「OTC」とは
OTCとは、Over The Counter(カウンター越しに渡す)の略で、医師の処方箋がなくても薬局やドラッグストアで購入できる一般用医薬品のことです。正式には「一般用医薬品」や「OTC医薬品」と呼ばれます。対義語は医療用医薬品(処方薬)です。
OTC医薬品は、リスクの程度に応じて3つに分類されます。第1類医薬品は薬剤師のみが販売できます。 副作用のリスクが比較的高い成分を含むため、購入時に薬剤師による書面での情報提供が義務づけられています。第2類医薬品は薬剤師または登録販売者が販売できます。 風邪薬や解熱鎮痛薬など日常的に使われる薬の多くがここに該当します。第3類医薬品は同じく薬剤師または登録販売者が販売できます。 ビタミン剤や整腸薬などリスクが比較的低い商品が分類されます。
近年注目されるのがスイッチOTCです。これは、もともと医療用医薬品(処方薬)だった成分を、安全性が確認されたうえでOTC医薬品として販売できるようにしたものです。アレルギー用薬や胃腸薬などで切り替えが進んでおり、2024年時点で100成分以上がスイッチOTC化されています。
「OTC」の重要性
OTC医薬品は、小売業の中でもとくにドラッグストア(DgS)の収益を支える柱です。
粗利率の高さが経営に貢献します。 OTC医薬品の粗利率は一般的に40〜50%とされ、食品(20〜30%)や日用品(25〜35%)を大きく上回ります。DgS業界の売上高が2024年度に約9兆円を超える中、OTCは売上構成比こそ10%前後ですが、利益面での貢献度は大きいといえます。
セルフメディケーションの推進が追い風です。 国の医療費抑制の方針を背景に、軽度な症状は自分で手当てするセルフメディケーションが推奨されています。セルフメディケーション税制により、スイッチOTCの購入費が所得控除の対象になることも購入の動機づけとなっています。OTCは「商品そのもの」を指す概念であり、セルフメディケーションは「行動・考え方」を指す概念です。両者は車の両輪のような関係にあります。
業態ごとに位置づけが異なります。 DgSではOTCが本業であり、薬剤師や登録販売者の配置体制が競争力に直結します。コンビニエンスストア(CVS)では、登録販売者を配置した店舗で第2類・第3類の取り扱いが拡大しています。スーパーマーケット(SM)でも、DgS併設型やインショップ形式でOTC売場を設ける動きが見られます。
「OTC」とIT活用
OTC医薬品の販売管理には、薬機法(医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律)の規制に対応したIT活用が欠かせません。
POSシステムでの販売制限管理が基本です。 第1類医薬品のスキャン時に薬剤師の承認を求めるアラートを表示したり、登録販売者の資格有無をPOSにひもづけて販売可否を制御したりする仕組みが導入されています。これにより、法令を守りながらレジ業務の効率化が図れます。
EC・オンライン販売の対応が拡大しています。 2014年の薬事法改正以降、第1類を含むOTC医薬品のネット販売が解禁されました。ただし、第1類はオンラインでの薬剤師による情報提供が義務づけられており、チャットやビデオ通話を活用した服薬指導システムの導入が進んでいます。DgSのEC売上に占めるOTC比率は年々上昇しています。
在庫管理と需要予測にデータ活用が進んでいます。 OTC医薬品は季節変動が大きい商品群です。花粉症薬は2〜4月、風邪薬は11〜2月に需要が集中します。AIを活用した需要予測により、欠品(売り逃し)と過剰在庫を同時に抑えることが可能になっています。POSデータと気象データを組み合わせた発注最適化は、実用段階に入っています。
まとめ
OTC医薬品は、処方箋なしで購入できる一般用医薬品であり、DgSの収益を支える重要な商品群です。スイッチOTCの増加やセルフメディケーションの推進により、市場は今後も拡大が見込まれます。販売には資格要件や法規制が伴うため、POSシステムやECプラットフォームでの適切な管理体制の構築が必要です。自社の業態に合わせて、OTC販売のデジタル化に取り組みましょう。
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