ベトナム薬局チェーン店舗数ランキングTOP5|Long Châu首位とPharmacity再構築
この記事の要点|ベトナムドラッグストアTOP3 はこれだ
ベトナムの薬局チェーンを店舗数で見ると、上位3社は次の通りです。
- Long Châu(FPT Retail) — 2,000店超。全国63省市をカバーする首位チェーン
- Pharmacity — 900店超。外部資本を背景に再構築中
- An Khang(Mobile World Group) — 326店。家電・食品小売グループの薬局事業
ベトナムの「ドラッグストア」は実態は薬局チェーン市場です
ベトナムの「ドラッグストア」は、日本人読者が想像するH&B・化粧品・日用品中心の店舗とは大きく異なる業態です。
ベトナムでは「Nhà thuốc(薬局)」と呼ばれる業態が主流で、Long Châu・Pharmacity・An Khangはいずれも処方薬・OTC・薬剤師相談を主軸にした薬局チェーンです。Long Châuはワクチン接種センター、Pharmacityは医薬品中心への再定義、An KhangはMWGの小売基盤を活かした薬局運営という、医薬品・医療接点としての薬局DXが競争軸です。化粧品・日用品は補助的なカテゴリで、日本のマツモトキヨシ型のH&B+医薬品総合業態は現地のMatsukiyo Vietnamが7店規模で展開する段階にとどまります。本記事は「ベトナム ドラッグストア」というキーワードで検索される薬局チェーン市場を解説します。
順位の根拠は店舗数です。
ただし、ベトナム薬局市場は出退店が激しく、2024年から2025年だけでも順位の前提が変わっています。
結論から言えば、ベトナム薬局市場は「個人薬局中心の市場」から「チェーン薬局中心の市場」へ移行中です。
その中心にいるのがLong Châuです。
Pharmacityは先行拡大から再構築へ移りました。
An KhangはMobile World Groupのエコシステムを活かしながら、黒字化を優先する局面です。
ベトナム薬局 TOP5 ランキング一覧表
| 順位 | 企業名 | 親会社・主要株主 | 店舗数の目安 | 業態特徴 | DX施策 |
|---|---|---|---|---|---|
| 1 | Long Châu | FPT Retail | 2,022店前後 | 全国型チェーン、ワクチン接種センター併設 | 自社アプリ、AI処方箋読取、配達、デジタル予防接種記録 |
| 2 | Pharmacity | SK Group、Mekong Capital等 | 900店超 | 先行チェーン、再構築中 | 自社アプリ、EC、ロイヤリティ |
| 3 | An Khang | Mobile World Group | 326店 | 家電・食品小売グループの薬局業態 | 自社アプリ、オンライン注文、宅配 |
| 4 | Trung Sơn Pharma | Dongwha Pharmが過半出資 | 230店超 | メコンデルタ発、韓国資本と拡大 | EC、GS25連携型店舗 |
| 5 | Phano Pharmacy | Phano Pharmaceutical | 60店超 | 病院・商業施設立地に強み | オムニチャネル化は限定的 |
この表では、公開情報で店舗数を確認しやすいチェーンを優先しました。
Eco Pharmaは医薬品流通・病院向け供給で存在感があります。
一方、店舗数ランキングとしては公開情報が限定的なため、参考企業として扱うのが妥当です。
ベトナムの薬局市場概況
ベトナムの医薬品・薬局市場は成長市場です。
米国商務省は、ベトナム医薬品市場を2023年時点で60億米ドル、2028年に87億米ドル、2033年に116億米ドルと見込んでいます。
2016年から2022年の平均成長率は年10%です。
市場構造は病院チャネルが約70%、小売・OTCチャネルが約30%です。
小売薬局の数は約62,000店とされます。
この大半は個人薬局です。
現代的なチェーン薬局の比率はまだ低く、上位チェーンの成長余地があります。
B&Companyは、ベトナムの薬局小売市場を2024年時点で約89億米ドルとし、2033年に168億米ドルへ拡大するとしています。
2025年から2033年の年平均成長率は約6.7%です。
成長要因は4つです。
- 高齢化
- 所得上昇
- 慢性疾患の増加
- 偽薬・品質不安を背景にした信頼できる薬局チェーンへの需要
ベトナムでは、医薬品の品質、価格、薬剤師の説明、正規品保証が生活者選択の軸になります。
