視察した店舗の概要
広島駅南口の新駅ビル「ミナモア」2階WESTフロアにあるアバンセminamoa広島店を視察した。売場面積は274坪、営業時間は7:30〜22:00である。青果売場はミントグリーンの壁面に古典的なモールディングを組み合わせ、球状ペンダント照明と円形テーブル什器を配する。量販型の直線ゴンドラとは異なる、デパ地下に近い設えである。壁面には「avance VEGGIE special」のイラストサイン、右手には「Local Veggie」の地場野菜コーナーが配置されていた。
企業概要と業態の位置づけ
運営は株式会社ユアーズ。広島市南区に本社を置く食品スーパーで、2015年9月に株式会社イズミ(東証プライム上場、証券コード8273)が第三者割当増資を引き受け、議決権所有割合50.3%で子会社化した。イズミは「ゆめタウン」「ゆめマート」を展開する中四国・九州の広域チェーンであり、ユアーズはそのグループ内で広島都市圏の食品スーパー事業を担う位置づけにある。ユアーズは量販型の「ユアーズ」と高質型の「アバンセ」の2屋号を持ち、本店はアバンセ業態の6店舗目にあたる。開業時点でユアーズ全体の店舗数は26店舗(広島県25、岡山県1)である。
店舗立地と周辺地域の特徴
ミナモアは2025年3月24日に開業したJR西日本の広島駅南口駅ビルで、運営はJR西日本グループの中国SC開発。旧「ASSE」(2020年3月閉館)の後継施設にあたり、総217店の規模を持つ。新幹線口の「ekie」と一体運営されており、ユアーズは同じくekieにもアバンセを構えている。広島駅は在来線・新幹線・広電・バスが結節する広島最大の交通ハブで、通勤客、出張客、観光客が交差する商圏である。
業態内での特徴
特徴的なのは編集型の品揃えである。「バイヤーセレクション」の黄色い棚帯を張った什器では、安芸高田市の焼肉のたれ「青の青鬼/赤の赤鬼」を大型ポスターで打ち出し、アウトドアスパイス「ほりにし」なども並ぶ。地場の中小メーカー品と全国区のヒット商品を、バイヤーの目利きとして同一什器で編集している。精肉は「SPECIAL MEAT」の対面ケース仕立てである。売場には「本日 火・水曜日 Bazaar!開催中!!」の帯POPが並び、高質路線でありながら曜日販促も併走させる構成が見える。
小売DX・店舗運営上の示唆
注目したのは「ゆめアプリ」の販促設計である。イズミグループ共通のアプリを軸に、毎週火・土のゆめカード値引積立額5倍、毎月1日・15日の100円引デジタルクーポン、毎月25日のサンクスデー、雨の日クーポンと、複数の来店動機が曜日・日付・天候で重ねられていた。イズミのアプリ基盤をユアーズ/アバンセに横展開することで、単独チェーンでは持ちにくいID-POS基盤とクーポン配信の仕組みを共有できている点はグループ統合の実利である。もう一点、精肉売場に「店内撮影OK SNSでのシェア大歓迎!」の掲示があった。撮影禁止が原則の売場が多い中で、UGCによる拡散を店側から歓迎する姿勢を明示している。駅ビル立地で来街者の投稿が新規客の呼び水になる商圏特性を踏まえた判断と読める。
郡司の一言コメント
イズミのアプリ基盤に乗ることで、ユアーズ単独では難しい販促の頻度と精度を確保している構図が見える。加えて撮影歓迎の掲示は、駅ビルという通過客の多い商圏でUGCを取りに行く意思表示として興味深い。高質路線と曜日販促の両立をどう保つかが継続の論点になる。