クロスセル(Cross-Selling)|小売DX用語

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「クロスセル」とは

クロスセルとは、顧客が購入しようとしている商品に関連する別の商品を提案し、追加購入を促す販売手法です。英語では「Cross-Selling」と表記します。

身近な例でいえば、ハンバーガーを注文した際に「ポテトもいかがですか?」とすすめるのがクロスセルです。もとの商品に価値を上乗せする別カテゴリーの商品を組み合わせて提案する点が特徴です。

混同されやすい手法にアップセルがあります。アップセルは、同じカテゴリーのより上位の商品への切り替えを促す手法です。たとえば、Mサイズのドリンクを注文した顧客にLサイズをすすめるのがアップセルです。クロスセルは「関連商品の追加購入」、アップセルは「上位商品への切り替え」と覚えると区別しやすくなります。

「クロスセル」の重要性

クロスセルは、客単価を引き上げる最も実践的な手法のひとつです。

新規顧客を獲得せずに売上を伸ばせます。 既存顧客の1回あたりの購入金額を増やすため、集客コストをかけずに売上を伸ばせます。一般的に、既存顧客への追加販売の成功率は60〜70%とされるのに対し、新規顧客への販売成功率は5〜20%にとどまります。クロスセルはこの差を活かした効率的な手法です。

業態ごとにクロスセルの実践方法は異なります。 スーパーマーケット(SM)では、クロスマーチャンダイジング(関連陳列)がクロスセルの代表的な手法です。精肉コーナーに焼肉のたれを並べる、鮮魚コーナーにわさびやしょうゆを配置するといった工夫が典型例です。関連商品を近くに陳列することで、来店客の「ついで買い」を自然に促します。ドラッグストア(DgS)では、医薬品の購入者にサプリメントや健康食品を提案するケースが多くみられます。風邪薬を購入する顧客にマスクやのど飴を併せて提案するのも効果的なクロスセルです。コンビニエンスストア(CVS)では、レジ横の商品がクロスセルの役割を果たしています。お弁当を購入する顧客の目に入る位置にデザートや飲料を配置し、追加購入を促します。

LTV(顧客生涯価値)の向上にも直結します。 クロスセルで多様なカテゴリーの商品を購入した顧客は、1カテゴリーだけの顧客と比べて離反率が低い傾向にあります。購入カテゴリーが増えるほど、その店舗への依存度が高まるためです。結果として、長期的な売上貢献額が増加します。

「クロスセル」とIT活用

デジタル技術の進歩により、クロスセルはデータに基づく精度の高い手法へと進化しています。

ECサイトのレコメンデーションがクロスセルの代表例です。 「この商品を買った人はこんな商品も買っています」という表示は、購買データに基づくクロスセルの自動化です。協調フィルタリング(類似した購買パターンを持つ顧客群のデータを活用する手法)により、人手では気づきにくい商品の組み合わせも発見できます。ECサイトの売上の約35%がレコメンデーション経由という調査もあり、クロスセルの自動化は大きな収益貢献をもたらします。

POSデータとID-POSデータの分析が店舗のクロスセルを支えます。 併買分析(バスケット分析)を行えば、どの商品同士が一緒に購入されやすいかをデータで把握できます。「おむつとビール」の有名なエピソードのように、意外な組み合わせが見つかることもあります。ID-POSデータを活用すれば、個々の顧客の購買傾向に応じたクーポン配信も可能です。

AIを活用したパーソナライズ提案が広がっています。 アプリやメールで顧客ごとに最適な関連商品を提案する仕組みが普及しつつあります。購買履歴・閲覧履歴・時間帯・季節といった複数の要素をAIが分析し、購入確率の高い組み合わせをリアルタイムで導き出します。たとえば、DgSのアプリで日焼け止めを購入した顧客に、翌週アフターサンケア商品のクーポンを配信するといった施策が実現できます。

セルフレジやデジタルサイネージもクロスセルの接点になります。 セルフレジの画面でスキャン済み商品に合わせた関連商品を表示したり、売場のデジタルサイネージで時間帯に応じたおすすめ組み合わせを提案したりする取り組みが始まっています。

まとめ

クロスセルは、関連商品の追加購入を促して客単価を高める販売手法です。SMのクロスマーチャンダイジング、CVSのレジ横商品、ECの「この商品を買った人は…」など、業態やチャネルに応じたやり方があります。POSデータの併買分析やAIレコメンデーションを活用すれば、経験や勘に頼らない精度の高いクロスセルが実現します。まずは自社の併買データを分析し、効果的な商品の組み合わせを見つけることから始めましょう。


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