この構造は、日本のドラッグストアが「安さ」だけでなく「信頼」「相談」「利便性」で成長した過程と近いです。
規制環境|GPP、薬剤師、EC解禁が市場再編を促す
ベトナムの薬局運営では、GPPが重要です。
GPPはGood Pharmacy Practiceの略で、薬局が安全で有効な医薬品を患者へ直接供給するための基準です。
ベトナム保健省のCircular 02/2018/TT-BYTは、GPPを「薬局における原則と基準」と定義しています。
薬局には、薬剤師、施設、設備、標準業務手順、記録管理が求められます。
GPP適合の評価では、90%以上の点数が適合の目安です。
維持確認は原則3年ごとです。
2024年改正薬事法は、2025年7月1日から施行されます。
改正の焦点はECです。
非処方薬については、一定条件のもとでEC販売が認められます。
ただし、処方薬や特別管理医薬品は制限されます。
この規制変更は、チェーン薬局に有利です。
理由は3つです。
- GPP対応を標準化しやすい
- 薬剤師教育を本部主導で設計できる
- EC、アプリ、配送を法令順守込みで運用できる
個人薬局が価格と近接性で戦う市場から、チェーン薬局が「正規品保証」「薬剤師相談」「アプリ」「配送」で戦う市場へ変わっています。
ランキング上位の各社プロフィール
第1位:Long Châu(FPT Retail)
Long Châuは、FPT Retail傘下の薬局チェーンです。
現在のベトナム薬局市場で最も勢いのある企業です。
FPT Retailの2024年年次報告では、Long Châuは2024年に446店を新規出店し、薬局数を1,943店へ拡大しました。
さらにワクチン接種センターを116カ所新設し、合計126カ所へ拡大しました。
B&Companyは、2025年第1四半期時点でLong Châuが約2,022薬局を展開していると整理しています。
Long Châuの強みは3つです。
1. FPT Retailの業態転換
FPT Retailはもともと携帯・家電小売の企業です。
FPT Shopの成長鈍化を受け、医薬品小売へ成長軸を移しました。
日本で言えば、家電量販店が医薬品小売へ本格参入した構図に近いです。
FPT RetailはIT企業グループFPTの一員です。
そのため、店舗管理、在庫、アプリ、データ活用を小売オペレーションに組み込みやすい立場にあります。
2. 店舗あたり売上の高さ
FPT Retailによると、Long Châuの平均月商は1店舗あたり12億VNDです。
1VND=約0.0061円で換算すると、約732万円です。
ベトナムの個人薬局と比較して高い水準です。
The Investorは、Long Châuの1店舗あたり月商が一般的な個人薬局の5〜8倍と報じています。
この差は、品ぞろえ、在庫回転、価格、薬剤師対応、ブランド信頼の差です。
3. 薬局からヘルスケアエコシステムへ
Long Châuは薬を売るだけではありません。
ワクチン接種センターを拡大し、予防、診断、治療、薬局、在宅モニタリング、保険まで含むヘルスケアエコシステムを志向しています。
DX面では、自社アプリが中核です。
Google Play上のLong Châuアプリでは、薬剤師チャット、処方箋画像送信、オンライン注文、配送、ワクチン予約などを提供しています。
2025年にはHealthcare Asia Pharma AwardsでDigital Innovation of the Yearを受賞し、アプリのダウンロード数は550万超と報じられました。
Long Châuの本質は、薬局チェーンではなく「医療アクセスのプラットフォーム」です。
この点が、PharmacityやAn Khangとの差です。

Long Châu(FPT Retail)
第2位:Pharmacity
Pharmacityは2011年創業の薬局チェーンです。
ベトナムの近代的薬局チェーンの先行企業でした。
Mekong Capitalや韓国SK Groupなどの外部資本を受け、急拡大しました。
一時は1,100店を超え、ベトナム最大の薬局チェーンでした。
しかし、2022年以降は不採算店の整理と戦略修正が進みました。
The Investorは、Pharmacityの店舗数が2022年末の1,100店超から現在約900店へ縮小したと報じています。
Pharmacity公式採用ページでも、全国に900店超と記載しています。
停滞の要因は3つです。
- コンビニ型に寄せた売場設計
- 価格競争力の不足
- 処方薬・医薬品専門性の訴求不足
Pharmacityは現在、再構築フェーズです。
