「生鮮食品」とは
生鮮食品とは、加工度が低く、鮮度が品質を大きく左右する食品の総称です。一般的には「生鮮三品」と呼ばれる青果(野菜・果物)、鮮魚(魚介類)、精肉(食肉)の3部門を指します。英語では「Perishable(傷みやすいもの)」と表現され、文字どおり時間の経過とともに価値が下がる特性を持ちます。
生鮮食品と関連が深いのが日配品(にっぱいひん)です。日配品とは、豆腐・牛乳・パンなど毎日配送が必要な食品を指します。生鮮三品に日配品を加えて「生鮮四品」と呼ぶこともあります。いずれも消費期限が短く、在庫管理の難易度が高い商品群です。
「生鮮食品」の重要性
生鮮食品は、小売業の中でも特に差別化の要となる商品群です。
スーパーマーケット(SM)では、生鮮力が集客の決め手になります。 食品スーパーの売上構成比のうち、生鮮三品が占める割合はおよそ30〜40%とされています。価格だけでなく、鮮度・品揃え・加工技術で近隣店舗との差別化を図れる数少ない領域です。「あの店は魚がいい」「野菜が新鮮」という評判が、固定客の獲得に直結します。
ドラッグストア(DgS)やコンビニエンスストア(CVS)でも生鮮の重要性は高まっています。 DgSの食品強化型店舗では、青果や精肉の導入が進んでいます。CVSではカット野菜やチルド惣菜など、生鮮に近い商品群で来店頻度の向上を狙っています。業態の垣根を越えた「食の争奪戦」が起きている状況です。
鮮度管理とフードロスは表裏一体の関係です。 鮮度を保つために大量に仕入れれば、売れ残りが廃棄につながります。農林水産省の推計では、日本の食品ロスは年間約472万トン(2022年度)にのぼります。生鮮食品はその大きな要因の一つです。鮮度の高い商品を並べつつ、廃棄を最小限に抑えるバランスが、小売業の永続的な課題といえます。
「生鮮食品」とIT活用
生鮮食品の管理は「経験と勘」に頼る部分が大きい領域でしたが、ITの活用で大きく変わりつつあります。
AIによる需要予測が発注精度を高めています。 過去の販売実績に加え、天候・気温・曜日・地域イベントなどの外部データを組み合わせることで、生鮮食品の需要をより正確に予測できます。ある食品スーパーチェーンでは、AI需要予測の導入により、生鮮部門の廃棄率を約20〜30%削減した事例が報告されています。
ダイナミックプライシング(動的価格設定)が値引き判断を最適化します。 消費期限が近づいた商品の値引きタイミングと幅を、AIが自動で判断するシステムが実用化されています。従来は担当者の経験に基づいて値引きシールを貼っていましたが、電子棚札と連動させることで、リアルタイムに価格を変更し、廃棄前に売り切る確率を高められます。
サプライチェーン全体のデジタル化も進んでいます。 産地から店舗までの温度管理をIoTセンサーで記録するコールドチェーン(低温物流)の可視化が広がっています。トレーサビリティ(生産履歴の追跡)と組み合わせることで、食の安全と鮮度保証を両立できます。消費者がQRコードで産地情報を確認できる仕組みも増えています。
POSデータの活用が品揃え最適化を支えます。 時間帯別・曜日別の売れ筋データを分析し、生鮮部門の品揃えや陳列量を柔軟に調整できます。たとえば、平日夕方は少量パックの精肉が売れ、週末は大容量パックが動くといった傾向を数値で把握し、機会ロス(売り逃し)と廃棄ロスの両方を減らすことが可能です。
まとめ
生鮮食品は、鮮度という「時間との戦い」がある分、小売業のDXで最も効果が出やすい領域の一つです。AI需要予測による発注精度の向上、ダイナミックプライシングによる値引き最適化、コールドチェーンのデジタル管理など、活用できる技術は着実に広がっています。まずは自社の廃棄データを可視化するところから始め、生鮮力の強化とフードロス削減の両立を目指しましょう。
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