UAE薬局店舗数ランキングTOP5|Life・Aster・BinSina

ドバイヒルズモールのBoots

UAE薬局店舗数ランキングTOP5|Life・Aster・BinSina

目次

この記事の要点|UAE(アラブ首長国連合)薬局TOP3

UAEの薬局・ドラッグストア市場を店舗数で見ると、上位3社は次の通りです。

  1. Life Pharmacy — UAE最大級。UAE国内で475店超、または中東全体で500店超とされる
  2. Aster Pharmacy — UAE発の医療グループ系薬局。UAEで200店超、GCCで300店超、グループ全体で500店規模
  3. BinSina Pharmacy — UAE最古級の薬局チェーン。国内150店規模

年商ランキングが理想ですが、UAEの主要薬局チェーンは非公開企業が多く、さらに病院・クリニック・医療卸・美容小売など別事業との区分が明確ではありません。そのため、本記事では店舗数を主な順位根拠とします。

ただし、Aster PharmacyはGCC・インドを含むグループ全体ではLife Pharmacyを上回る可能性があります。一方、UAE国内の薬局店舗数ではLife Pharmacyが最大と見るのが妥当です。

UAE薬局TOP5ランキング一覧表

順位 企業名 親会社・運営会社 店舗数の目安 年商・売上情報 業態特徴 DX施策
1 Life Pharmacy Life Pharmacy / Life Healthcare系 UAE475店超、または中東500店超 非公開。外部推計では約1.58億米ドル規模の情報あり。ただし未監査推計 UAE地場最大級、薬局・H&B・ウェルネス大型店 アプリ、処方箋アップロード、即時配達
2 Aster Pharmacy Aster DM Healthcare / Aster GCC系 UAE200店超、GCC300店超、グループ全体で500店規模 Aster DM Healthcareは上場企業。FY2025売上はインド事業中心で約4,290 crore INR。GCC薬局単体は分割前Q1 FY2024で817 crore INR 病院・クリニック・薬局の垂直統合 myAster、オンライン診療、処方・EC、物流自動化
3 BinSina Pharmacy Al Khayyat Investments UAE150店規模 非公開 UAE最古級、ビューティ・ウェルネス色が強い EC、90分配送、アプリ
4 Thumbay Pharmacy Thumbay Group UAE46店規模 非公開 病院・大学・クリニック連携 24時間対応、医療ネットワーク連携
5 Boots Middle East Alshaya Group / Bootsブランド UAE44店、Middle East111店 Alshayaは非公開。WBAグローバル売上はあるがUAE薬局売上とは別 英国Bootsブランド、モール・観光客対応 EC、店舗検索、H&B商品展開

ランキングはUAE国内の店舗数を優先しました。GCC全体の店舗数で見ると、Aster Pharmacy、Boots Middle Eastの順位は上がる可能性があります。

なぜUAEの薬局市場を見るべきか

UAEは人口約1,000万人規模の国ですが、薬局市場を見るうえでは人口以上の意味があります。理由は3つあります。

医療観光と高所得者層が重なる市場

ドバイ、アブダビは中東・南アジア・アフリカから患者を集める医療観光の拠点です。美容医療、歯科、整形外科、皮膚科、女性医療、ウェルネス領域と親和性が高く、薬局も単なる処方箋調剤の場にとどまりません。

医療観光客は、診療後の処方薬、サプリメント、スキンケア、術後ケア用品、健康食品を購入します。富裕層居住者や観光客が多い地域では、薬局がH&B専門店に近い役割を果たします。

病院・クリニック・薬局の垂直統合が進む

UAEの薬局市場では、病院やクリニックを持つヘルスケアグループが薬局を展開するモデルが目立ちます。Aster Pharmacyはその代表例です。

Asterは病院、クリニック、薬局、オンライン診療、アプリ、配送を連携させています。日本のドラッグストアが進める「調剤併設」「かかりつけ」「オンライン服薬指導」「ヘルスケアアプリ」と比較すると、UAEでは医療機関側から薬局を取り込む動きが強い点が特徴です。

Beauty、Wellness、Pharmacyの境界が薄い

UAEの大手薬局は、医薬品だけでなく、化粧品、サプリメント、ベビー用品、フィットネス、パーソナルケアを広く扱います。BinSinaやBootsは、医薬品小売というよりも「Health & Beauty」業態としての色が濃いチェーンです。

日本のドラッグストアと比較しても、ビューティ、ウェルネス、プレミアムスキンケアの比重が高く、富裕層・観光客・多国籍居住者を前提にした品ぞろえが重要になります。

UAE薬局市場の規模と成長率

UAEの薬局市場規模には、調査会社によって差があります。

Credence Researchは、UAE retail pharmacy marketを2024年で86.2億米ドル、2032年で104.0億米ドル、CAGR2.38%としています。一方、Research and Marketsに掲載されたTechSci Researchのレポートでは、UAE pharmacy retail marketを2023年で58.7億米ドル、2029年で92.3億米ドル、CAGR7.80%としています。

