISとジェネリック互換性

メキシコの医薬品規制を所管するのはCOFEPRISです。
正式名称はComisión Federal para la Protección contra Riesgos Sanitariosです。
日本語では「連邦衛生リスク保護委員会」と訳せます。

ジェネリック医薬品では、互換性の証明が重要です。
メキシコのNOM-177-SSA1-2013は、ジェネリック医薬品の互換性を示すための試験・手順を定めています。
主な論点は、バイオアベイラビリティ、生物学的同等性、溶出プロファイルです。

つまり、安い薬を売るだけでは成立しません。
品質・同等性・規制対応を満たしたうえで、価格を下げる必要があります。

メキシコでは薬局型・ドラッグストア型ともに、薬剤師責任者の常駐、調剤記録、医薬品分類(処方薬、OTC、管理薬)の販売制限が課されます。
Farmacias Guadalajaraがドラッグストア型として食品・日用品まで扱う場合でも、医薬品売場は薬局基準を満たす必要があります。

ランキング上位の各社プロフィール

第1位:Farmacias Similares(Dr. Simi)|薬局型

Farmacias Similaresは、メキシコ薬局市場で最も強い存在感を持つ薬局型チェーンです。
ブランドキャラクターのDr. Simiで知られています。

運営母体はGrupo Por Un País Mejorです。
同グループ公式サイトによれば、Farmacias Similaresは1997年9月8日に設立されました。
目的は、医療アクセスが限られる低所得層に、低価格の医薬品と低価格の医療相談を提供することです。

同社は、メキシコとチリで9,600超の事業拠点を展開しています。
公式サイトは「世界第2位の店舗数を持つチェーン」と説明しています。

成功要因は、単なる安売りではありません。

業態:薬局+診療所+ジェネリックの一体化

Dr. Simiモデルは、薬局と低価格診療所を近接させる薬局型業態です。
患者は、診察、処方、薬の購入を短時間で完結できます。

日本の視点で見ると、これは「門前薬局」ではありません。
より近いのは、生活圏内の一次医療窓口です。

医療費を抑えたい生活者にとって、低価格診療所と低価格薬局の組み合わせは合理的です。
この構造が、メキシコでDr. Simiを社会インフラ化させました。

なお、Dr. Simiは食品、ベーカリー、日用品などを扱う「ドラッグストア型」ではなく、医薬品とサプリ、健康関連商品を中心とした薬局型業態を維持しています。

キャラクター戦略

Dr. Simiの着ぐるみは、広告キャラクターを超えて文化的アイコンになっています。
音楽イベントでのぬいぐるみ投げ入れなども話題化しました。

薬局業態でここまでキャラクター資産を持つ企業は少数です。
価格訴求と親しみやすさを同時に作った点が、同社の強みです。

2026年4月には渋谷109前のポップアップでDr.SIMIの認知イベントをやっていました。

https://kyodonewsprwire.jp/release/202604157438

https://kyodonewsprwire.jp/release/202604157438 Víctor González Herrera, president of Farmacias Similares and executive president of GPUPM, with Dr. Simi—the face of Farmacias Similares—during the opening of the company’s pop-up store in central Shibuya, in the heart of Tokyo. EFE/Rodrigo Reyes

DXの方向性

Farmacias Similaresは、アプリとECを展開しています。
Google Playのアプリ説明では、商品検索、オンライン購入、90分以内配送、店頭受取などを訴求しています。

ただし、同社の本質はデジタル単体ではありません。
リアル店舗網、診療所、低価格PB、キャラクター認知をアプリで補完する構造です。

Dr.SIMI

Dr.SIMI

第2位:Farmacias Guadalajara|ドラッグストア型(メキシコ唯一)

Farmacias Guadalajaraは、Corporativo Fraguaが運営するメキシコ唯一の本格ドラッグストア型チェーンです。
1942年創業です。

公式サイトでは2,800店以上、別の最新報道では2026年第1四半期時点で3,027店、507都市、メキシコ全32州に展開しているとされます。

同社の最大の特徴は「SuperFarmacia」モデルです。
これは薬局、コンビニ、食品、日用品、ベビー用品、ベーカリー、写真サービス、宝くじなどを組み合わせたドラッグストア型複合業態です。
多くの店舗が24時間365日営業し、医療接点だけでなく生活インフラとして機能しています。

