H&BC(Health and Beauty Care)|小売DX用語

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「H&BC」とは

H&BC(Health and Beauty Care)とは、健康関連商品と美容関連商品を包括するカテゴリの総称です。日本語では「ヘルス・アンド・ビューティケア」と表記されることもあります。

具体的には、医薬品、医薬部外品、サプリメント(栄養補助食品)、化粧品、スキンケア用品、ヘアケア用品、オーラルケア(口腔ケア)用品、衛生用品などが含まれます。食品や日用雑貨とは異なり、健康や美容という「生活の質を高める」目的で購入される商品群である点が特徴です。

もともとH&BCという区分は、アメリカの小売業やメーカーが商品管理やマーケティングの単位として使い始めたものです。日本ではドラッグストア(Drug Store)業態の成長とともに広く使われるようになりました。経済産業省の商業動態統計によると、ドラッグストアの年間販売額は2023年に約8.9兆円に達しており、H&BCカテゴリはその売上の中核を担っています。

「H&BC」の重要性

H&BCカテゴリが小売業で重視される理由は、粗利益率(売上に対する利益の割合)の高さにあります。食品の粗利益率が20〜30%程度であるのに対し、化粧品や医薬品は35〜50%に達することも珍しくありません。H&BCは売場面積あたりの収益性が高い、いわば「稼げるカテゴリ」です。

業態別に見ると、それぞれ異なる戦略でH&BCを活用しています。

ドラッグストア(Drug Store)(DgS)は、H&BCを本業の柱としています。調剤(処方箋に基づく医薬品の提供)や医薬品販売で来店動機をつくり、化粧品やサプリメントで客単価(1回の買い物あたりの金額)を引き上げる構造です。近年はカウンセリング化粧品(対面接客で販売する化粧品)の強化によって、セルフ販売だけでは実現できない付加価値を提供する店舗が増えています。

スーパーマーケット(SM)では、食品の買い物のついでにH&BC商品を購入する「ワンストップショッピング」のニーズに応えるため、H&BC売場を併設する動きが広がっています。ただし売場面積が限られるため、日用品寄りの品揃え(歯磨き粉、シャンプー、衛生用品など)が中心になる傾向があります。

コンビニエンスストア(CVS)では、小容量のスキンケア用品やメイク用品、栄養ドリンクなど「今すぐ必要」な緊急需要に対応する品揃えが特徴です。限られた棚数で高回転を維持する必要があるため、売れ筋に絞った品揃え管理がとりわけ重要になります。

健康志向の高まりや高齢化の進行により、セルフメディケーション(Self-Medication)の市場は拡大傾向にあります。H&BCカテゴリの戦略的な強化は、業態を問わず小売業の成長ドライバーとなっています。

「H&BC」とIT活用

H&BCカテゴリでは、DX(デジタルによる業務変革)の活用が売場の収益力を大きく左右します。

まず、ID-POS分析(会員情報と購買データを紐づけた分析)の活用が進んでいます。H&BCは購入者の年齢・性別・肌質などの属性によって購買傾向が大きく異なるため、属性別の購買分析が品揃え最適化に直結します。たとえば、20代女性のスキンケア購入パターンと50代女性のそれはまったく異なります。ID-POSデータを活用すれば、店舗ごとの商圏特性に合わせた品揃えを実現できます。

CRM(顧客関係管理)との連携も重要です。化粧品やサプリメントは定期的に使い切る消耗品であるため、購入サイクル(前回購入からの経過日数)を把握してクーポンやリマインド通知を配信する仕組みが効果を発揮します。ある大手ドラッグストアチェーンでは、CRMを活用したパーソナライズ配信によりH&BC商品のリピート率が15%向上した事例が報告されています。

棚割り(商品の配置計画)にもAIが導入されつつあります。H&BCは商品数が多くトレンドの変化も速いため、売上データや来店客の動線データをもとにAIが最適な棚割りを提案するシステムが登場しています。人の経験と勘に頼っていた作業をデータドリブン(データに基づく判断)に切り替えることで、売場の生産性が向上します。

さらに、ウエルネスマーケット(Wellness Market)の拡大に伴い、健康データとの連携も注目されています。ウェアラブルデバイスやヘルスケアアプリの情報と連動して、個人の健康状態に合ったサプリメントやケア用品を提案する仕組みは、今後のH&BC売場の差別化要因となるでしょう。

まとめ

H&BC(Health and Beauty Care)は、健康と美容に関わる商品を包括する高収益カテゴリです。DgS・SM・CVSそれぞれの業態で異なる役割を果たしながら、小売業の利益を支える重要な柱となっています。ID-POS分析やCRMを活用した顧客理解の深化、AIによる棚割り最適化など、DXの恩恵を受けやすいカテゴリでもあります。健康志向やセルフメディケーションの流れが加速する中、H&BC戦略の巧拙が店舗の競争力を左右します。まずは自社のH&BC売場の粗利益率と顧客属性データを見直し、データに基づく品揃え改善の第一歩を踏み出してみてください。


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