差が出る理由は、対象範囲の違いです。処方薬、OTC、病院薬局、オンライン薬局、メールオーダー、医療機関連携、H&B商品をどこまで含めるかで市場規模は変わります。

本記事では、UAE薬局市場を「処方薬・OTC・H&B・ウェルネス商品を含む小売薬局市場」として捉えます。日本のドラッグストア読者にとっては、医薬品単体よりも、店舗小売・EC・ヘルスケアサービスを含めて見る方が実務的です。

第1位:Life Pharmacy

Life Pharmacyは、UAE国内の店舗数で最大級と見られる薬局チェーンです。JLLのUAE小売薬局市場分析では、Life Pharmacyは475店超のチェーンとされています。Life PharmacyのLinkedIn公式情報では、中東最大級の薬局チェーンとして500店超と説明されています。

Life Pharmacyは1996年に1店舗から始まり、薬局、Health & Wellness Store、Healthcare Hypermarketを展開してきました。UAEの都市部では、モール、住宅地、幹線道路沿い、24時間営業店舗など、生活導線上で接点を増やしています。

Life Pharmacyの特徴

Life Pharmacyの強みは、薬局とドラッグストアの中間にある大型H&B業態です。医薬品、サプリメント、コスメ、ヘルスケア機器、ベビー用品を幅広く扱い、処方箋需要だけに依存しない構造を作っています。

アプリでは、処方箋アップロード、オンライン注文、配送、バウチャー、リワードを提供しています。日本のドラッグストアで言えば、調剤・OTC・化粧品・健康食品・アプリ販促をまとめた業態に近いです。

年商情報

Life Pharmacyは非公開企業のため、監査済みの年商は確認しにくいです。外部企業データベースでは売上約1.58億米ドルとする推計もありますが、算出方法は明確ではありません。ランキング根拠としては、売上ではなく店舗数を使うのが妥当です。

第2位:Aster Pharmacy

Aster Pharmacyは、Aster DM Healthcareグループの薬局事業です。Aster DM Healthcareは1987年にドバイで創業した医療グループで、病院、クリニック、薬局をGCCとインドで展開してきました。

Aster Pharmacyの店舗数は、参照する範囲によって数字が変わります。UAEでは200店超、JLLの分析では245店超とされます。Gulf NewsではUAE・GCCで300店超とされ、Asterのサウジ向け公式サイトではグループ全体で502 pharmaciesと記載されています。

このため、GCC・インドを含むグループ全体で見ると、AsterはLifeを上回る可能性があります。しかし、UAE国内の薬局店舗数を基準にすると、Life Pharmacyを1位、Aster Pharmacyを2位とする方が自然です。

Asterの垂直統合モデル

Asterの強みは、病院、クリニック、薬局、アプリ、配送をつなぐ垂直統合です。Aster ClinicsやAster Hospitalsで診療を受け、処方薬や関連商品をAster Pharmacyで受け取る導線を作れます。

myAsterアプリは、医師予約、オンライン診療、薬局注文、医療記録管理などを統合する方向で展開されています。Asterは、薬局を単独小売ではなく、患者接点を支える医療グループのフロントエンドとして位置付けています。

Aster DM HealthcareのIPOと2024年分割

Aster DM Healthcareはインド上場企業です。2024年にはインド事業とGCC事業の分離が完了しました。Aster DM HealthcareはGCC事業売却により大きな対価を受け取り、以後はインド事業に集中する形になっています。

分割前の開示では、GCC薬局セグメントのQ1 FY2024売上が817 crore INRとされています。これは年商ではなく四半期売上であり、かつ分割前のGCC薬局セグメントの数字です。現在のUAE薬局単体の年商としてそのまま使うのは避けるべきです。

Aster DM HealthcareのFY2025売上は約4,290 crore INRとする情報がありますが、これは分割後のインド事業中心の上場会社売上です。UAE薬局単体の年商ではありません。

Aster Pharmacy

Aster Pharmacy

第3位:BinSina Pharmacy

BinSina Pharmacyは、UAEで最も歴史のある薬局チェーンの一つです。1965年創業で、Al Khayyat Investmentsの一部として展開されています。

同社の公式・関連情報では、UAE国内で150店規模とされています。以前は120店超という表記もありましたが、近年の発表では150店超と見るのが妥当です。

BinSinaの特徴

BinSinaは、単なる薬局というより、ビューティ、スキンケア、サプリメント、ウェルネスを統合したプレミアム寄りのH&B業態です。高級住宅地、モール、都市部の生活者を主なターゲットにしています。

