補充点とは
補充点(Replenishment Level、Order-up-to Level)とは、在庫をどこまで補充するかを決める上限値です。
発注時には、補充点と有効在庫の差を発注します。有効在庫は、手持在庫に発注済み未入荷数を加え、引当済み数量を差し引いて算出します。
補充点は、在庫保有コストと発注・物流・店舗作業コストのバランスを決める数値です。
補充点の計算式
定期的に在庫を確認して補充する方式では、補充点を次の簡易式で求めます。
補充点 = 1日当たりの平均需要量 ×(発注間隔+発注リードタイム)+ 安全在庫
今回の在庫確認から次回発注分が納品されるまでの需要を賄うことが基本の考え方です。
1日当たりの平均需要量が20個、発注間隔が3日、リードタイムが2日、安全在庫が30個であれば、補充点は20×(3+2)+30=130個となります。発注済み未入荷数と引当済み数量がなく、手持在庫が40個であれば、発注量は130-40=90個です。
補充点を高くするとき・低くするとき
発注点を固定したまま補充点を高くすると、1回当たりの発注量が増え、発注頻度を下げやすくなります。発注を納品単位に集約できれば、物流コストと荷受け回数を抑えられますが、平均在庫と保管スペースは増えます。
補充点を低くすると平均在庫は減りますが、発注や納品が小口化し、品出し工数が増える場合があります。
補充点と発注点の違い
2つは役割が異なります。発注点は「いつ発注するか」を判定する下限値、補充点は「どこまで戻すか」を決める上限値です。
発注点だけを使う場合
有効在庫が発注点以下になったら、あらかじめ決めた固定量を発注します。固定発注量には、経済的発注量などを用います。運用は単純ですが、需要変動や在庫確認の間隔によっては、発注後の在庫水準に過不足が生じます。
発注点と補充点を併用する場合
有効在庫が発注点以下になったら、補充点までの不足分を発注します。発注量が有効在庫に応じて変わるため、発注後の在庫ポジションを一定の水準に戻しやすくなります。これを発注点補充点方式と呼びます。

小売実務での補充点の決め方
売場のフェイス数と積載量から上限を決める
計算上の補充点が売場の陳列可能数量を超えると、超過分はバックヤードに保管する必要があります。バックヤードからの品出しが遅れると、システム上は在庫があっても、売場では欠品が発生します。
補充点は、棚の陳列可能数量にバックヤードの適正在庫を加えた保管可能数量の範囲内で設定します。

カテゴリー別に分ける
生鮮品や日配品は、消費期限・賞味期限が制約になるため、補充点を低めに設定します。加工食品や日用雑貨は保存が利くため、保管スペースに余裕があれば、物流効率を考慮して補充点を高めに設定できます。全店舗・全カテゴリーに一律の補充点を設定すると、商品特性や店舗条件に合わず過剰在庫や欠品が多発します。
納品頻度とセットで設計する
補充点と納品頻度は連動します。納品頻度を上げれば、次回納品までの需要量が減るため、補充点を下げられます。一方、荷受け・検品・品出しなど、納品1回ごとに発生する作業が増えます。作業能力を確認せずに納品頻度だけを上げると、品出しが遅れて売場欠品を増やします。
補充点とIT活用
自動発注システムでの設定
自動発注システムでは、発注点と補充点をSKU単位・店舗グループ単位で保持自動発注システムには、発注点と補充点をSKU別・店舗別に保持できる製品があります。設定値の一括変更や、販売実績に基づく推奨値の提示に対応する製品もあります。導入後の見直し担当者、頻度、更新条件を決めないと、設定値が時間の経過とともに実態から乖離します。
需要予測による動的補充点
固定値ではなく、予測需要に基づいて補充点を動的に算出する方式があります。需要予測と在庫データの精度を確保できれば、販促週や連休前後など、平常時と需要水準が大きく異なる期間に対応しやすくなります。

補充点は「どこまで補充するか」を決める数値であり、売場とバックヤードの保管能力、納品条件、品出し能力の範囲内で設定する必要があります。計算値が保管能力を上回る場合は、納品頻度や発注単位を含めて見直します。自動発注の導入後に欠品が増える原因は自動発注で欠品が増える理由で整理しています。