新CEOのもとで、価格見直し、商品調達、医薬品中心への再定義を進めています。
1,000品目超の価格を見直したとの報道もあります。
DX面では、公式アプリ、EC、店舗受取、配送、ロイヤリティを展開しています。
ただし、Long Châuのようにワクチン、相談、デジタル健康記録まで統合する段階にはまだ差があります。
Pharmacityの課題は、店舗数ではなく収益性です。
先行者としての認知は高い一方、急拡大後の標準化と価格競争力が問われています。
第3位:An Khang(Mobile World Group)
An Khangは、Mobile World Group傘下の薬局チェーンです。
Mobile World Groupは、携帯・家電のThế Giới Di Động、家電量販のĐiện Máy Xanh、食品スーパーのBách Hóa Xanhを展開する大手小売グループです。
An Khangは、もともとPhúc An Khangとして2006年に設立されました。
Mobile World Groupが2017年に買収し、医薬品小売へ参入しました。
当初は大きな拡大目標を掲げました。
2022年末には約500店まで増えました。
しかし、その後は収益性が課題になりました。
Tuổi Trẻ Newsによると、An Khangは2023年末に326店へ縮小しました。
2025年第1四半期の売上は5,150億VNDです。
同四半期の損失は310億VNDです。
2020年以降の累積損失は3,800万米ドル超と報じられています。
An Khangの強みは、MWGの小売インフラです。
- 店舗開発力
- 人材採用力
- 既存顧客基盤
- 物流・在庫管理
- Bách Hóa Xanhとの生活圏接点
一方、薬局事業は家電とは異なります。
薬剤師、処方箋、在庫鮮度、医薬品説明、GPP対応が必要です。
標準化の難度は高いです。
MWGは、An Khangを無理に拡大するよりも、黒字化の型を優先しています。
一部店舗では月商5億VNDを超え、7億VNDから10億VND超の店舗もあると報じられています。
今後は、収益化したフォーマットを再拡大できるかが焦点です。
第4位:Trung Sơn Pharma
Trung Sơn Pharmaは、メコンデルタ地域を基盤とする薬局チェーンです。
1997年創業で、地域密着型の薬局として成長しました。
2023年、韓国のDongwha PharmがTrung Sơn Pharmaの51%を取得しました。
この出資後、店舗拡大が加速しています。
The Investorは、Trung Sơn Pharmaが200店を超えたと報じています。
B&Companyは2025年第1四半期時点で230店超と整理しています。
Trung Sơn Pharmaは、2026年までに460店を目指すと報じられています。
この計画が進めば、An Khangに近い規模になります。
注目点は、GS25 Vietnamとの連携です。
2025年には薬局とコンビニを組み合わせた新業態を開始しました。
これは、日本のドラッグストアがコンビニ、食品、調剤を組み合わせてきた流れに近いです。
Trung Sơn Pharmaは、Long ChâuやPharmacityと比べると全国認知は限定的です。
しかし、韓国資本、地域密着、コンビニ連携という3要素があり、4位グループの有力候補です。
第5位:Phano Pharmacy
Phano Pharmacyは2007年設立の薬局チェーンです。
病院、クリニック、商業施設、スーパー内立地に強みがあります。
LinkedIn上では全国60店超と記載されています。
Phanoは、上位3社ほどの大規模出店競争には参加していません。
むしろ、医療機関連携や生活動線上の店舗展開が中心です。
ベトナム薬局市場では、店舗数上位だけが勝者ではありません。
病院近接、専門性、処方薬対応、地域の信頼で生き残るチェーンもあります。
Phanoはその代表例です。
参考:Eco Pharma
Eco Pharmaは、ECO Pharmaceutical Joint Stock Companyが展開する医薬品関連企業です。
2008年設立で、病院向け医薬品、希少薬、専門薬の輸入・流通に強みがあります。
Vietdataは、Eco PharmaをWHO-GSP、GDP、GPPの3基準に対応する企業として紹介しています。
ただし、店舗数ランキングとしては注意が必要です。
公開情報で確認できる店舗数が限定的です。
そのため、本稿では店舗数TOP5には含めず、参考企業として扱います。
Long Châu急成長の背景