SuperFarmaciaモデルの本質

SuperFarmaciaは、日本のドラッグストアに最も近いメキシコの業態です。

業態構成:

  • 薬局機能(処方薬、OTC、ジェネリック、薬剤師相談)
  • コンビニ機能(飲料、菓子、たばこ、雑誌)
  • スーパー機能(食料品、調味料、冷凍食品)
  • ベーカリー機能(パン、ペストリー)
  • 日用品機能(洗剤、紙製品、ペット用品)
  • 美容機能(化粧品、スキンケア)
  • 写真・印刷サービス
  • 24時間営業(365日)

このフォーマットは、Walmart Méxicoのような大型スーパーと、独立薬局の間を埋めるポジションです。
「薬局に来てついでに買い物」「コンビニに来てついでに薬」の双方向動線を実現しています。

年商と規模

Corporativo Fraguaの2025年売上は1,321億19百万ペソです。
円換算で約1.23兆円です。

メキシコの薬局・ドラッグストア企業で、売上と店舗数を継続的に開示している点は大きな特徴です。
投資家向けFAQでは、2025年に8億3,500万人超の顧客を対応したと説明しています。

売上規模では、Guadalajaraがメキシコ医薬品小売市場の最大手です。
Dr. Simiは店舗数で世界2位級ですが、Guadalajaraは1店当たり売上規模(24時間営業、食品・日用品を含む高客単価)で圧倒的に大きいです。

オペレーション

Farmacias Guadalajaraの強みは、物流と標準化です。
同社は3つの配送センターと5つのクロスドックを持ち、3,000店超のSuperFarmaciaを支えています。

メキシコの広い国土で、医薬品、食品、日用品を同時に回すには、物流が競争力になります。
この点は、日本のドラッグストアにも近い論点です。

DX

同社はEC、宅配、Smart & Collectを展開しています。
店舗網と配送網を使い、オンライン注文と店頭受取を組み合わせています。

日本企業への示唆は明確です。
SuperFarmaciaモデルは、日本のコスモス薬品・アオキといった「食品強化型ドラッグストア」と最も親和性が高いメキシコ市場のフォーマットです。

第3位:Farmacias del Ahorro|薬局型

Farmacias del Ahorroは、1991年創業の大手薬局型チェーンです。
Antonio Leonardo Castañón氏による成長企業として知られます。

店舗数は1,800超です。
Expansiónは、同社の売上を615億38百万ペソとしています。
円換算で約5,723億円です。

業態:薬局型の価格訴求モデル

社名の「Ahorro」は「節約」を意味します。
価格訴求がブランドの中心です。

同社は、医薬品、セルフメディケーション、サプリ、ベビー用品、医療消耗品を扱います。
食品やベーカリーは扱わず、Guadalajaraのようなドラッグストア型ではなく、薬局型に分類されます。

さらに、無料医療相談のコンセプトを訴求し、Dr. Simiと同様に「薬局+医療相談」の薬局型業態を強化しています。

DX

同社はアプリとECに積極的です。
自社サイトでは、アプリ、送料無料、オンライン限定価格、Monedero del Ahorroなどを訴求しています。

オンライン薬局としての使い勝手は、メキシコ大手の中でも高い部類です。
価格訴求とアプリ導線を組み合わせている点が特徴です。

第4位:Farmacias YZA(FEMSA Salud)|薬局型

Farmacias YZAは、FEMSA Saludのメキシコ薬局ブランドです。
店舗数は1,500超です。
メキシコ17州に展開しています。

業態は薬局型で、医薬品、OTC、サプリ、ベビー用品、医療消耗品を扱います。
Guadalajaraのような食品・ベーカリー機能は持ちません。

FEMSA Saludは、メキシコ、チリ、コロンビア、エクアドルで薬局事業を展開しています。
公式サイトでは、Farmacias YZA、Moderna、Cruz Verde、Fybeca、SanaSanaなどを運営ブランドとして挙げています。