BinSinaのアプリやECでは、オンライン注文、GCC向け販売、90分配送、後払い決済などが提供されています。UAEの生活者は国籍、所得、宗教、生活習慣が多様であり、BinSinaはこの多様性に対応する品ぞろえを強みにしています。

年商情報

BinSina単体の年商は公開されていません。親会社Al Khayyat InvestmentsはUAEの大手ファミリー系複合企業で、医薬品、医療機器、消費財、フィットネス、自動車、物流など幅広く展開しています。ただし、BinSina薬局事業だけの売上は確認できません。

第4位:Thumbay Pharmacy

Thumbay Pharmacyは、Thumbay Groupの医療ネットワークに連動する薬局チェーンです。Thumbay GroupはUAEで病院、大学、クリニック、診断ラボ、薬局を展開しています。

Thumbay Groupの公式情報では、ヘルスケア部門が7つの academic hospitals、5つの family clinics / medical centers、3つの diagnostic labs、46の retail pharmacy outletsを運営するとされています。この数字をもとにすると、UAE国内店舗数ではBoots Middle EastのUAE44店をわずかに上回る可能性があります。

Thumbayの特徴

Thumbay Pharmacyは、病院・大学・クリニック連携型です。単独の小売薬局というより、医療グループの患者接点として機能します。

Gulf Medical UniversityやThumbay Hospitalとの関係が強く、薬剤師教育、服薬相談、患者ケアとの接続が特徴です。日本の文脈では、大学病院・医療法人グループが薬局と連動するモデルとして見ると理解しやすいです。

第5位:Boots Middle East

Boots Middle Eastは、英国BootsブランドをAlshaya Groupが中東で展開するモデルです。Alshayaの公式店舗検索では、UAEに44店舗とされています。BootsのUAE公式サイトでは、AlshayaがMiddle East全体で111のBoots店舗を運営すると説明されています。

Bootsの特徴

Bootsは、英国発のHealth & Beautyブランドです。UAEでは薬局としての機能に加え、スキンケア、化粧品、パーソナルケア、観光客向け購買の意味合いが強くなります。

UAE国内店舗数ではThumbayより少ない可能性がありますが、中東全体のブランド展開ではBootsの存在感は大きいです。特にモール、観光地、外国人居住者向けのH&B小売として重要です。

年商情報

Alshaya Groupは非公開企業のため、Boots Middle East単体の年商は確認しにくいです。Walgreens Boots Allianceはグローバル大企業ですが、UAE・中東フランチャイズ店舗の売上をそのまま反映するものではありません。したがって、本ランキングでは年商ではなく店舗数を基準にします。

ドバイヒルズモールのBoots

ドバイヒルズモールのBoots

UAE薬局DXの主要論点

アプリと即時配送

UAEの薬局DXで最も分かりやすいのは、アプリと配送です。Life Pharmacy、Aster Pharmacy、BinSinaはいずれもアプリやECを展開し、処方箋アップロード、商品注文、配送、リワードを提供しています。

都市部では即時配送ニーズが強く、薬局は店舗網と配送網を組み合わせています。日本のドラッグストアECと比べると、UAEでは「近隣店舗から早く届ける」価値が強く出ています。

テレヘルスと処方連携

Asterのような医療グループ系薬局では、オンライン診療、医師予約、医療記録、処方薬配送を一体化しやすいです。UAEでは民間医療保険の利用も多く、診療、保険、薬局、配送をアプリ上でつなぐことが競争力になります。

物流自動化

Aster Pharmacyは、EC需要やGCC展開に対応するため、物流自動化にも取り組んでいます。Dematicの事例では、Aster PharmacyがUAE、サウジアラビア、GCC諸国での需要拡大とEC成長に対応するため、自動化されたフルフィルメント体制を構築していると紹介されています。

薬局DXは、アプリの見た目だけではなく、裏側の在庫、ピッキング、配送、保険連携まで含めて見る必要があります。

UAEの薬局規制

UAEでは、薬局規制が連邦レベルとエミレート別の規制に分かれます。

連邦レベル

薬局施設、医薬品、医療製品、薬剤師資格などは、連邦レベルの規制が関係します。MOHAPは、community pharmacyやcompounding pharmacyのライセンス手続きに関わります。

2025年末以降は、Emirates Drug Establishment(EDE)が医薬品登録、輸出入許可、GMP認証、医薬品施設ライセンス、ファーマコビジランスなどの多くの業務を担う形に移行しています。記事入稿時点では、MOHAP、EDE、各エミレート当局の役割を最新確認する必要があります。