Long Châuの成長は、単なる出店攻勢ではありません。
小売DXの観点では、3段階で理解できます。
第1段階:家電小売から薬局へ資本を移す
FPT Retailは、FPT Shopの店舗最適化を進める一方、Long Châuに投資を集中しました。
2024年末時点でFPT Shopは634店です。
一方、Long Châuは1,943薬局です。
店舗数だけ見ても、成長軸が薬局へ移ったことが分かります。
第2段階:薬局運営を標準化する
薬局は、単純な物販ではありません。
薬剤師の説明、薬歴、処方箋、禁忌、在庫、価格、規制対応が絡みます。
Long Châuは、FPTグループのIT基盤を活かし、標準化を進めました。
標準化できると、出店スピードを上げても品質が崩れにくくなります。
ここが、個人薬局との差になります。
第3段階:医療接点を増やす
Long Châuはワクチン接種センターを拡大しています。
2024年末時点で126カ所です。
薬局に予防医療を組み合わせることで、来店頻度と信頼を高めています。
アプリでは、薬剤師相談、処方箋画像送信、ワクチン予約、配送を提供します。
今後は、健康データ、保険、在宅モニタリングとの接続が焦点になります。
Pharmacityの停滞・再構築
Pharmacityの停滞は、急成長市場における典型的な「拡大後の反動」です。
拡大期には、店舗数が評価されます。
しかし、薬局事業では店舗数だけでは利益が出ません。
処方薬の品ぞろえ、薬剤師の質、在庫回転、価格競争力が必要です。
Pharmacityは一時、便利な薬局というポジションを取りました。
しかし、生活者が求めたのは、便利さだけではありません。
正規品、価格、処方薬、薬剤師相談です。
現在は、商品調達、価格、医薬品中心への回帰を進めています。
これは正しい方向です。
一方、Long Châuが医療エコシステムへ進んでいるため、単なる価格修正だけでは差別化が難しいです。
Pharmacityの再成長には、次の3つが必要です。
- 不採算店の整理完了
- 医薬品専門性の再構築
- アプリ・配送・店舗相談の統合
An KhangのMWGエコシステム連携
An Khangの最大の資産は、MWGグループです。
MWGは、ベトナム有数の小売オペレーターです。
家電、携帯、食品スーパーで店舗運営ノウハウを持ちます。
しかし、薬局は一般小売とは違います。
欠品すれば売上機会を失います。
過剰在庫にすれば期限切れリスクが高まります。
薬剤師教育が不十分なら信頼を失います。
An Khangは、一度店舗数を縮小しました。
これは撤退ではなく、フォーマット再設計と見るべきです。
日本企業への示唆は明確です。
異業種から薬局へ参入する場合、店舗開発力だけでは足りません。
薬剤師オペレーション、品ぞろえ、調剤・OTCの知識、規制対応を事業の中核に置く必要があります。
ベトナムのドラッグストアDX動向
ベトナム薬局DXは、5領域で進んでいます。
1. 自社アプリ
Long Châu、Pharmacity、An Khangはいずれもアプリを展開しています。
薬局検索、商品検索、オンライン注文、配送、薬剤師相談が主な機能です。
Long Châuは、AI処方箋読取、服薬リマインダー、デジタル予防接種記録を強化しています。
この点で最も先行しています。
2. 配達
ベトナム都市部では、即時配送への期待が高いです。
薬局アプリと配送を組み合わせることで、来店しない購買が増えています。
ただし、処方薬のオンライン販売には制限があります。
非処方薬、サプリメント、衛生用品、健康食品がECの中心です。
3. 薬剤師チャット
薬剤師相談は、ベトナム市場で重要です。
個人薬局では対面相談が一般的でした。
チェーン薬局は、これをアプリとコールセンターで標準化しようとしています。
4. Zalo活用
ベトナムでは、Zaloが日常的なメッセンジャーです。
薬局チェーンは、Zalo公式アカウント、通知、CRM、再来店促進に活用できます。
日本のLINEミニアプリに近い位置づけです。
5. 偽薬対策・トレーサビリティ
ベトナムでは、偽薬や非正規流通への不安が生活者の購買行動に影響します。
チェーン薬局は、正規品保証、仕入れ透明性、薬剤師説明で差別化できます。
この点は、日本企業にとって参入余地があります。
品質保証、物流、トレーサビリティ、PB開発は、日本企業が強みを出しやすい領域です。
日本企業の関与
日本企業では、マツキヨココカラ系のMatsukiyo Vietnamがすでに進出しています。
2020年にホーチミン市のVincom Center Đồng Khởiにベトナム1号店を開きました。