FEMSAの意味

FEMSAは、OXXOで知られるメキシコの巨大リテール・飲料グループです。
同社の薬局事業は、コンビニ、物流、金融、ヘルスケアをつなぐ中南米戦略の一部です。

ただし、興味深いのは、FEMSAがOXXO(コンビニ)とYZA(薬局型)を別ブランドで運営している点です。
日本やメキシコのGuadalajaraのように「薬局+コンビニ」を1店舗で統合するのではなく、機能別ブランドで棲み分けています。

中南米戦略

FEMSA Saludは4カ国で4,667の販売拠点を持ちます。
メキシコ単体ではYZAが主軸です。
チリではCruz Verde、エクアドルではFybecaとSanaSana、コロンビアではCruz Verdeを展開しています。

この広域展開は、日本企業にとって参考になります。
単一国の薬局チェーンではなく、地域横断のヘルスケア小売プラットフォームを作る発想です。

第5位:Farmacias Benavides|薬局型

Farmacias Benavidesは、メキシコ北部・西部に強い老舗薬局型チェーンです。
1917年にルーツを持ちます。

同社公式サイトは、1,100超の薬局、450超の診療所、200超の都市、27州での展開を説明しています。
商品数は11,000超です。

業態は、医薬品、サプリメント、化粧品、ベビー用品、医療消耗品、慢性疾患関連商品が中心で、薬局型に分類されます。

親会社

BenavidesはFEMSA系ではありません。
BMVの企業情報では、Farmacias BenavidesはWalgreens Boots Allianceグループの一部と説明されています。
さらに2025年には、WBAがSycamore Partners関連の買収対象となったことが報じられました。

このため、現在のBenavidesは「WBA系・Sycamore関連」と表現するのが適切です。

年商

Expansiónは、Benavidesの売上を176億46百万ペソ超としています。
円換算で約1,641億円超です。

業態特徴:薬局+診療所+慢性疾患支援

Benavidesは、薬局、診療所、慢性疾患支援、会員プログラムを組み合わせています。
公式サイトでは、糖尿病、高血圧、肥満、メンタルヘルスなどの情報コンテンツも展開しています。

北部・西部地盤の地域密着型チェーンとして、全国最大級チェーンとは異なるポジションです。
Dr. SimiやFarmacias del Ahorroと同じく、薬局+医療相談の薬局型業態を取っています。

TOP5外の注目企業|Farmacias San Pablo(薬局型)

Farmacias San Pabloは、都市部で存在感のある薬局型チェーンです。
自社サイトでは、165超の店舗、オンライン薬局、24時間薬局を訴求しています。

店舗数ではTOP5に入りません。
ただし、EC、配送、都市部プレミアムの観点では注目すべき企業です。

San Pabloの強みは、都市部顧客に向けた利便性です。
オンラインで医薬品、ダーモコスメ、パーソナルケア商品を購入でき、配送も訴求しています。
業態としてはGuadalajaraのような食品強化型ではなく、プレミアム志向の薬局型に分類されます。

メキシコの薬局型 vs ドラッグストア型|業態比較表

比較軸 薬局型(Dr. Simi、del Ahorro、YZA、Benavides、San Pablo) ドラッグストア型(Guadalajara)
主力商品 医薬品、サプリ、医療消耗品 医薬品+食品+日用品+ベーカリー+雑貨
営業時間 通常営業(8〜22時等)、一部24時間 24時間365日(基本)
1店当たり売場面積 小〜中規模 大規模(コンビニ+スーパー併設)
1店当たり売上規模 中規模 大規模(食品・日用品で客単価高い)
来店動機 薬・相談・診療 薬+日常買物+緊急時
競合 他の薬局型、独立薬局 コンビニ(OXXO等)、スーパー、独立薬局
日本との類似業態 調剤薬局+OTC専門店 ウエルシア、ツルハ、コスモス薬品(食品強化型ドラッグストア)
上位企業数 4社(Dr.Simi、del Ahorro、YZA、Benavides) 1社のみ(Guadalajara)

この比較表が示すのは、メキシコ市場の二業態構造です。
日本のドラッグストア企業がメキシコ市場を参考にする場合、Guadalajaraのドラッグストア型モデルが最も近い参照軸であり、他4社は日本の調剤薬局・ドラッグストアの中間業態として位置付けられます。

