MaaS(Mobility as a Service)|小売DX用語

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「MaaS」とは

MaaS(Mobility as a Service、マース)とは、電車、バス、タクシー、シェアサイクル、ライドシェアなど複数の交通手段を、一つのプラットフォーム(アプリ)上で検索・予約・決済できるようにする概念です。移動そのものを「サービス」として統合的に提供し、利用者が最適な移動手段をシームレスに選べる仕組みを目指しています。

小売業にとってMaaSは、「顧客が店舗にどうやって来るか(来店手段)」と「商品をどうやって届けるか(ラストワンマイル配送)」の2つの側面で関係しています。特に自動車社会の郊外型店舗や、公共交通機関が不便な地方では、移動手段の確保が来店客数に直結します。

「MaaS」の重要性

MaaSが小売業で重要な理由は、移動の利便性と購買行動が密接に結びついているからです。

スーパーマーケット(SM)では、高齢化による「買い物難民」(日常の買い物に困難を抱える人々)の増加が社会問題化しています。買い物難民は全国に約700万人と推計されています。MaaSの仕組みを活用し、自治体やバス会社と連携した送迎サービスを提供するSMが出てきています。店舗行きの無料シャトルバスをアプリで予約できる仕組みは、MaaSの小売業版ともいえます。

ドラッグストア(DgS)は郊外のロードサイド立地が多く、自家用車での来店が前提です。しかし高齢ドライバーの免許返納が増加する中、来店手段の確保は将来的なリスクです。処方薬の受け取りを目的とした来局支援として、オンデマンド交通(必要な時に呼べる乗合交通)との連携が検討されています。

コンビニエンスストア(CVS)は、DXと移動の結節点としての役割が期待されています。MaaSアプリの決済機能とCVSの電子マネー・QRコード決済を統合し、移動中のついで買いを促進する構想があります。CVSが宅配ロッカーの拠点やデリバリーの発着点として機能するケースも増えています。

「MaaS」とIT活用

MaaSと小売業のDX連携は、いくつかの方向で進んでいます。

モバイルオーダー(アプリやWebから事前注文する仕組み)との統合が有力なアプローチです。MaaSアプリで店舗への移動を予約すると同時に、商品の事前注文を行い、到着時に受け取る流れです。移動と買い物を一つのアプリで完結させることで、顧客の利便性が飛躍的に向上します。

配送のラストワンマイル最適化もMaaSの発想を取り入れています。ネットスーパーの配送にライドシェアの空き車両を活用したり、AI配送ルート最適化でドライバーの負荷を軽減したりする取り組みが始まっています。買い物代行サービスとMaaSの組み合わせは、買い物難民問題の解決策としても注目されています。

店舗をMaaSの「ハブ(拠点)」として位置づける構想もあります。店舗駐車場にシェアサイクルのステーションやEV(電気自動車)充電器を設置し、移動拠点としての価値を加えることで来店動機を創出します。

位置情報データとの連携により、MaaSの移動データを商圏分析に活用することも可能です。どの地域からどのルートで来店しているかを把握し、出店計画や販促エリアの決定に役立てます。

まとめ

MaaSは、移動手段の統合によって消費者の行動を変える概念であり、小売業にとっては集客とラストワンマイル配送の両面で関わりがあります。高齢化や買い物難民問題を背景に、移動支援と購買体験の融合が今後ますます重要になります。まずは自店舗の顧客がどのような移動手段で来店しているかを把握し、モバイルオーダーや送迎サービスとの連携を検討してみてはいかがでしょうか。


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