2023年にはハノイ1号店を開き、ベトナム店舗数は7店になったと報じられています。
ただし、Matsukiyo Vietnamは日本型ドラッグストアに近く、化粧品、健康食品、日用品、美容関連商品が中心です。
Long ChâuやPharmacityのような本格的な薬局チェーンとはポジションが異なります。
日本企業の参入余地は5つです。
- 化粧品・健康食品のPB供給
- 薬局チェーン向け業務システム
- 在庫・需要予測AI
- 薬剤師教育・接客標準化
- トレーサビリティ・正規品保証
サンドラッグや他の日本ドラッグストアが本格参入する場合、単独出店よりも現地チェーン、商社、物流企業との提携が現実的です。
外資規制、薬剤師資格、GPP対応、医薬品流通規制を考えると、現地パートナーが必要になります。
日本企業への示唆
1. 新興市場では出店スピードが競争優位になる
Long Châuは、2024年だけで446薬局を新規出店しました。
市場が個人薬局中心の段階では、先に全国網を構築した企業が認知と仕入れで優位になります。
日本企業がASEANで戦う場合、慎重すぎる出店は機会損失になります。
一方、Pharmacityの例の通り、出店だけでは利益は出ません。
出店スピードと収益性管理を同時に設計する必要があります。
2. 急成長後は収益化フェーズが来る
PharmacityとAn Khangは、拡大後に再構築へ入りました。
これは新興国小売でよく起きる現象です。
店舗数、売上、アプリDL数だけでは不十分です。
見るべき指標は、店舗あたり月商、粗利率、在庫回転、薬剤師人件費、配送コスト、既存店成長率です。
3. エコシステム型が強い
Long Châuは、薬局、ワクチン、相談、アプリを組み合わせています。
An Khangは、MWGの家電・食品小売エコシステムを背景にしています。
Trung Sơn Pharmaは、GS25との薬局・コンビニ複合業態を試しています。
今後の薬局は、単独業態ではなく、食品、医療、保険、EC、配送と接続する形になります。
4. 外資は現地パートナー戦略が前提になる
ベトナムでは、医薬品流通と小売に規制があります。
2024年改正法で外資系輸入企業の権利は一部拡大しました。
それでも、医薬品小売を自由に展開できるわけではありません。
日本企業は、現地企業とのJV、出資、FC、商品供給、DX支援から入るのが望ましいです。
5. 偽薬対策はブランド価値になる
ベトナム市場では、安さよりも「本物であること」が価値になります。
日本企業は、品質保証、パッケージ、トレーサビリティ、薬剤師説明で信頼を作れます。
これは日本のドラッグストアや医薬品メーカーにとって、単なる輸出以上の機会です。
よくある質問(FAQ)
Q1. ベトナム最大の薬局チェーンはどこですか?
A. Long Châu(FPT Retail)です。2025年第1四半期時点で約2,022薬局を展開し、店舗数ではPharmacityを上回っています。
Q2. ベトナムの薬局TOP3は?
A. Long Châu、Pharmacity、An Khangの3社です。店舗数ではLong Châuが2,000店超、Pharmacityが900店超、An Khangが326店前後です。
Q3. Long Châuが急成長した理由は?
A. FPT Retailが成長軸を家電・携帯小売から薬局へ移し、IT基盤、出店力、価格競争力、薬剤師運営、ワクチン接種センターを組み合わせたためです。
Q4. Pharmacityの経営状況はどうですか?
A. Pharmacityは過去に1,100店超まで拡大しましたが、現在は900店超へ縮小し、再構築中です。価格、商品調達、医薬品専門性の見直しを進めています。
Q5. An Khangはなぜ店舗数を減らしたのですか?
A. 急拡大後に損失が拡大したためです。Mobile World Groupは不採算店を整理し、黒字化できる店舗フォーマットの確立を優先しています。
Q6. ベトナムの薬局市場規模は?
A. 米国商務省は、ベトナム医薬品市場を2023年時点で60億米ドル、2033年に116億米ドルと見込んでいます。B&Companyは薬局小売市場を2024年時点で約89億米ドルと整理しています。
Q7. ベトナムでは薬のEC販売はできますか?
A. 2024年改正薬事法により、2025年7月から非処方薬のEC販売が一定条件で認められます。ただし、処方薬や特別管理医薬品は制限されます。
Q8. ベトナムに進出している日本のドラッグストアはありますか?