メキシコ薬局・ドラッグストアDX動向

1. アプリとEC

大手各社はアプリとECを標準装備にしています。
薬局型・ドラッグストア型ともにDXの基本機能は共通ですが、商品構成が異なるため運用が変わります。

薬局型(Dr. Simi、del Ahorro、Benavides、YZA)は、医薬品・サプリ・医療相談を中心としたEC設計で、処方箋アップロード、薬剤師チャット、慢性疾患の継続購入が中心です。

ドラッグストア型(Guadalajara)は、医薬品に加えて食品・日用品・ベーカリー・写真サービスまでをEC・宅配で扱う必要があり、フルフィルメントの設計が薬局型より複雑です。

2. 配送

メキシコでは、薬局・ドラッグストア配送のニーズが強いです。
背景には、都市部の交通、慢性疾患患者の継続購入、夜間需要、ドラッグストア型の生活買物需要があります。

ドラッグストア型のGuadalajaraは「Farmacias Guadalajara a Domicilio(自宅配送)」を強化し、薬局型のFarmacias del Ahorroは「送料無料」を訴求しています。配送モデルも業態によって設計が異なります。

3. 診療所併設

Dr. Simi、Benavides、del Ahorroなど薬局型の各社は、何らかの形で医療相談・診療導線を持ちます。
一方、ドラッグストア型のGuadalajaraは医療相談機能は薬局型より限定的で、商品買物の利便性で差別化しています。

4. ロイヤリティ

Monedero del Ahorroなど、会員プログラムも重要です。
薬局型・ドラッグストア型ともに購買頻度が高く、慢性疾患では継続購買が発生します。
ポイントやクーポンだけでなく、疾患別CRMが薬局型の競争軸、生活買物の頻度設計がドラッグストア型の競争軸になります。

Dr. Simiモデルの成功要因(薬局型の頂点)

Dr. Simiモデルの本質は、低価格ではなく「医療アクセスの再設計」です。
これは薬局型業態の到達点とも言えます。

要因は3つです。

1つ目は、診察と薬の購買を近接させたことです。
受診負担を下げ、購買転換率を高めました。

2つ目は、ジェネリック医薬品を生活者にわかりやすく訴求したことです。
「同じものを、より安く」というメッセージは、価格不安を解消します。

3つ目は、Dr. Simiというキャラクターで心理的障壁を下げたことです。
医療は本来、緊張感のあるサービスです。
同社はそこに親しみを持ち込みました。

日本で同じモデルを作るには、制度制約があります。
それでも、生活者起点で医療アクセスを再設計する発想は応用できます。

Guadalajaraのドラッグストア型モデル|日本企業への参照軸

Farmacias GuadalajaraのSuperFarmaciaモデルは、メキシコ市場で唯一のドラッグストア型業態であり、日本のドラッグストアにとって最も参照価値の高い事例です。

成功要因は3つです。

1つ目は、薬局+コンビニ+スーパー+ベーカリーを1店舗に統合したことです。
日本のウエルシア・ツルハ・コスモス薬品が進める「食品強化型ドラッグストア」と同じ発想です。

2つ目は、24時間365日営業を全店標準化したことです。
緊急時の医薬品需要と、深夜の食品・日用品需要を同時に満たす設計です。

3つ目は、3配送センター+5クロスドックの物流標準化です。
広い国土で食品・日用品を扱うには、薬局単独より高度な物流が必要です。

ただし、SuperFarmaciaモデルには課題もあります。
医療相談機能は薬局型のDr. SimiやBenavidesに比べると限定的で、「医療接点としての薬局」の価値訴求は弱めです。
日本のドラッグストアが調剤併設率を高めているのと同様、Guadalajaraも今後の医療接点強化が課題になります。

日本企業への示唆

1. 業態区分を分けて参入機会を考える

メキシコ市場は薬局型とドラッグストア型の二分構造です。
日本のドラッグストア企業が参考にすべきはGuadalajaraのSuperFarmaciaモデル、調剤薬局チェーンが参考にすべきはDr. Simiの薬局+診療所モデルです。

