卸売|小売DX用語

「卸売」とは

「卸売(おろしうり)」とは、メーカーなどから仕入れた商品を生活者ではなく小売業者に対してまとめて販売する取引形態のことです​。

簡単に言えば、メーカーと小売店の間に立つ中間業者(卸売業者・問屋)が商品を大量購入し、小売店に必要な分だけ分配して販売する仕組みです。例えば食品メーカーから問屋が1000個単位でお菓子を仕入れ、各スーパーマーケットに100個ずつ卸す、といった形で流通が行われます。英語ではB2B取引(Business to Business)とも言われ、小売業者が最終消費者に販売する「小売(B2C)」と対比される概念です​。


「卸売」の重要性

小売業にとって卸売業者は商品調達の要となる存在です。卸から仕入れることで、多種多様なメーカーの商品を一括して調達できるため、仕入れ業務の効率化と安定供給が図れます。

特に個々の小売店舗では大量ロットで仕入れることが難しい商品も、卸売業者を介すことで適切なロットで購入でき、在庫負担を軽減できます。

また卸売業者は市場全体の需要動向に詳しく、売れ筋商品の提案や新商品の紹介など情報提供機能も担っています​。

小売店は卸から得られる情報をもとに品揃え戦略を強化できます。さらに支払いサイト(決済期限)の猶予や物流の集約配送など、卸売業者は小売業の経営を下支えする様々なサービスを提供しており、メーカー直取引にはない柔軟性と利便性があります。


「卸売」とIT活用

小売と卸の取引関係は、IT活用によってさらに効率的かつ緊密になっています。

代表的なのがEDI(電子データ交換)やEOSと呼ばれる受発注システムの導入です。小売店が卸に対して発注書をFAXや電話ではなく、専用のオンラインシステム経由で送信することで、受発注業務を自動化できます​。

これにより人的ミスの削減や発注リードタイムの短縮が実現し、店舗ごとの発注状況も本部でリアルタイムに把握可能になります。また卸側でも在庫管理システムと連携したEDIにより、小売店からの注文に即座に対応し適切な出荷手配を行えます。加えて、卸と小売が販売データを共有する共同販売管理システムの活用も進んでいます。

例えば卸業者がPOSデータ(販売実績)を分析して、小売店ごとに適正な在庫量や品揃えを提案する仕組みです。これによりサプライチェーン全体での在庫適正化や売上機会損失の防止(欠品防止)が期待できます。昨今ではクラウド上でメーカー・卸・小売が情報連携するサプライチェーン・プラットフォームも登場しており、流通全体のDXが進みつつあります。

まとめ

卸売はメーカーと小売を繋ぐ重要な流通の役割であり、小売業が円滑に商品調達を行う上で欠かせない存在です。その伝統的な取引も、ITによる受発注システムやデータ共有によって効率化・高度化されています。小売DXの文脈でも、卸売業者とのデータ連携や協働分析は在庫最適化・売上向上に直結する取り組みです。今後も卸売と小売の関係はデジタル技術で進化し、サプライチェーン全体の生産性向上と顧客サービス向上につながっていくでしょう。

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