A. Matsukiyo Vietnamが進出しています。2020年にホーチミン市で1号店を開き、2023年にはハノイ1号店を開業しました。ただし、現地大手薬局チェーンとは異なり、美容・健康関連商品の比重が高い業態です。
Q9. 為替換算はどの程度で見ればよいですか?
A. 2026年6月時点では、1VND=約0.0061円が目安です。100万VNDは約6,100円です。
まとめ
ベトナム薬局市場は、急成長市場です。
しかし、すでに単純な出店競争から、収益性、薬剤師運営、アプリ、配送、医療接点の競争へ移っています。
店舗数ではLong Châuが首位です。
Pharmacityは再構築中です。
An KhangはMWGの小売力を活かしながら、黒字化の型を探っています。
Trung Sơn Pharmaは韓国資本を背景に拡大しています。
日本企業にとって重要なのは、ベトナムを「安い労働力の市場」と見ることではありません。
正規品、信頼、薬剤師相談、EC、配送、健康データを組み合わせる小売DX市場として見ることです。
Long Châuの成長は、ASEAN薬局市場の次の標準を示しています。
薬局は、薬を売る場所から、生活者の医療接点へ変わっています。
関連リンク
- 関連:インドネシアのドラッグストア市場
- 関連:中国ドラッグストア市場最新動向
- 関連:アメリカのドラッグストアDX|CVS・Walgreens・Rite Aid TOP3
- 法人向け相談:小売DX合同会社(retaildx.net)
出典
- FPT Retail, 2024 Annual Report. Long Châu pharmacies increased to 1,943 and vaccination centers to 126.
https://frt.vn/en - AsemconnectVietnam, “FPT Retail plans revenue of VND48,100 billion in 2025 and pre-tax profit of VND900 billion”.
https://asemconnectvietnam.gov.vn/default.aspx?ZID1=6&ID1=2&ID8=142298 - B&Company, “Pharmacy chain business situation in Vietnam in 1st quarter 2025”.
https://b-company.jp/pharmacy-chain-business-situation-in-vietnam-in-1st-quarter-2025-an-khang-reports-a-loss/ - The Investor, “How Vietnam pharmacy chains manoeuvre for bigger market share”.
https://theinvestor.vn/how-vietnam-pharmacy-chains-manoeuvre-for-bigger-market-share-d11899.html - Tuổi Trẻ News, “Vietnam’s An Khang pharmacy chain posts over $38mn in losses since 2020”.
https://news.tuoitre.vn/vietnams-an-khang-pharmacy-chain-posts-over-38mn-in-losses-since-2020-103250517170918611.htm - Pharmacity, official recruitment page.
https://corp.pharmacity.vn/tuyen-dung/ - U.S. Commercial Service, “Vietnam Pharmaceutical Industry Updates”.
https://www.trade.gov/market-intelligence/vietnam-pharmaceutical-industry-updates - Vietnam Ministry of Health, Circular 02/2018/TT-BYT on Good Pharmacy Practices.
https://english.luatvietnam.vn/circular-no-02-2018-tt-byt-dated-january-22-2018-of-the-ministry-of-health-on-good-pharmacy-practices-160571-doc1.html - Tilleke & Gibbins, “Vietnam Amends Law on Pharmacy”.
https://www.tilleke.com/insights/vietnam-amends-law-on-pharmacy/ - VnExpress International, “Japanese medical, cosmetic store chain comes to Vietnam”.
https://e.vnexpress.net/news/business/companies/japanese-medical-cosmetic-store-chain-comes-to-vietnam-4178753.html - Vietnam Investment Review, “Matsukiyo to open new store in Hanoi”.
https://vir.com.vn/matsukiyo-to-open-new-store-in-hanoi-105635.html - Matsukiyo Vietnam, About.
https://www.matsukiyo.vn/about?lang=en - VietnamNews, “FPT Long Chau wins Digital Innovation of the Year at 2025 Healthcare Asia Pharma Awards”.
https://vietnamnews.vn/economy/1695703/fpt-long-chau-wins-digital-innovation-of-the-year-at-2025-healthcare-asia-pharma-awards.html - Vietdata, “The growth of the pharmaceutical retail chain in Vietnam”.
https://www.vietdata.vn/post/the-growth-of-the-pharmaceutical-retail-chain-in-vietnam - Wise, VND to JPY exchange rate.
https://wise.com/us/currency-converter/vnd-to-jpy-rate