2. ドラッグストアは「物販」から「一次接点」へ進む

メキシコでは、薬局型チェーンが医療の入口になっています。
日本でも、ドラッグストアはセルフメディケーション、検査、受診勧奨、オンライン相談の入口になり得ます。

3. 低価格PBは医療アクセスと結びつける

単なるPB強化では差別化が弱いです。
症状、相談、推奨、購買後フォローまで含める必要があります。
Dr. Simiの「薬+診療所」の薬局型はその到達点を示しています。

4. 店舗数よりも店舗密度・業態適合度が重要

Dr. Simiは圧倒的な店舗網を持ちます。
Guadalajaraは3,000店規模を物流で支えます。
薬局・ドラッグストアは商圏密度と業態適合度(薬局型かドラッグストア型か)が競争力になります。

5. SuperFarmaciaは日本の食品強化型DSと最も親和性が高い

Farmacias GuadalajaraのSuperFarmaciaは、薬局とコンビニ・スーパーの融合です。
日本のドラッグストアも食品を強化しています。
ただし、医薬品・食品・日用品を同時に回すには、物流と店舗作業の標準化が前提です。

6. 中南米ではFEMSA型の横断プラットフォームが強い

FEMSA Saludは、メキシコ、チリ、コロンビア、エクアドルで薬局事業を展開します。
小売、物流、金融、ヘルスケアを束ねる発想です。

日本企業が海外展開を考える場合、単独店舗展開より、現地プラットフォームとの連携が望ましいです。

よくある質問

Q1. メキシコ最大の薬局・ドラッグストアはどこですか?

A. 店舗数ではFarmacias Similares(Dr. Simi、薬局型)が最大級です。公式情報ではメキシコとチリで9,600超の事業拠点を展開しています。売上規模ではFarmacias Guadalajara(ドラッグストア型、約1.23兆円)が最大です。

Q2. メキシコのドラッグストアTOP3は?

A. 店舗数基準では、Farmacias Similares、Farmacias Guadalajara、Farmacias del Ahorroです。ただし、業態としてはGuadalajaraのみが「ドラッグストア型」で、他は「薬局型」です。

Q3. メキシコの「薬局型」と「ドラッグストア型」の違いは?

A. 薬局型(Dr. Simi、del Ahorro、YZA、Benavides、San Pablo)は医薬品中心で、薬剤師相談・低価格診療所が併設されます。ドラッグストア型(Guadalajara)は医薬品+食品+日用品+ベーカリーを1店舗に統合し、24時間365日営業する複合業態です。

Q4. 日本のドラッグストアに最も近いメキシコ企業は?

A. Farmacias Guadalajaraです。SuperFarmaciaモデルは、日本のウエルシア・ツルハ・コスモス薬品が進める「食品強化型ドラッグストア」と最も親和性が高い業態です。

Q5. Farmacias Guadalajaraは何店舗ありますか?

A. 公式サイトでは2,800店以上、2026年第1四半期時点の別報道では3,027店舗で、507都市・全32州に展開しています。多くが24時間365日営業のSuperFarmaciaフォーマットです。

Q6. Dr. Simiモデルとは何ですか?

A. 低価格薬局、低価格診療所、ジェネリック医薬品を組み合わせた薬局型モデルです。医療アクセスに課題を持つ生活者に、診察から薬の購入までを低価格で提供します。食品やベーカリーは扱わず、医療接点としての薬局型業態を維持しています。

Q7. Farmacias BenavidesはFEMSA系ですか?

A. 違います。BenavidesはWalgreens Boots Alliance系の薬局型チェーンです。2025年にはWBAがSycamore Partners関連の買収対象となったことが報じられました。FEMSA系のメキシコ薬局はFarmacias YZAとModernaで、いずれも薬局型です。

Q8. FEMSAはメキシコでドラッグストア型を運営していますか?

A. いいえ。FEMSA SaludはYZA(薬局型)を運営し、OXXO(コンビニ)と機能別に分けています。薬局+コンビニ+スーパーを1店舗に統合する「ドラッグストア型」モデルは、Farmacias Guadalajaraが唯一のプレイヤーです。

Q9. メキシコでオンライン薬局は使えますか?

A. 使えます。Farmacias Guadalajara(ドラッグストア型)、Farmacias del Ahorro、Benavides、San Pablo、Dr. Simi(薬局型)などがEC、アプリ、配送、店頭受取を展開しています。

Q10. 日本のドラッグストアはメキシコに進出していますか?