Dubai

ドバイではDubai Health Authority(DHA)が医療施設、薬局、医療従事者、広告などの規制に関わります。薬局開設には、会社登録、施設ライセンス、薬剤師責任者、施設設計、検査などが必要です。

Abu Dhabi

アブダビではDepartment of Health Abu Dhabi(DOH)が医療・薬局関連規制を担います。医薬品リストや医療機関運営に関して、ドバイとは別の制度運用が存在します。

Sharjahなど北部首長国

シャルジャ、アジュマン、ラスアルハイマ、フジャイラ、ウンム・アル=カイワインなどでは、MOHAPや各地域当局の管轄が関係します。UAE進出では、国単位ではなく、どのエミレートに出店するかで制度確認が必要です。

日本企業への示唆

富裕層と医療観光を前提に商品設計する

UAEでは、薬局が富裕層、観光客、医療観光客の購買接点になります。日本企業が化粧品、サプリメント、OTC、ヘルスケア機器を展開する場合、価格訴求よりも品質、安全性、ストーリー、プレミアム感が重要です。

薬局だけでなく医療グループとの接点を見る

AsterやThumbayのように、病院・クリニック・薬局が一体化したグループが存在します。日本企業がUAEでヘルスケア商材を展開する場合、小売棚だけでなく、医師、クリニック、保険、患者導線まで含めて設計する必要があります。

GCC全体を視野に入れる

UAEは単独市場としても重要ですが、GCC展開の入口でもあります。Asterはサウジアラビアでの薬局拡大を進めています。BootsもAlshayaを通じて中東複数国に展開しています。

UAEでの実績は、サウジアラビア、カタール、オマーン、バーレーン、クウェートへの展開に使える可能性があります。

ハラル、宗教習慣、多国籍対応を軽視しない

UAEの薬局では、ハラル、アルコール成分、ゼラチン由来成分、ラマダン中の生活習慣、多言語表示などへの配慮が必要です。日本製品は品質評価を得やすい一方、成分説明や宗教文化への配慮が不足すると導入障壁になります。

よくある質問

Q1. UAE最大の薬局チェーンはどこですか?

UAE国内の店舗数では、Life Pharmacyが最大級と見られます。JLLはLife Pharmacyを475店超のチェーンとし、Life Pharmacyの公式LinkedInでは500店超と説明されています。

Q2. Aster PharmacyはUAE最大ではないのですか?

Aster PharmacyはUAE発の代表的な薬局チェーンで、GCC・インドを含むグループ全体では500店規模です。ただし、UAE国内店舗数を基準にすると、Life Pharmacyの方が多い可能性が高いです。

Q3. UAEの薬局TOP3は?

店舗数を基準にすると、Life Pharmacy、Aster Pharmacy、BinSina Pharmacyの3社です。GCC全体やブランド認知を含めると、Aster Pharmacyの存在感はさらに大きくなります。

Q4. UAEの薬局市場規模は?

調査会社により差があります。Credence Researchは2024年のUAE retail pharmacy marketを86.2億米ドル、TechSci Research系の情報では2023年を58.7億米ドルとしています。定義の違いにより数字が変わるため、処方薬、OTC、H&B、オンライン薬局をどこまで含めるかを確認する必要があります。

Q5. UAEに進出している日本のドラッグストアはありますか?

現時点で、日本の大手ドラッグストアがUAEで本格的に店舗展開している例は確認しにくいです。一方で、日本の化粧品、サプリメント、ヘルスケア商品は、UAEの薬局やH&B小売で展開余地があります。

Q6. UAEでオンライン薬局は使えますか?

使えます。Life Pharmacy、Aster Pharmacy、BinSinaなどは、アプリやECを通じて商品注文、処方箋アップロード、配送を提供しています。AsterはmyAsterを通じて医療サービスとの連携も進めています。

Q7. UAE薬局市場で注目すべきDXは何ですか?

アプリ、処方箋アップロード、即時配送、オンライン診療、保険連携、物流自動化です。特にUAEでは、都市部の高密度店舗網と配送網を組み合わせたモデルが重要です。

まとめ

UAEの薬局市場は、単なる医薬品小売ではありません。医療観光、富裕層、外国人居住者、ビューティ、ウェルネス、オンライン配送が重なる市場です。

店舗数で見ると、UAE国内ではLife Pharmacyが最大級で、Aster Pharmacy、BinSina Pharmacyが続きます。AsterはGCC・インドを含むグループ全体では500店規模であり、医療グループ連携という点では最も重要な企業の一つです。

日本企業がUAE市場を見る場合、薬局棚に商品を置く発想だけでは不十分です。医療機関、保険、アプリ、配送、富裕層向けH&B、GCC展開まで含めて設計する必要があります。

出典

内部リンク


よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!
目次