A. 現時点で、日本の大手ドラッグストアによる本格的な直接店舗展開は確認できません。

まとめ

メキシコの医薬品小売市場は、薬局型とドラッグストア型の二業態構造で整理するのが実態に近い見方です。

店舗数で見ると、薬局型のFarmacias Similares(Dr. Simi)が9,600超で世界2位級です。
ドラッグストア型では、Farmacias Guadalajaraが2,800〜3,027店、売上約1.23兆円で唯一のプレイヤーとなっています。

薬局型のFarmacias del Ahorro、Farmacias YZA、Farmacias Benavides、Farmacias San Pabloは、医薬品+薬剤師相談+低価格診療所の組み合わせで存在感を保ちます。

日本企業への示唆は、業態区分を明確に分けることです。
日本のドラッグストア企業が参考にすべきはGuadalajaraのSuperFarmaciaモデル、調剤薬局チェーンが参考にすべきはDr. Simiの薬局+診療所モデルです。
本質は、医療アクセス、低価格、店舗密度、物流、アプリを一体で設計することであり、薬局型かドラッグストア型かによって優先順位が変わります。

薬局・ドラッグストアは、物販だけではなく、地域のヘルスケア接点になります。
メキシコ市場は、薬局型の到達点(Dr. Simi)とドラッグストア型の到達点(Guadalajara)の両方を、世界に先駆けて示しています。

内部リンク

出典

  1. Grupo Por Un País Mejor「Empresas Comerciales」
    https://www.porunpaismejor.com.mx/empresas.html
  2. Farmacias Guadalajara「Preguntas frecuentes de inversionistas」
    https://www.farmaciasguadalajara.com/empresa/relacion-con-inversionistas/FAQ.html
  3. Farmacias Guadalajara「Información financiera」
    https://www.farmaciasguadalajara.com/empresa/relacion-con-inversionistas/informacion-financiera.html
  4. Expansión「Guadalajara, Similares, Ahorro, Benavides o San Pablo: ¿Qué farmacia manda en México?」2025年12月
    https://expansion.mx/empresas/2025/12/15/que-farmacia-manda-en-mexico
  5. Expansión「Farmacias Guadalajara, Similares o del Ahorro, ¿Cuál ofrece más servicios de salud?」2026年1月
    https://expansion.mx/empresas/2026/01/15/farmacias-guadalajara-similares-o-del-ahorro-cual-ofrece-mas-servicios-de-salud
  6. FEMSA Salud公式サイト
    https://www.femsa.com/en/business-units/proximity-and-health/femsa-salud/
  7. Farmacias Benavides「Sobre Nosotros」
    https://www.benavides.com.mx/nosotros
  8. Bolsa Mexicana de Valores「Farmacias Benavides perfil」
    https://www.bmv.com.mx/es/emisoras/perfil/BEVIDES-5161
  9. EL CEO「Farmacias Benavides cambia de dueño」
    https://elceo.com/negocios/farmacias-benavides-cambia-de-dueno-sycamore-compra-walgreens-boots/
  10. El Economista「Ventas de farmacias crecerán más de 10% anual: ANTAD」
    https://www.eleconomista.com.mx/empresas/ventas-farmacias-creceran-10-anual-antad-20250122-743081.html
  11. COFEPRIS「Medicamentos Genéricos」
    https://www.gob.mx/cofepris/documentos/medicamentos-genericos-411097
  12. Diario Oficial de la Federación「NOM-177-SSA1-2013」
    https://www.dof.gob.mx/nota_detalle_popup.php?codigo=5314833
  13. Farmacias del Ahorro公式サイト
    https://www.fahorro.com/
  14. San Pablo Farmacia公式サイト
    https://www.farmaciasanpablo.com.mx/
  15. Farmacias Similares Google Playアプリ説明
    https://play.google.com/store/apps/details?id=com.farmaciasdesimilares.simiapppublica
  16. Xe「MXN to JPY exchange rate」
    https://www.xe.com/en-us/currencyconverter/convert/?Amount=1&From=MXN&To=JPY


よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!
目次